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2020年、アメリカ大統領選イヤー。アメリカ移民への新規ビザ発行停止の大統領令について

この2020年後半、アメリカの移民、非移民ビザは、かなり不透明なことになりそうだ。6月24日に、トランプ大統領が発表した驚きの大統領令について、書きたい。

すでにトランプ大統領は、4月22 日に大統領令を発し、6月末までの移民・非移民の受け入れを停止することを発表していた。

今回の6月24日の大統領令では、その期間をさらに12月31日まで延長した形となる。

4月22日の大統領令は2カ月間だったため、「Covid-19の感染拡大を防ぎたいのか?」という受け取り方もあったが、ここにきて一気に今年いっぱい受け入れ停止へと半年も延長。移民弁護士の先生をして「こんなの見たことない」と驚いていた。(さらに延長される可能性もある)。


ちなみに、6月24日の大統領令で発表されたのは以下の内容。

1. 米国外からの移民(グリーンカード)の受入停止を12月31日まで延長(4月22日に発令された大統領令の延長)

2. 特定の非移民ビザ(H-1B, H-2B, L-1, 一部のJ-1ビザカテゴリーと帯同家族)の入国を一時停止

※入国の一時停止は、以下の2つの条件に該当する方にのみ適用される
 6月24日時点で、米国外に滞在している。
 6月24日時点で、有効な非移民ビザ(または他の渡航許可等)を保持していない​

すでにアメリカにいるビザホルダーや、アメリカ人との結婚でビザを取得しようとしている人、医療従事者など(いまアメリアが必要とする)エッセンシャルワーカーなど、例外はあるが、大筋は「いま国外にいて」「これからビザを取ろうとしている」人、そして「アメリカ人の雇用を奪う可能性がありそう」な人からストップがかかった形だ。


移民ビザと非移民ビザ、というのも聞きなれない言葉かもしれないが、移民ビザは永住権(グリーンカード)のことで、基本的には更新をしながらずっとアメリカにいられるビザとなる。非移民ビザとは就労や就学(留学)などの目的のために滞在する基本的に有期限のビザのこと。

今回、受け入れ停止になったのは新規の移民ビザ(グリーンカード)と、非移民ビザの中の、Hビザ=専門職の就労ビザ(雇用主がスポンサーとなって取得)、Lビザ=駐在員ビザ、Jビザ=合法的にアメリカ企業で働くことができる交流プログラム(ワーホリ的な)ビザだ。

さらに、今後はEビザと言われる投資家ビザなども影響を受けるのではないかと言われている。国外からの投資は歓迎するが、その投資に関連して発行していた複数のビザを絞り、あとはアメリカ人を現地雇用してください、と厳しくなっていく可能性を、わたしが話した移民弁護士は指摘していた。


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そもそも移民の受け入れというのは政権によって、おおいに左右される。オバマ政権からトランプ政権になってビザの申請プロセスは厳しくなり、長くなった。以前だったら3カ月ちょっとで取れていたアメリカ市民との婚姻によるグリーンカードも1年以上かかっている。

移民というのは、本人が希望して、その国にこういう理由でいさせてほしい、ということを申請し「国益にかなうならばいてもいいよ」というものである。なので、アメリカの失業率が高くなった今、「国益にかなわなくなったので、移民は来なくていい(国益にかなう人だけ来てね)」に切り替わったわけだ。
(ちなみに全米で5月の失業率は約15%、ハワイ州は22%以上と言われているが、一時帰休になっている人や、PPPという政府からの補助金で雇用をつないでいる会社も多いため実態はさらに増える)


再選を狙うトランプ大統領は、COVID19の感染拡大のさなかにも経済再開を急ぎ、支持者を集めての選挙ラリーを精力的に展開している。2020年というこの勝負の年に、COVID19、失業、BLMプロテスト、と負の連鎖が続いている。一番分かりやすく有権者に刺さるカードとして、「移民差し止め・雇用創出」を持ってきた。


わたしはもともとHビザを取って就労でハワイに来て、そのビザを更新し、その後、アメリカ人の夫と結婚してグリーンカードに切り替えた。だからいまでも心は、アメリカ人と結婚したくてここに来たのでもなく、仕事をしにアメリカに来た移民の労働者、というマインドのほうが強い。

分かってはいるが、そして「頼んでいさせてもらっている身」で感謝もするが、自分が調整弁として使われる移民の立場、いつなにが起きても変じゃない危うい場所にいることをパーンと突きつけられるのは、なかなかに堪える。

どうしてもアメリカでやりたいことや夢があったり、とんでもなく大量のビザ申請準備をしてやっと提出をしたり、申請書類を突き返されて追加資料を提出したりと、ありきたりだが、ビザ申請の数だけ、決意やドラマや人生があるのだ。

この大統領令で、涙を飲む人や、大切な人との離れ離れが長くなる人も増えるだろう。

再選に燃えるトランプ大統領には関係のないことだろうが。


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