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阿武隈急行AB900系(AB-6,AB-7編成)J-TREC横浜事業所出場 2024年2月13日

・5色のはずが、新色登場

2月13日未明、阿武隈急行AB900系の増備車がJ-TREC横浜事業所を出場しました。

2023年2月21日以来の出場となり、前回に引き続き2編成4両での出場となりました。
※前回の出場は以下のリンクからご覧いただけます。


当初阿武隈急行線のAB900系は、薄藍色、緑、黄色、ピンク、オレンジと沿線自治体の自然や花の色に因んだ5色が昨年度までに登場しました。

これは当初予定されていた5色であり、本来はこの5色を基準に製造される予定でしたが、5色が一通り製造された後の阿武急車両は全く異なる色でその姿を現しました。


・出場時のようす

今回出場した色は、AB-7編成が「深緑」、AB-6編成が「赤色」。
緑はAB-2編成が過去に出場していますが、今回出場したAB-7編成はAB-2編成と緑の色合いが若干異なっております。

この日は土休日ダイヤでの出場の為、余裕時間は皆無。
しかし、昨年に比べギャラリーは少なめ。
ECOMOでの阿武隈急行車両牽引は今回が初めてである。
新色である深緑と赤色が降臨。
AB900系に新色が登場した瞬間である。
牽引機関車が変更になっている為に、初めて後ろの姿が撮影出来る。
ロゴと編成番号を隠せば…しなの鉄道

今年度の阿武隈急行の増備車は、昨年度とは異なり腰下部に養生された状態で出場し、車番は完全に目隠しされた状態となりました。

これは、2月1日未明に出場したE531系先頭車においても同様の措置が施されています。

恐らく、今後の拡幅車体の出場は、輸送時による線路際の雑草等の接触によるキズ防止のために腰下部に養生が施されるパターンが増えるものと思われます。


・甲種輸送

池子~新鶴見信号場間はDD200形7号機が牽引。
阿武隈急行車両の甲種輸送にDD200形機関車が充当されるのは今回が初めてである。
今回は側面下部に養生が施されているために昨年度と比べて若干異なるが、あれれ?どこかの車両と似てないか?
屋根上に怪しいアンテナの準備工事が…
詳細は不明のまま。
根岸線の駅を通過する深緑の阿武急車両。
赤色の「A」の文字が一際目立つ。
最後尾の赤も一際目立つ存在となる。


・他の第3セクター鉄道車両と似ている? AB-6編成

今回出場したAB-6編成は、長野県を走る第3セクター鉄道「しなの鉄道」のSR1系に似ているのではないかと少し話題になりました。

SR1系は、200番台と300番台の一部は過去に横浜で製造されている為、今回はこれらの比較を簡単ですがご紹介いたします。

・側面

まずは、側面から比較。

SR1系とAB900系はベースとなっている車両が異なります。

前者はJR東日本のE129系、後者は同E721系をベースとして製造されています。

ここで比較となるのは床面の高さです。

床面高さとは、車輪からドア(※ここでは便宜上ドアまでの高さとしています。)までの高さを指します。

この言葉が重要視され易いのは駅のプラットホームです。

実は日本の鉄道における駅のプラットホームは駅や地域によって異なります。

これは車輪の大きさが関係しており、各車モーターを分散して搭載している電車は車輪を大きくすることで車体バランスを保っておりますが、動力を機関車に集中する方式を採用している客車や貨車は各車にモーターを搭載する必要が無い為に車輪の大きさが電車よりも若干小さくなっております。

これにより、電車と客車では車輪からドアまでの高さが異なり、駅によってはドアとプラットホームの間に差が生じてしまうと乗り降りの際に大きな段差が発生します。

理想はドアとホームに段差が無いことが望ましいことであり、近年、都市圏の鉄道路線を中心にバリアフリー関連のもとに段差を極力減らす為にホームの嵩上げを行い段差を極力なくしています。

ただし、全て電車しか走っていない路線の話。

客車列車が1990年代初頭まで続いた東北等の地方線区は車輪の大きさが小さい為プラットホームも低く設計している為に、首都圏と地方都市を走る特急列車を中心に駅によっては大きな段差が発生してしまいます。

さて、どちらの段差に合わせるか課題になりますが、日本の鉄道車両は各車にモーターを搭載している動力分散車両が殆どの為、高いホームに合わせる車両がメインですが、地方線区を中心に段差を無くす為にドア部分だけステップをつけることで低くし段差を軽減している車両もあります。

前段が長くなってしまいまいたが、しなの鉄道SR1系のベースはE129系。
同系は一部の区間を除き昔から電車メインの区間を運用範囲としている為、高さも都市圏の鉄道を基準になっています。

しなの鉄道SR1系の側面。
この画像と次の画像を見比べていただきたい。

その反面、AB900系のベースはE721系。
1990年代初頭まで客車列車が主流だった東北地方。
ホームの高さも客車基準であった為、電車基準で製造すると大きな段差が発生します。
電車化にあたりプラットホームも嵩上げして段差を減らす方法もありますが、東北地方においても何百もある駅全てを電車基準で嵩上げするのは時間も費用も膨大にかかります。

そこで、なんとか低いホームでもバリアフリーに対応するために、車体構造から見直し、新しい低床電車を作り上げたのがE721系です。

AB900系の側面。
車体が上画像のSR1系と比べ車体が低くなっていることが分かるであろう。

ベースとなる両車が全く異なる為に、側面から比較しても似て非なる車両であると分かります。

・前面

前面部分も前述の通り車輪からドアまでの高さが異なる為、AB900系の方が若干低くなっています。

しかし、前はほぼ同じ形になっているのでのでは?

と思われがちですが、側面に比べて判りづらいですが若干異なります。

阿武隈急行線車両の前面。
しなの鉄道線車両の前面。

単純に見比べても同じでは?と思う方もいらっしゃると思われますが、両端にある窓ガラスの黒枠部分と車体色である赤色の境目を拡大すると以下の通りとなります。

阿武隈急行車両の前面部拡大。
しなの鉄道線車両の前面部拡大。

両車はほぼ同じ位置から切り取ったものであり、拡大すると赤色と黒色の境目が異なることがお分かりになると思います。

その他としては、真ん中の貫通扉の上部がAB900系は赤色に対してSR1系は黒色になっているのも違いとしてはっきり分かる部分かと思われます。

今回出場した車両は色と形が過去に出場したしなの鉄道SR1系に似ているように見えますが、良く見ると実は異なっている部分が多いというのが各鉄道車両にも色々と個性が見えるのも面白い所かなと感じます。




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