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バイオグラフィー -- 僕が失明するまでの記憶

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生まれてから失明するまでの記憶を、忘れないよう記録として書き留めました。 記憶に基づいた記述のため不正確な箇所や不鮮明な箇所があるかも知れませんが、一人の人間の生きた痕跡として、…
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#荒井由実

鳴りやまぬ嘲笑(僕が失明するまでの記憶 28)

 その後、中学校の先生が何度か見舞いにやってきた。退院後、学校をどうするのか離したかったのかも知れないが、直接的にその話題が出たことはなかった。

 副担任の先生は過去に養護学級を受け持っていたので、兄のことをよく知っているらしかった。芽が見えなくて退屈していることを気遣ってか、お気に入りの曲(荒井由実のベストセレクションだった)を入れたカセットテープをくれた。

 「古い曲ばかりだけど、よかった

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