死産を乗り越えて⑧

妊娠周期4ヶ月を過ぎると、中絶ができなくなります。


戸籍はできませんが、1人の人間としての扱いになりますので、


そのまま何処かに置いたりすれば「遺棄」になります。


ですので、人間が亡くなった時にするように「火葬」を行うのです。


僕は、発泡スチロールのような箱を抱えて、


火葬場に向かいました。


車の中で会話はなく、初めてのことで不安な状態で


なるべく落ち着いた格好で向かった。


葬儀用の服など持っていなかったので、服選びは結構気を使った。


葬儀場に到着し、受付を済ますと

奥に案内をされた。



そこには、立派な火葬場があった。


釜のようなところから、ベッドみたいなものがガラガラと引き出され、


大人が寝るにも大きいベッドに、手のひらサイズの赤ちゃんがチョコっと置かれた。


「では、これから火葬いたします」


そういうとスタッフの人がガラガラとベッドを釜のようなところにいれ
ガチャン!と頑丈に扉が閉められた。


最後の対面はあっけなくも感じた。


その瞬間、もう二度と会えないという思いと申し訳なさが一気に溢れてきた。



何も伝えることができなかった、


何も教えてあげることができなかった、


外の世界は楽しいぞってことをつたえてあげられなかった


この子は何を思っていたのだろう?


何を喋りたかったのだろうか?


そんなことをが一気に頭の中に駆け巡り


気がつけば大粒の涙を流していた。




「僕のところに少しでもきてくれてありがとう。ありがとう。。」
そう心の中で叫びながら、


⑨に続く

美容師の価値を高め、美容師として多くの人に幸せをお届けできるようにしていきます。