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真剣に印影と向き合ったUIの話

GMOサインのUIUXデザインをしていて、ふと立ち返る思いがあります。

日本人の印影に対する心ーー

ユーザビリティテストをしている時
アンケートにお答えいただいた時
レビューサイトに投稿された内容
サポートや営業担当に届いたたくさんのご意見

お客さまの声を聞いているときに必ず、多くはないのですが印影に対するご意見があります。
そして、そのご意見の裏側には必ず、「便利にしたい」思いと「"らしさ"を大切にしたい」思いの両方が込められていると感じています。


1/19リリース!新しい署名画面のイメージ

1/19に署名画面がリニューアルします

先日リニューアルの発表をした署名画面について、たくさんの反響をいただいております。ありがとうございます。
正直にお話すると、もちろんポジティブなご意見だけではありません。もっとこうしてほしかった、あの機能は残して欲しかった、などの改善要望もさらにいただいております。

その中でも今日は、印影についてのお話です。

既存の機能をなくす決断

現在の署名画面で「電子署名」という印影の画像を選択できるのですが、今度のリニューアルで廃止する運びとなり、代わりに、署名をする方の会社名(または氏名)のデジタル印影が最短ワンクリックで選べるようになります。

現在の署名画面:電子署名という印影を廃止します

この印影をなくす決断をした理由は、「電子署名」の印影を見た多くのお客さまを戸惑わせてしまっていたからです。

私たちがハンコを押印するとき、大抵が自分の名前や会社名がはいったハンコを利用します。意識しない間に、私たちの習慣となり刷り込まれていた常識が、この「電子署名」という印影で違和感を作っていました。

今まであった機能をなくす判断は、使いやすさを追求する上で不可欠な整理なのですが、ご利用いただいているお客さまのことを考えると非常に難しいことでもありました。
そこで「電子署名」印影をなくす代わりに、こだわったのが「使い勝手のよさ」と「違和感のない印影」です。

安心して押せる未来のハンコ

ユーザビリティ=使いやすさの追求とは、非常に感覚的であり、正解がなかなか見出せない難しい作業です。
それでも「電子署名」印影をなくすと決断したからには、この追求は不可欠であり、UIデザイナーとして絶対に譲ってはいけないポイントだと確信しました。

そのため、何度も何度もモックを作って、社内で何時間も議論を重ね、ようやく生み出した形を実現させました。

こだわりポイント1:「電子署名」で最短2クリックだったところを、最短1クリックに収めること。

クリック数が少ない=便利ではないのですが、少なくてすむのであればそれに越したことはありません。
あまり何も考えずに手軽に利用できていた「電子署名」印影が2クリックで押印できるのであれば、それよりもさらに良くしてやろう!と自分に課した目標でした。

こだわりポイント2:違和感を生まないこと。

先述したとおり、リアルの世界でハンコを押すときは「会社の名前」や「氏名」が入ったハンコを利用します。そのリアルでの違和感のない、当たり前の状態を電子でも実現すると決めました。

こだわりポイント3:"らしさ"を表現できる手段を残すこと。

使いやすさの追求をしていくと、あらゆることはシンプルに、削ぎ落とすことで分かりやすさを実現できると思います。
一方で、日本人のハンコに対する思いという、決して効率化をさせてはいけない情緒的な側面を、GMOサインでは大切にしていくべきだと考えています。
自分らしさを表現したり、印影を選ぶ楽しみや遊びの部分を残すことで、ただ文書を電子化するだけでなく、同時に相手への想いも届けることができればなんと嬉しいことだろうという願いも込められています。


こんな考えでもうすぐリリースを迎える新署名画面ですが、これがゴールだとは思っていません。
日々、お客さまの声をお聞かせいただきつつ、みなさまにとって使い勝手No.1のUIデザインになるよう磨き続けたいと思います。

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