【座右 #18】 親孝行、したい時に、しておこう
今年は、二人の兄を失った。
実兄と義兄だ。
二人とも私にとって、掛け替えのない存在だった。
「おい、のぼる。おめえは手の掛かる奴だなぁ。」
私は小さい頃は体が弱く、すぐに風邪を引いたりしていた。
しかし、大人になってから状況は逆転した。
二人は、医者など罹ったことのない体躯だったが、揃ってガンで命を落とした。
体の弱い私は、無理が利かない分、自然と体を慰る術を覚えた。
母も同じだ。
足腰はともかく、とても91歳とは思えないほど、内臓は元気だ。
「残念ながら、母さんは100歳まで生きれるなぁ。」と冗談を言ったら、
母は、苦笑いをしていた。
とは言え、この先そう長くは生きられないだろう。
悔いのないうちに、するべき事をしておこう...
母は、ちぎり絵が好きだ。
今まで作り続けたものを、知り合いがカフェに展示してくれた。
「これはねぇ、手が掛かったんだよ。」
自慢話なら、一日中出来るだろう。
「母さん、もう勘弁してくれ。」
心の中の『リトルnoboru』が呟いた。
母に別れを告げ、実家を後にした。
冬の黄昏は早い。
今日も、富士山がきれいだ。
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