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椅子に座り、高くなった視座で考える

前回の記事からの続き。考察編に入ります。


僕の家には机と椅子が無い、だから家での作業がおっくうだったのだ!!
この件は僕にとって軽くカルチャーショックだった。こんな簡単な事実に気づけずにこれまで生きていたのかという衝撃。
ただ、思い返せばこういうことは自身にはよく起こるし、ということはきっとみんなにも起こっているはず、と思いついた。そこで今日は「当たり前のことを見過ごしていること」について考察していく。

机と椅子がある生活

まずは一例として、机と椅子を手に入れてから生活がどう変わったのかを述べていく。

  • 自宅での仕事が効率的に
    パソコン作業が圧倒的に楽になる。最近は在宅勤務にも挑戦するなどしている。

  • 床で食事をしなくなった
    以前は床に食事を並べて済ませていたが、机にて食事ができるようになった。

  • エアドラムが捗る
    椅子に座ると足も自由に動かせるので、ハイハットの開閉やバスドラムの動きもできるようになった。

  • こうやって記事をコンスタントに書けるようになった
    これが最もわかりやすい。別にやらなくてよいことだったからずっと先延ばしにしてきたが、机と椅子が手に入ってから急に書けるようになった。

以上のように机と椅子の導入後、顕著にQOL(Quality of life)が向上していることが見て取れる。
これは逆に、導入以前はこれらができていなかったとも言える。地べたで食事を済ませて、地べたでパソコン開いて… まるで現代人とは思えない。
以前よりも高くなった今の視点からは(椅子に座っている)、この前までの地べたで生活する自分が未開人のように思えてしまう。文明の利器を活用することで人は視座の高さを手に入れることができるらしい。

机と椅子の便利さ、誰か教えてくれた?

ではなぜ、僕はこの歳になるまで、机と椅子の有用性、生活におけるその必要性に気づけなかったのか。次にこれを考えたい。
日本人にはそもそも畳の上で卓を使う文化があるからそのせいかもしれない。僕は日本人なので、床の上で活動することにそんなに違和感を覚えないのかも。
しかし、であるならばなぜローテーブルを使わなかったのか、という別の問題が出てくるからこれは本質的な原因ではない。地べた時代の僕はローテーブルすら使っていなかった。

もっと根本的な原因がそこにはある。それは「誰も教えてくれなかったから」である。どうだろう、思い返してみても机と椅子がこんなに便利だということをどこかのタイミングで習っただろうか? 少なくとも僕には覚えがない。
ここから今まで自分を育ててくれた大人たちに半ば八つ当たり的に疑問を投げかけていく。

まずは、なんで学校の先生たちはこんな大事なことを教えてくれなかったのか。しかし、たしかに、机と椅子だらけの学校で働く先生が「勉強するのにはまず机と椅子を用意しろよ~」なんて言わない。机と椅子の存在があまりに当たり前だからだ。教室にも、職員室にも、なぜか体育館にも、机と椅子はある。学校とは机と椅子で構成された場なのだ

では一緒に暮らす家族は? たいがいの家庭は小学校に入る際に勉強机を買っている。勉強机が無い家にもおそらくローテーブルはある。家に机があるのはどうやら当たり前らしい。「ゲーム終わったら机に向かいなさいよ」とは言ってくれるが、「家具において机と椅子って特に必須なのよ」とは言ってくれない。

最後に一人暮らしにおいての机と椅子。僕の場合、最初に一人暮らしをしたのは大学の近くの学生向けアパートだった。そこは家具・家電付きのアパートで、部屋にはあらかじめ冷蔵庫と電子レンジ、ベッド、そしてそう、勉強机が備え付けられていたのである。冷蔵庫、電子レンジ、ベッドと同レベルで生活にとって大切だと判断されてここに並んでいるのだ。
社会人になってしばらく、研修のために社宅に住んでいた時期があるのだが、ここも同様に家具・家電付きだった。学生アパートに比べいくぶんグレードは高く、冷蔵庫、電子レンジ、ベッドはもちろん、さらに洗濯機やテレビもあり、そして、そこにも備え付けられていたのだ、机と椅子が。
思い返せば、大学一回生のころは少なからず家でレポートを書けていたし、社宅に住んでいるときはこのnoteの更新頻度が高かった。
でも大家さんや会社は机と椅子の必要性について教えてくれることはない。

以上を踏まえ考えられること、それは、机と椅子という存在は、それが当たり前すぎるが故に誰もその必要性をあらためて口にしようはしない、ということである。だから、机と椅子というツールが勉強や作業をするのにとても有効であるということを誰も教えてはくれない、といった事態が起こる。

そこにあるのが当たり前すぎてその大切さに気づけない。愛や友情に対して使うような言葉が、実は机と椅子にも適用できるのである。

ということで、次回はこの「当たり前のことは気づけないし、誰も教えてくれない」ことについてもう少し深堀してみよう。

それでは、また。


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