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日々観察

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記憶の杭

私が物心ついたときから、私の祖母は認知症だった。 覚えている中で最も昔の記憶にあるのは、たまに私を孫だと思い出してくれる祖母。 「デイサービスのお出かけ先でおばあちゃんが買ってきてくれたんだよ」、と父が渡してくれた人形。祖母なりに、私を記憶の片隅に置いてくれていたのだと思う。 私はというと、祖母を祖母だと実感を持って認識できていなかった。幼い私の中では、きっと祖母なんだろう、と少し距離のある認識をしていたように思う。 私の成長とともに、祖母の認知症はじりじりと進んだ。記

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