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法人格の選び方(株式会社・合同会社・社団法人)

法人を作る際に、「どの法人格を選ぶべきか」という相談を受けることがあります。

調べていくとそれぞれの「法人格の違い」といったページが出てきます。
しかし情報量が多すぎて、結局、どれが適しているのかわからない、、、となる場合もあるかと思います。

選択を誤ると、あとから方向修正がかなり大変になる場合もありますので、慎重に検討していただきたいと思います。

一般的な事業をやる際に選択肢に上がるのは、
・株式会社
・合同会社
・社団法人(一般社団法人)
の3つです。

これらのうち、何を考慮して選ぶべきかをご説明します。

一番柔軟性が高いのは株式会社

最も重要視すべきと考えているのは、「事業・会社の長期的な方向性」です。
具体的に言えば、
・どういう事業を行っていくのか
・どの程度の規模を目指すのか
・資金調達を行う必要があるのか。あるとすればその手法はどういうものか
・経営幹部の体制
などを勘案して決定するべきです。
ご相談を受ける際は、まずはこの辺りをヒアリングさせてもらっています。

まず大前提として、「株式会社」が、一番柔軟性が高い形態です。
事業を行っていくうえで、方向性が変更になる場合もあるかと思いますが、株式会社であれば基本的に対応ができます。

ですので、迷った場合としては、株式会社を選択しておくことが安心です。

では、合同会社・社団法人はどのような場合に適しているのかをご説明しておきます。

合同会社のメリット・デメリット

合同会社を選択するメリットは、株式会社に比べて設立費用が安い(約15万円程度)という点です。
厳密にはこれ以外のメリットもありますが、意識するほどのものではありません。

合同会社は、一言でいえば「家族経営」を行う際に向いている仕組みです。

会社の方向性を決定することができるのは、設立にあたって資金を拠出した人(=「株主」といいます)になります。
※合同会社の場合は厳密には名称が違うが、考え方は似ているのでここでは「株主」で統一
合同会社は、株主が一人(または意見が割れることがない数名)で構成するのが適しています。逆に言うと、株主が多数になる場合には適していません。

仮に、将来的に外部の投資家から資金調達をして、会社を大きくしていきたい、上場を目指していきたい、と考えている場合、当然、株主が増えていくことになりますが、合同会社の仕組みではこれに適切に対応するのが難しいです。

また、第三者から見たときに、株式会社に比べて、小規模な会社なのだろうな、とみられる可能性が高まります。これは、見る人のとらえ方次第なので、必ずしもデメリットになるとは言い切れませんが。

加えて、経営幹部(株式会社でいうところの「取締役」)を増やしていくことも、株式会社に比べて制約条件が多くなります。ですので、設立以降、自分(創業メンバー)だけで経営していき、外部から経営幹部を採用することはないことを前提とした仕組みになっています。

社団法人のメリット・デメリット

まず、社団法人は「一般社団法人」と「公益社団法人」がありますが、起業するときに設立できるのは、原則「一般社団法人」だけですので、以後は「一般社団法人」についての説明となります。

社団法人のメリットは、「非営利目的の事業」を行う場合、法人税が非課税になる、というものです。(さらに、いくつかの要件を満たす必要あり)
「非営利目的の事業」とは、法律で定められているものです。
仮に、儲けるためにやる事業ではない、と思っていても、これに当たらなければ非課税にはなりませんので、注意が必要です。
具体的な判断、相談は、この分野に詳しい税理士の方に相談するべきだとおもいます。

株式会社や合同会社の場合、仮に「非営利目的の事業」で利益が出たら法人税が課税されます。
ですので、「非営利目的の事業」をメインで行う場合は、社団法人を選択したほうが有利になる場合があります。

一方でデメリットは、合同会社以上に、柔軟性がないということです。

社団法人は、一言でいえば「団体・サークル」というイメージです。
行う事業内容に制限はありませんが、そもそもとして、利益を追求していく、規模を大きくしていく、といった目的で用いられることを想定した法人形態ではありません。

このように、ベースにある考え方が会社(株式会社・合同会社)とは大きく異なります。
まず原則として、出資を受け入れることができません。また、利益が上がった場合でも、株主に配当(分配)することができません。他にも、独特の決まりがいくつもあります。

設立費用は株式会社に比べて安いのですが、深く検討せず社団法人を選択してしまうと、あとから軌道修正がかなり大変になってしまう場合があります。
あとから株式会社に変更したいとと思った場合、合同会社から株式会社になることは可能なのですが、社団法人からは不可能です。ですので、特に社団法人を選択する際は、慎重に検討していただきたいと思います。

最後に

以上、代表的な法人格の違いでした。なお、概要を理解していただくため、あえて細かい説明、例外的な事項については省略しています。
細かい制度や費用の違いの説明は、それらを解説しているサイトなどを参考にしていただければと思います。

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