07 I Was Told I Was Born On A Heavy Snowy Day
ゆっくりと踏みしめるような重いビート。
これまでの曲でもそうであったが、ビートの音を含め、部屋鳴りのような空間を感じさせる音色が多く用いられている。こうした音色は、Aphex Twinのアルバム"I Care Because You Do”でも多く用いられており、立体的な音像の獲得に寄与している。
まず以下のベースラインが登場する。
譜面では反復する音をすべて記譜しているが、実際はディレイを用いている。ベースのハーモニクスのような音色で、基音以外の倍音が目立って聞こえるため、音程がぼやけたような印象を与える。
次に弦楽器のような次の音が聞こえてくる。
一瞬A♭の音程が上ずる部分があり、ベースラインと同様に、調性がやや曖昧になるような印象を与えている。
続いて、弦楽器とサイン波のような音色による、以下のメロディーが登場する。
上の音は弦楽器のような音、下の音はサイン波のような音。音色の特性から、2つの音は溶け合った一つの音色のように聴こえる。4度、5度の並行により、スケールを外れたGナチュラルの音が現れている。
次に、ベルのような音色の、以下のフレーズが重なる。
3度音程が順次上行していくかたち。ここでも付点音符が使われ、一つ前の譜例のメロディと重なったり、離れたりする。
ここまでに登場したフレーズはいずれも8小節単位だが、ビートは12小節単位であり、ここでも"ずれ"による構造化が行われている。
その後、ビートが止まり、ベルのフレーズだけが残る。ベルのフレーズが止まり、その余韻が消えていく中で、グラニュラーされたサンプルのようなノイズがアクセントを加える。
ビートが再開した後は、これまでに登場したフレーズが抜き差しされ変化をつけながら、ビートはさらに細かく刻まれていく。ビートの音にディレイが掛けられているように聴こえる箇所もあり、ベースライン同様に4部音符のディレイタイムとなっている。これはメインとなるメロディが付点音符によることへの配慮だろう。
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