06 Sun | Moon

このアルバムの中でもとりわけ美しい楽曲。弦楽や合唱のような音色が幾重にも重なっていき、暗闇に柔らかな光が差し込むような印象を与える。


はじめに以下のパターンAが登場する。4度の響きがメイン。この楽曲においても、これまでの楽曲同様、Aを含む複数の旋律は12小節単位で一つのパターンを形成し、ブロックのよう組み替えられながら何度も登場する。

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次にパターンB。

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Aは2声であったが、Bは新たな音色も加わり3声となる。7の和音が展開された2度の響きが美しい。


ここでリズムトラックについて触れておく。AとBに重なるリズムパターンは類似しているが、部分的に音色やエフェクトが差し替えられている。楽曲を通じてこの2パターンのリズムが順番に繰り返され、徐々に加工され密度が増していく。


次にパターンC。

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さらに声部が加わり4声となる。サティやモンポウなども好んだ、4度の組合せによる和音が聴かれる。上声グループと下声グループは反行型のように動く。下声グループはパターンAと同一。


次にパターンD。

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5声。一番上の声部はCの上声グループと同一。残りはBと同一。


ここまで順次声部が増えていったが、次のパートで声部が減少し、リズムトラックも音数が間引かれる。ここで、より声に近いような新たな音色が登場することで、音数が減った分の情報量が補完され、音色の美しさも際立たされている。


続いてパターンEが登場する。

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ベースラインと高域の旋律が加わり、音数が増えると同時に、音域が一気に拡張され、楽曲中のひとつのピークを形成する。複数の音色が綾なすアンサンブルは繊細で非常に美しい。


ビートと旋律が繊細に変化を続けていく中で、次の旋律も加わる。

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これまでのパターンが12小節単位であったが、この旋律は8小節単位となっており、これまでの楽曲でもみられた、単位の異なるパターンがずれていく、ミニマリズム的な構造化がなされている。

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