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雑記:タイパ(Z世代)

今回は、本当の意味で雑記です。

はじめに

 Z世代とか、タイパとか、このnotoやネットの記事で目にする機会が増えました。最初に、申し上げておくべきは、私は、それらについてまともに調べていません。その状態で、記事を書くとどうなるか。それを試してみる、というチープな試みです。そういうわけで、notoで取り上げている人、ごめんなさいね。一切見ていませんが、この記事を書いた後に覗かせていただきます。

タイパが何か分からない

言葉の意味の不明さ

 いや、タイムパフォーマンスの略だというのは分かりますよ。でも、タイムパフォーマンスという言葉の意味が分からないんです。そして、それを調べていません。
 まず、先にコスパがあるというのは間違いないはずです。「コスパよりタイパ」とかいうやつですよね。では、コスパですが、こちらは、コストに対するパフォーマンスがいいことですから、例えば……CPUなら、かつてのRyzenシリーズは、明らかにインテルよりもコスパのいい製品でしたね。この場合、パフォーマンスとは、「性能」という程度の意味でしょう。
 一方で、タイパ。時間に対するパフォーマンス……一体どういうことなんでしょう。意味が、分からない、言葉です。私の頭が悪いのか、この言葉を考えた人の頭が悪いのかのどちらかでしょう。

パフォーマンスとは

 performについて、最初はフォルム――カタチづくるというニュアンスがあると思ったのですが、違うようですね。ゲルマン祖語「fram」に「per-」がついて、「遂行する」というのがコアのニュアンスの言葉です。したがって、その様子を見せることを「あれは、(仕事ができるってことを)見せているだけだよ」という意味で「あれば、パフォーマンスだよ」といったり、あるいは、さっきのように「遂行能力=性能」となるわけです。
 つまり、端的な成果(結果)を表す言葉ではないです。それをだせる能力だったり、プロセスを示す言葉です。

タイパの不明瞭さ

 遂行するプロセス、あるいはその能力と、コストは関係する……つまり条件だったり要素として関係すると思います。しかし、時間はどうでしょうか。コストに含まれている(コストの一部分)と考えることもできなくはないですが、遂行するプロセスとは、時間が――こういう言い方は好みではないですが――存在論的に関わる……というより分離できない存在様式ですよね。あるいは、遂行能力は、その現勢化の手前にあるものなので、時間と関係しないはずです。
 となると、これはあれですね。「コスパよりタイパ」というものありきで、厳密に考えられた言葉ではないですね。そういうことをやりそうな連中で思い浮かぶとしたら、差し当たって電2ですが……はい。某若者研究部が「Z世代の4大インサイト」とやらをまとめていますね。そのうちの一つが「コスパからタイパ」です。ま、これが初出じゃないと思いますが、追う意味がないので、ここまでとします。

Z世代について

 これは色んな人が言っているでしょうから、私がその代表的な特徴をまとめる必要はないでしょう。外堀だけ確認しておくと、1996年以降に生まれた人で、その世代が新入社員になるぐらいのタイミングだから注目されているということです。次の世代をα世代とか書いているのも見かけましたが、どういう理由なのかは、興味が無いのでほっておきます。そもそも「Z」の由来も知らな……まさか、今の戦争と関係、ないですよね……こわっ!

 特徴をまとめないといったものの、ある程度は明示しておかないと次につながらないので部分的に。曰く――議論が20分持たない。教えたことをその場できちんと理解するが、すぐ忘れる。残業とか無駄(に見える)仕事は嫌うが、仕事が嫌いなわけじゃなく、例えばワークシェアなどだと、楽しく仕事をする。安定志向+成長志向。などですか。
 いわゆる成長を諦めているような世代とは違う、というのが一つポイントでしょうし、あとはやはり時間に関する事柄ですね。そして、その代表的例が(授業や研修)動画を「1.5~2倍速」で見る、というやつです。

パフォーマンスが目的じゃない

 いわゆる「時短」との違いかもしれません。タイパといったとき、私が感じるのは、パフォーマンスが不在であるということです。動画を何倍速で見ようが、それは何かを遂行しているわけではないです。むしろ、その逆で成果を披露するようなパフォーマンスと正反対であることの方が多くないですか? 誰かに「オレは倍速で研修を見るんだぜ」って見せませんよね。いや、周りに誰かがいるかもしれませんが、倍速で見ているのは、単に当の本人のみです。
 そして、おそらくですが、倍速で見ない人より、半分の時間で仕事を遂行する能力(パフォーマンス)を身につけることが目的にされていない……これは完全に推測ですが、そう思います。
 時短に戻ると、時短(の目的)はようするに効率化です。そして悲しいかな、効率化によって得られた時間は、別の仕事で埋められるというのが時短です。そして、タイパ――あるいは倍速視聴は、この点でも、反対ではないにしろ大きく異なっています。なぜかというと、「空いた時間」に手早く倍速で済ませる、というもので、先に空いた時間があるからです。
 そして、このパフォーマンスが不在であるならば、次のことが納得できます。例えば……コスパは悪いが(もしそういうものがあるとして言葉の通りの意味での)タイパがいいもの――思いつきますか? なんでもいいんですが、ゴルゴ13はどうでしょう。彼への支払いは多額ですが、他の手段を使うより確実に(そして多くの場合手早く)遂行してくれます。では、Z世代の特徴は、このMr.トウゴウと重なりますか。全くと言っていいほど重なりません。Z世代にとって、パフォーマンスは目的でないだけでなく、そもそも関係がないものなのです。

Z世代の目的は何か

 これについては、わりと明確に分かっているのですが、少し余談にお付き合いください。
 この記事は「ビジネス」のジャンルにしない、雑記です。したがって、ビジネスシーンでZ世代が、性能が低いとか、根性がないとか、あるいはマネジメント側からすれば、他の世代と違った成果の発揮の仕方を促さないといけない対象とか、そういうことを、私は思いもしませんし、関心もありません。おそらく、ビジネスで語る水準の出来事では無いと思うからです。
 一方で、特定の世代に限らず、ある程度確かな方向性の変化があると思います。それを価値観の違いという人もいるでしょうが、ようするに何を大事に思うか、の変化のことです。それは、端的には、時間です。ここでやっと、タイパという言葉の片割れとつながります。
 時間といっても色々あるでしょうが、人生における豊かな時間。そのためには健康であることが不可欠ですが、どうすれば健康を維持(Z世代がサステナビリティに興味を示すのは、こういう意味での持続に限定されているのではないでしょうか)できるのかは、みんな知っています。①適度な運動 ②健康的な食事 ③8時間の睡眠 ④友人などとのコミュニケーション。こういうことのために、時間が必要なのです。これらのことは、私が考えたことではないです。有名な『ライフ・シフト2』に書いてあることです。
 そして、『ライフ・シフト2』の著者は、会社と個人との関係について、それらを融合させる核は、正しい目的を持ち、所属したいと思えるようなコミュニティーがあり、従業員の人生をサポートできるような要素を持つこと。総じて、会社側が自社を選んでくれるようにする力(employmentability)が重要になると続けます。
 ぶっちゃけ、会社と個人の関係は、どうでもいいのですが、Z世代の人が、「正解より納得解」を求めるとか、アフター5の時間拘束を嫌がるとか、そういう表面的なことに頭を悩ますより、彼らが大事にしているもの――それと関連するものとしての時間(の使い方)を、完璧じゃなくていいのでラフに捉えておくことの方が、効率がいいと思います。

 つらつらと書いてきましたが、最初にことわっておいたように、これらは間違いかもしれません。ただ、唯一間違っていないことがあるとするなら、「Z世代」とか(それよりも)「タイパ」といった紛うことなきクソワードを使うことは、事態を複雑にするだけということです。複雑にすることで、解決しないといけない問題を創ったり、マーケティングにおけるバズワードにしたり……いずれにせよ金儲けしようとしている。そのことが、クソなのであって、Z世代的な諸特徴(人生についての考え方)はクソではありません。
 あと、個人的にはタイパとは、プロフェッショナルとか職人技に帰属させるべき言葉だと思います。それらの人物は、新入社員よりも熟練者、組織に属するより、独立の側です。ようするに、ジャンルや水準が間違っているだけでなく、まさに反対のものなのです。さらに、そのような熟練のためには「膨大な時間」こそが必要なのであり、Z世代の方がタイパにこだわるなら……ここでも、まさにこだわるゆえに到達できないという意味で反対のものです。

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