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【本の感想07】仕事文脈vol.17 / タバブックス(発行)

雑誌形式の本の感想を書くのは初めてなので、うまいまとめ方がわからない。今回は、印象に残った記事について別々に感想を書くことにする。

【「私たちの7年8か月」アンケート(p.50~)】
このアンケート(?)からは、多種多様な属性を持つ人たちの生活や思想がうかがえた。この7年8か月で生活がどのように変化したか、またこれからどう変化するかという質問は、いわずもがな7年8か月続いた某政権のことを出発点にしている。世の中の不穏な空気に戸惑いや不安を感じるようになったり、明確に仕事に影響が出るようになったりという人もいるようだ。また一方で、進学・就職・転職・結婚・移住…といった環境の変化にともなって変化した生活や思想について語る人もいた。読んでいると、各々が各々の場所で生活を続けているということ自体に励まされる。僕自身来年度から環境が大きく変わることもあり、○年間とか期間を決めて自身の差分を観察してみるのはいいかもな、と思った。

【言葉の扱いに関する記事(p.8~)】
去年の緊急事態宣言発令時の演説で聞かされた、国民の生活に配慮してますよ~感だけ出した空っぽな言葉。国民に信頼されないという不安から乱発される「しっかり」「誠実に」「させていただく」といった言葉。大仰な言い回しへの違和感の正体と、確かに感じた落胆を裏書きしてくれた。

【非常勤講師の現状に関する記事(p.12~)】
大学への国の助成金について、僕はこんな風に理解していた。教育は短期で利益が上がりにくいため民間企業に任せていては十分に供給されない→国が担保して助成金を出す、という流れだ。
けれど、大学の経営が助成金なしでは成り立たないくらいギリギリで、教員の授業にもコスパを気にするようになってしまっているなら、これは本末転倒だ。国の助成金の割当方とか私立大学の経営手法とかが気になった。
そして文章の調子がとても好みだった。

【セーファースペースに関する記事(p.81~)】
完全に安全な場など作れないと言ってあきらめるのは、安全圏にいる人たちの身勝手な判断だ。(故意/過失に関係なくおきる)差別を最小化する「より安全な」場を作るという主張には、問題の焦点を主体的に把握させてくれる力を感じた。
「より安全な」場を作るためには、自分の持つ特権に自覚的である必要がある(と理解した)。例えば、日本において、男性・ヘテロセクシャル・健常者などの属性を持った人は、それぞれの属性について特権を持っているといえそうだ。特権を持っている人は、問題に対して無自覚でいたり安全圏から眺めたりできてしまう。くわえて自分の特権を特権と思っていないことが多い。つまり特権を自覚することではじめて、差別を生む構造に気付いたり問題を正しく把握できるようになる。
セーファースペースに関する議論は、社会運動を行なうグループの中にも存在するハラスメント問題に端を発したものであるようで、最近アライ(Ally)の問題に関心を持っていた僕にとってはタイムリーな話だった。

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