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URBAN PERMACULTULE GUIDE

読んだ本の記録と思考について、アーカイブとして書いていこうと思う。

URBAN PERMACULTULE GUIDE
都会からはじまる新しい生き方のデザイン
ソーヤー海

パーマカルチャーといえば田舎のイメージが強いが、都会で実現してこそ影響力があるのではと、アーバン・パーマカルチャー(UPC)として実践しているソーヤー海氏。
UPCの重要なメソッドとして5つのキーワードを提示する。

Edible.
自給自足の第一歩、食の自給。
ビルの屋上、ベランダ、グリーンカーテンなど、都会のあらゆる隙間にガーデンを作る事例を紹介してくれる。
都会でガーデンを作ることは、単に作物を育てるという意味だけでなく、コミュニティを生み出し、動植物の相互関係について理解することにつながる。
私もベランダでトマトとナスを育て始めたが、作物が実るのはとても楽しいし、受粉のためには蜂が来てほしいとか、陽が当たりすぎているから陰にずらそうとか、自然の動きを考えるようになった。
エディブルガーデンの特徴は、単一栽培ではなく、ハーブや多年草など多様な植物を一緒に育てること。
組み合わせがうまくいけば、ほぼ手入れせずに繁殖させることができるそう。
今度はバジル、大葉、ミントを育ててみたい。
そして、土を育てるためコンポストもやってみたい。
ハルタで開催したイベントで、日本橋のビルの屋上でアーバンファームをやっていた方と知り合った。
今度そこでパーマカルチャースクールがあるというので、参加してみようと思う。

DIY.
資本主義経済の中で生きていると、圧倒的に消費者になる。自分の身の回りのものがどこから来て、何でできているのかを知ることは、災害や財政破綻に対する備えとなる。
DIYは単なる日曜大工ではなく、電力、水、ひいては家などのインフラを自作してしまおうという意味。
オフグリッドは最先端で高性能な技術と思いがちだが、中古のソーラーパネルやバッテリーがあれば電気は作れるし、アースオーブンを作ればピザが焼ける。
学部時代、卒業設計で考えていた、オフグリッドな農村の構想は、剪定枝や廃棄野菜を原料にバイオマス発電をしようというもの。
当時からオフグリッドには興味があったし、建築と密接に関わるものだと思う。
今、改めて自分の生活でリアルにオフグリッドを考えると、発電してエネルギーを自給するという社会的意義以上に、その過程の楽しさがあると思う。

Edge.
直訳すると縁、境界、になるが、UPCにおいてEdgeは異なる領域が混ざり合う"新しい可能性の場"。
例えば、プライベートな場である家と、パブリックな場である街との間のエッジには、細い庭や私道、ベンチなどがあり、本来は誰でも使うことができる。
そのようなエッジに目をつけ、ゲリラ的にデザインするのが"シティリペア"の発想。
クレルの庭を掘り起こしてガーデンにしたことも、今思えばシティリペアだった。

Gift.
パーマカルチャーにおいて、己の資産は個人で独占するものではなく、相互に分け与え合うもの。
資産とは単純なお金ではなく、畑で採れた余剰作物や、不要になった物、知識、専門スキルなど、分け与えても困らないものが基本。
そのように分け与えて相互扶助的に循環する経済をギフトエコノミーと呼ぶ。
マーク・ボイルの"無銭経済宣言"を読んで、資本主義社会の貨幣経済のなかでも、お金を一切使わずに自給自足やドネーションで1年間生活するなど、現代でも贈与による自立は可能であることが証明されている。
内田樹のいう贈与経済もこれにあたるだろう。今自分の手元にある金や資産、知識などは、先人達が渡してくれたバトンのようなもので、常に流動するもの。今たまたま自分の手元にあるタイミングというだけなので、次の世代に向けて送り出していく必要があると。
知識の贈与=教育であり、貨幣の贈与=投資であって、贈与に対する見返りは必ずしもすぐにくるものではない。
情けは人の為ならず、というが、回り回って自分の糧となり、信頼になる。
一方でお金を介したやり取りは、契約のようなもの。
受けたサービスに対して等価な金を支払うことで、やり取りが清算されて、あなたと私の間に貸しはないですよ、関係は終わりです、というように個別完結してしまう。
しかし贈与経済では、貨幣のような価値の共通認識がないため、受けた贈与に対して、別の贈与でお返しをする。
それは義務ではなく、気持ちを伝えるもの。
シンプルに、もらったら嬉しい。
あげて喜んでもらえるのも嬉しい。
人と人を繋ぐ経済構造なのだ。
クレルのテーマはまさにギフトエコノミー。
北信の方言で、"くれる=あげる"。
貨幣の伴う売買の関係ではなく、贈与によって地域コミュニティに参画できないか、ということを考えてのコンセプトだった。
実際、お隣さんからはよく野菜をもらい、その野菜でおかずを作ってお返ししたり、子供達が遊びに来て一緒に遊んであげたら、お母さんからバジルソースをいただいたりした。
シェアメイト各々の友達を誘い、ポットラック的に食材持参でパーティーを行ったこともあった。
ギフトエコノミーを肌で実感した経験である。
建築を建てるという行為は、資本主義の中でとても大きな経済行為となってしまった。
住宅は商品となり、欲しいものはすべて対価を払ってオプションとして付加していく。
今の社会構造で、その構図をひっくり返すことは難しいだろうが、
自主施工(DIY)やワークショップ(DIWO=DoItWithOthers)で建築をつくる過程をGIFTすることはできるかもしれない。


都会の良さは、情報と人脈を繋げやすいこと。
フットワーク軽く、いろんなところに顔を出して人に会ってみたい。