太陽が好き
大学卒業してすぐ、アニメーションの撮影会社で働いていたことがある。
自分が何をやりたいかもわからず、
かと言って、当時付き合って間もなかった大好きだった彼を置いて実家に帰る気にもなれず、
求人雑誌で見つけた『デジタルアニメーションスタッフ募集』という記事に飛びついた。
アニメーションが特別好きな訳ではなかったが、横文字のかっこよさに惹かれたのだ。なんというか、うん、浅はかである。
入ってみれば、キャプ翼や、ハンター×ハンターなどを撮影した会社で、同期たちも、どちらかというとオタク❗️というタイプのアニメ好きが集まっていた。
当時はちょうど、アナログセル画アニメーションからデジタルアニメーションへの移行期で、『デジタルも基本はアナログから』という社長の考えのもと、私たち新人はみんな、アナログ撮影のカメラアシスタントに回された。
毎日、暗室で始まり暗室で終わるお仕事。
綿の白手袋をして、セル画表を見ながら、指示通りにセル画を組み合わせてカメラマンに渡す、セル画表の内容を正確にカメラマンに伝える、というのがお仕事。
締切があり、正確さが求められる仕事は、常に緊張感を伴って、心はいつも、張り詰めていたように思う。
実際にテレビで放映されるアニメーションの一部を私も担ってるんだ、
という喜びはあったけど、
もともと引っ越しの第一条件が『日当たり良好!』というくらい、太陽の光が欠かせない私が、スタッフの御使いを任された時以外は太陽の光にあずかれない生活は、体質的に辛かった。
日に日にストレスとして体に心に蓄積し、あっという間に、顔中ニキビだらけになった。
それでも簡単に辞めるのは嫌で、1年は頑張ったけれど、
色彩設定という、アニメのキャラクターや全ての使用色を決定する立場の仕事の勉強をしてみないか、と社長から持ちかけられたことを機に、悩んだ末に、退職を決意した。
下積み5年〜8年と言われ、
本当にやりたい❓
情熱が湧く❓
アニメーション、ほんとに好き❓
と、自分に問うたのだ。
人生の要所要所で、自分を深く掘り下げざるを得ない選択肢に迫られる。
今となってはギフトだなぁーーと、心から思えるのがうれしい。
さて、
そんなこんなで、
私にとって太陽は今でも大好きな存在だ。
この太陽の絵は、ずいぶん時が経って、太陽と月を描いてみたくなって、30代の時に描いたもの。
こんなふうに、たくさんの愛のエネルギーを携えて、
毎日ピカピカの顔で登ってきてくれる太陽に
敬意を称しまして。
今日もありがとう〜❣️
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