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大手ディベロッパー2社の織りなす好対照

14階建てマンション、レーベン盛岡紺屋町の建設計画に関して、住民説明会の報道以来沈黙を守ってきた岩手日報さんですが、昨日「紺屋町まちづくりの会」が盛岡市長に要望書を渡したことについては報道してくださっているようです。

報道によると、BOOKNERD(ブックナード)店主の早坂大輔さんは「盛岡の景観を守ることは今まで互いの気遣いや性善説で成り立ってきたが、暗黙の了解が通用しないフェーズ(局面)に来ている」と述べていらっしゃるとのことですが、個人的には全く同感です。

これまでは、盛岡の市場価値がそれほど注目されていなかったため、開発をするのは地域内の業者や長年地域内で営業してきた業者の方が多かったように思いますが、中心市街地の再開発が進められたり、ニューヨークタイムズの記事で取り上げられたりしたことで一気に注目が集まり、今回のように、市内各地の特性を理解しないまま建設計画が建てられる例が現れるようになったのかもしれません。

非常に好対照だと思われるのは、レーベン盛岡紺屋町建設予定地の向かい、以前平興商店があった場所で建設が進められている、大和ハウス工業さんの(おそらく)賃貸マンションの建設計画です。

企業ならば本来少しでも利益を上げたいはずですし、同社はマンションも多く手掛けていますが、この建築計画では3階建て、約10メートルの高さとなっています。この地域は「近隣商業地域」となっており、私の理解が正しければ、通常は容積率500%、つまり5階建てまでは建てられるエリアだと思いますが、(もしかしたら他の規制があってそうしたのかもしれませんが)あえてこの高さに抑えているのは、盛岡に支社があり、戸建てを含め、長年盛岡で事業を行ってきた同社が、この地域の特性に配慮した上で決定した計画のようについつい感じてしまいます。

実際、大和ハウス工業さんの建築計画には、「(以前その場にあった)平興商店がなくなって寂しい」という声はあるものの、少なくとも私は反対する声を一度も聞いたことがありません。

一方、以前も紹介したように、レーベン盛岡紺屋町の建築計画は、14階建て、高さ43メートルです。

考えたくはないのですが、タカラレーベンの支社は盛岡にない(仙台にはある)ため、事前調査が不十分で、街の特性を十分理解しないまま今回の建築計画を立てたというようなことがもしあるならば、(もっと街や景観と調和し、付加価値をつける形で開発できたはずなのにそうできなかったという意味で)ほかでもない同社にとっても大きな機会損失になる可能性があるように思います。

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