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縛りプレイとしての女子スポーツ

女子スポーツについて、「性的な関心などから選手の容姿がやたらと注目されている(のはよくない)」といった意見が、選手からもそれ以外からもみられる。
しかし個人的には、メディアでの取り上げられ方に思うところがあるのは分かるものの、女子スポーツにおいて選手の容姿が注目されるのは半ば当然ではないかと思う。

身体能力の差がある以上、女子スポーツは男子スポーツよりどうしてもレベルが低くなってしまう。
仮に棒人間が男子スポーツの動きと女子スポーツの動きをそれぞれしていたとして、属性情報なしでどちらが観戦対象に選ばれるかと考えたら当然に男子側だろう。

女子スポーツは競技として男子スポーツよりもレベルが低いのだから、純粋に「そのスポーツ」を観戦したいなら男子スポーツが選ばれて当然。観る側からすれば、女子スポーツには男子スポーツにない付加価値を求めるしかない。そして性的な関心などに基づき「選手の容姿」もその付加価値に含まれる。


自分としては、女子スポーツの付加価値・見どころ=男子スポーツではなく女子スポーツを観る理由は主に以下の2点と考えている。
①「制約の中でどこまで極められるか」に関心がある
②「女性」に関心がある

そして、これらはゲームでいう「縛りプレイ」のそれに相当するのではないかと考えている。
まあ、見どころが似ているというよりは、そもそも女子スポーツというものが客観的にはまさに縛りプレイそのものだから必然的にそうなると言った方が正しい。


①「制約の中でどこまで極められるか」に関心がある

男子スポーツと女子スポーツの最も大きな違いは何か?……選手の性別である(それはそう)。
男女でルールが同じであれば大枠で違うのは性別くらいしかない。
(規模感や待遇面なども含むその他の様々な違いは、性差に伴う競技レベルの違いや自由選択結果としてのプレイヤー人口の差等に起因するものと自分は考えている。)

繰り返しになるが、男女には総体として身体能力の差がある。男子と比較して女子は基本的にパラメータが低く、レベル上げをしてもパラメータの上限が低い。
そんな中、「『女子としては』高いレベルでスポーツをしている」ということが付加価値として機能し得る。弱いキャラでどこまで強くなれるか、どこまで攻略できるかということ。

(一応別の付加価値として、男子のようなパワープレイができない分女子ではテクニック重視のプレイが期待できる、とかはあるかもしれないが……。そのテクニックの絶対値が男子より高いかは別として)

なお、このような付加価値を持つのは何も女子スポーツに限ったことではない。
障害者スポーツもそうだし、児童生徒のスポーツだってそう。もっと言えば、階級性の競技なんかもそうだ(無差別級を除く)。要は、(男子の)最高峰以外全てがそうであると言える。

「女子縛り」「障害者縛り」「中学生縛り」「軽量級縛り」……それらは純粋な最高峰ではなくとも、制約の中でどこまで極められるのかという別の魅力があるのだ。


②「女性」に関心がある

言うまでもないが、「『女性』に関心がある」というのは男子スポーツではなく女子スポーツを観る理由になる。
性的な関心以外にも、例えば同じ女性として応援するという場合が考えられる。いずれも選手が「女子」であることに価値を見出している。

そして、縛りプレイの一種として「好きなキャラで攻略する」というのがある(自分の過去記事にもそのタイプのがある)。

強さ基準だと選ばれない好きなキャラで工夫して攻略するのは楽しいし、他人のプレイでも自分の好きなキャラが活躍しているのは(何なら活躍していなくても)観ていて楽しい。
実際にスポーツをする側からすれば不愉快な言い草だろうが、縛りなしの環境では必ずしも一線級でない好きなキャラがバトルに出ているのは、それだけで観る側としては惹かれるものがある

好きなキャラが「女子選手」と広めの場合もあれば女子選手の中でさらに好きなキャラがいる場合もあるだろう。
さらに女子選手の中でその「好きなキャラ」がどのように決まるかというと、個々の選手の能力のほかに人柄や容姿、出身地などの要素もある。

元々の動機が性的関心であれば容姿に注目が集まるのは当然として、それ抜きでも——それこそ「制約の中でどこまで極められるか」の方に関心があったとしても——醜男より美男の方が、醜女より美女の方が単純に好印象だし、同じことをしてもよりかっこよく見えるはず。容姿の優れた選手が「人気キャラ」となるのは別におかしなことではない。

(容姿の優れた選手が人気キャラになりやすいのは男子スポーツでも同じだろうが、その傾向が女子スポーツでより顕著であるとするならば、やはり純粋なスポーツとしての見どころの差によるものだと思う。)


以上のように、前提として「単にスポーツ観戦をするなら男子スポーツの方がいいじゃん」というのがどうしてもあり、わざわざ女子スポーツを観るとなると選手の容姿が注目されるのは半ば当然かと思う。

スポーツ選手として容姿ではなく実力やパフォーマンスを見てほしいというのは分かる。
しかし、観る人が性的な関心などから選手の容姿に注目すること自体は止められるものではないし、できたとして止めていいものでもない。そんなの人の勝手だ(容姿ばかりに注目するなと言うのも自由)。

ただし、選手本人への配慮として「観る人が勝手に容姿に注目している状態」を目指してもいいかもしれない。すなわち、メディアはなるべく容姿に関係なくフラットに取り扱い、観る人は選手にいちいちセクハラしに行ったりはせず内々で勝手に容姿に注目したりしなかったりするなど。
スポーツに「興行」としての側面がある以上、集客に影響が出るなどで主にメディア側が割を食い全方位ヨシとはいかないかもしれないが、落とし所はまあそんなところになるのではないか。

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