【創作】あの年のクリスマス【朗読脚本】

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上記 #ポッドキャスト朗読パーティ に参加させていただく良い御縁に触発され、音声配信後書き始めました。あくまで創作ですし、これを使って何かをしようとは思っておりません。逆に何か使い道があれば是非使ってください!(笑笑

今後も何か思いついたように書ければいいなぁ。皆様メリークリスマス☆彡

もう一度、君に会いたいから

 自分には関係ないと思っていたクリスマス、ずっと前からイベント事のある日は逆に忙しい日々を送っている自分にとっては、むしろ面倒な日でしかなかった。そもそも他人の誕生日に何をしてるんだ、前日が一番盛り上がってるこの国はなんなんだ。口に出そうものならば周りから引かれること請け合いだ。俺は他の人とは違うだなんておこがましい考えを持ったまま、興味ないと嘯き、甘くてやわらかい白雪のようなイチゴのショートケーキをPOSに打ち込んでいた。はや20数年も生きてきて、ただ自分と向き合うのが怖かっただけだ。
 そんな俺にだって、人付き合いの一つや二つはあった。だがこういうイベント事には決まって、だって忙しいんでしょ?とバッサリ。ああそうだよごめんな。なんて古臭いwで埋めつくした返信もしてごまかしていた。
 あくる年、バチでもあたったのか、23日に腕を強くぶつけてしまい、仕事にいけなくなった事がある。バイト先からは「たまには羽を伸ばして休め」とありがた迷惑な反応で、初めてクリスマスという物を謳歌しなければならなかった。イヴの日、何も思いつかないまま布団にコーティングされていたタイミングで、毎年の様にピロンと通知音が鳴る。
「今年も忙しいよね?たまには休みとりなよ。」とMから他愛もない文言、「ケガしたから寝てた。しばらく休みだよ。」と返して眠りについた。どの位の時間が経っていたか、今度は通知音ではなく着信音がけたたましく鳴り始めた。ため息交じりに通話をつなげれば…

家の前にいる。
は?
いいから早く開けなさいよ。

 なし崩しに何故かMが部屋にいる。皆と遊びに行けばよかったじゃないか、自虐と皮肉と謝罪が止まらない。そんな俺を見かねたのかMは

一人が慣れてるのか知らないけど、休みなら祝えるでしょ。
俺倒れてるんだけど。なんで皆と…
私が決めたんだからいいの。ほら、皆とは毎年いれるけど、貴方と一緒に過ごせるクリスマスなんて次いつくるかわからないんだから、たまにはこういう年もいいじゃない。ケーキ置いておくね。

 そのままMと一緒に部屋にいた。何をするわけでもなく、でも俺の中では初体験の事だ。
 次の日もMは何をするわけでもない俺の腕を引っ張る様に外へ連れ出し、近所で有名なイルミネーションへ、

 それから、毎年とは言わないまでも、クリスマスは休める時には休みをいれるようにした。

 もう一度、あの日のMが見たくなったから。

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