【コラム】ニュースで言ってる金融政策ってなんだろう?

これを書いている本日は2020年3月14日です。アメリカは先日までにFRBが大規模な金融政策を既に打ち出した、と報道されています。そして、アメリカ政府も緊急事態宣言の中に学生ローンなどの免税が織り込み、FRBと政府が動かす金額規模は日本と全く桁違いのレベルとなりました。

さて、こんな風に、私たちの日常では「金融政策」という言葉や「FRB」という専門用語がュースで飛び交っていますが、皆さんはどれくらい専門用語を理解しているでしょうか。

今回は簡単な用語解説と、アメリカの金融システムの仕組みに関する解説をします。初心者向きの内容です。

A:「金融政策」は、中央銀行が行う金利操作

今回話題に挙げた金融政策とは、各国の「中央銀行が、市中銀行との間で国債やETFを売買することにより、金利を操作する」という方法です。中央銀行とは、日本で言えば日銀、アメリカで言えばFRB、EUではECBが該当します。

今回は、アメリカの仕組みを例に挙げて説明をしようと思います。アメリカはご存知の通り巨大な国なので、中央銀行が1箇所では合理的に機能しないため、機能を12の連邦準備銀行に分担しています。だから日本より組織が少し複雑なのです。

FEDの仕組み

機能が12か所に分散されているとは言え、やはりワシントンにある機関が中枢となります。そのため、これを指してFRB(The Federal Reserve Board)と言うことが多いようです。しかし、結局は連邦準備銀行も中央銀行機能の一部ですから、全てまとめてFRBという言い方をしている場合もあります。

紛らわしいことに、12か所ある連邦準備銀行も、英語にするとThe Federal Reserve Bankとなりますので、これも略すとFRBとなります。いずれにせよ、FRBと聞いたら「アメリカの中央銀行だ」と捉えておきましょう。

日本には存在しないこの連邦準備銀行ですが、法人であるため株式を発行しています加盟している各市中銀行が株式を購入する形で出資することで成り立っている仕組みです。持ち株数の多さと発言権の強さは比例しませんので、中立性は保たれています。

上図には書いていませんが、FRBはFOMCと呼ばれる会合を定期的に行っています。これは、日本でいうところの日銀政策決定会合です。今月17日から行われるFOMCでは、更に政策金利を大幅に下げる政策が打ち出される予想も出ています。

B:政策金利は、中央銀行が市中銀行にお金を貸し出す時の金利

市中銀行が中央銀行からお金を調達する際にも金利が発生しています。これが「政策金利」と呼ばれるものです。金融政策では、この政策金利を上下させることによって金利をコントロールしています。政策金利が下がれば、市中銀行は中央銀行からお金を調達しやすくなります。市中銀行がお金を調達しやすくなると、国民は市中銀行から安い金利でお金を借りられるようになります。政策金利を下げると、その効果波及によって市場にお金が供給されやすくなることになります。

C:量的緩和の役割

しかし、供給しやすい環境が整っても、供給されるお金が足りなければ意味がありません。そこは量的緩和政策でカバーします。これも金融政策の一環です。中央銀行が市中銀行の持つ国債を買い取ることで、直接お金を市中銀行に供給します。

2020年2月は、コロナショックのパニックにより現金需要が非常に高まりました。いろんなものを売り、現金(ドル)にする流れがあちらこちらで発生したのです。その結果、ドルの供給量が不足し、パニック状態になりました。金融政策で金利を下げてもすぐに株価が下げ止まらなかった理由は、ここにあると思われます。

つまり、金利の上下はあくまでも「環境を整える」役割です。お金自体が足りない場合は、環境をいくら整えてもダメなのです。

D:金融政策は中央銀行が行うが、財政政策は政府が行う

金融政策に対して、財政政策という言葉も聞いたことがあると思います。財政政策の例としては、公共事業の拡大や縮小や、減税などが挙げられます。これらは、所得増加を促したり、可処分所得を増やす(国民が使えるお金を増やす)ことが主な内容となります。冒頭で触れた、アメリカ政府が行った学生ローンの免税はこちらに該当することはわかると思います。

いずれもう少し詳しく説明するつもりですが、とりあえずこれくらいのことを知っておけばニュースも頭に入りやすくなると思います。

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