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【コラム】似非相場サイクル論を切る

2022年7月現在、個人投資家の心境は悲観に満ち溢れているようです。このところ、専門家やプロと名の付く人たちが「逆金融相場に入った可能性がある」とか「逆業績相場なんじゃないの」と発言をすることもあり、私のところにも非常に多くの同じ質問が飛んできます。

「逆金融(業績)相場に入ったという意見を聞きますが、どう思いますか?」という具合です。

結論を先に述べると「入っていません」。

私が何故、今は逆金融相場や逆業績相場でないと言い切れるのか。理由は3つりますが、答えは簡単です。

逆金融相場や逆業績相場は、業績相場の後にやってくる

1つ目の理由は一番簡単で「業績相場がまだ来ていないから」です。業績相場無しに、逆金融相場入りすることはありません。春の後にいきなり秋が来ますか?特殊な気象の年だって、そこまで極端なことはないでしょう。

そもそも、プロを名乗っている人たちは、何を根拠に今が逆金融相場や逆業績相場だと言っているのか誰も示せていません。

私は穴が開くほど毎日サイクルの進捗を観察していますが、そんな私が気づかない内に業績相場は終わっていたのですか?
何かの理由によって今回は業績相場がスキップされたというなら、その理由は何ですか?

2020年から金利が下がって金融相場の火がついた。株価が騰がって、今度は金利が上がりそうだから金融相場が終わる。そして調整が始まった。
次は暖まってきた企業業績が上向くから、今度は業績相場になる。今はこの段階です。

はっきり書きますが、私には多くの人が年明けから続くこの調整に怯えて「逆金融相場が来た」と騒いでるだけに見えます。確かに見どころのない面白くない相場ですが、こんなのは普通レベルの調整ですよ。暴落でも何でもない。

そもそも、今年の年初はサイクル論で見ても大きく下がる時期だとわかっていました。本当かどうか確かめたい人は、私のツイッターを遡るとよいでしょう。

もう、付け焼き刃の知識で相場サイクルが使われているとしか思えないのです。だから今が逆業績相場などと…これは妄言です。プロが聞いて呆れます。

相場サイクル論は、長期の視点で利用してこそ有効

2つ目の理由です。相場サイクル論は、たった2年半で一巡するような短期の理論ではありません。多少は前後しますが、基本は10年で見ます。
苦し紛れに彼ら「プロ」をフォローするとすれば、一応、約10年という大きなサイクルの中に2〜3年という小さなサイクルがある…という説明は出来なくはない。

しかし、その様な短い期間をサイクル論で語ることは何の役にも立ちません。サイクル論は短期の分析を前提として組み立てられていないのです。長期の全体的な流れを把握するために使うものなので、その性質上、進捗状況を後解釈でしか断定出来ないからです。2年半という短い期間を分析するにはあまりにも不向きです。

今の状況で万が一相場の摂理が歪んだとしても、それは逆金融相場入りを意味するものではない

理由の3つ目。万が一相場の摂理が歪み、ここから一気にリセッション入りするなら、それは逆金融相場の開始ではなく「サイクル自体のリセット」になるでしょう。このシナリオの可能性は残念ながらゼロではない。

想像してみてください。規則正しく季節を刻んでいた地球に突然隕石が落ちたら、しばらくは四季の変化はグチャグチャになるでしょう。四季の秩序が元通りに戻るには、何年も(何万年も?)時間を要することでしょう。その後で新しいサイクルが一から始まります。

もちろん相場の秩序回復には何万年も時間を要することはありませんが、数年を要する可能性はあります

新しく金融相場が始まるには、少なくとも今のインフレ感が完全に一旦リセットされなくてはダメです。例えて言うなら、おかしくなったパソコンを直すためにコンセントを抜いても、待機電力が残っている間は電源ボタンを押してはいけない。待機電力も完全に切れてからでないダメ。
これと一緒で、相場の電源を一旦落としても、インフレの余韻を冷ます必要があります。

だからサイクルの秩序が何らかの理由で狂ったのであれば、それは業績相場をスキップすることを意味するのではなく、サイクルを一からやり直すモードに入る、ということになります。

結論

結論として、私はまだ業績相場がこれからやってくる段階だと述べています。私は後講釈をしません。自分の予想は当たろうが外そうが書いてアウトプットする。シナリオに変更があれば、もちろんその都度またアウトプットする。人の何倍も努力をしている自負があるからこんなことをやっています。同様の理由から、他人の意見を真に受けることもありません。

このアウトプット作業は、自分の力で、頭で投資をするという姿勢を皆さんに見せることになるのです。それがどれくらい読者に伝わっているかはわかりませんが、きっとこの国で本物の投資家を育てることに繋がるでしょう。

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