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1/23【雑感】日本製鉄による東京製綱のTOBを考える

これからの時代はTOBがどんどん加速する!と申し上げてきた。まさか自分が入れ込んでいる日本製鉄もTOBする側になるなんて思いもしなかった!

今回日本製鉄にTOBされた東京製綱は、過去に10株→1株に株式併合した経歴がある。つまり、株式併合前に修正すると150円という腐れ価格でTOBされたことになる。これについて、昨日まで株式併合前の換算でたった100円程度の株価に甘んじていた東京製綱の経営陣がもっともらしいコメントを出している。

「TOBは連絡もなく一方的かつ突然に行われた」

このコメントが東京製綱の体質と程度の低さをよく現している。日本の形骸化した経営者はTOBを悪だというが、これはたった100円の株価に甘んじていたことについて、彼らは責任を一切感じていないからこそ言える発言だろう。

もうマヌケどもが会社を私物化し、会社同士の株式持ち合いで競争意識皆無のぬるま湯に浸かる時代は既に過ぎ去っている。会社は経営者に楽な老後を送らせるために存在するのではない。日本ではそれを古き良き時代とか、日本式という表現である意味誤魔化してきた経緯がある。その感覚で良いことも悪いこともあったと思うけど、正しくないことは実際に多かった。

一つ確実に言えるのは、その感覚で経営を続けることを世界は許してくれない、ということである。真面目に経営をしていない企業、ましてや上場している企業がTOBされるのは当たり前のことであり、道理そのものとしか言いようがない。むしろ当たり前にTOBされないと思えるその感覚が異常としか言えない。

今回のTOBについて、日本製鉄はこんなボロ株を買ってどうするんだ、という意見もある。狼狽売りで昨日は株価を少し下げている。しかし残念ながら、この様な批判にもセンスを感じない。このニュースで焦って持ち株を売った人、不安になった人は残念ながら株に向いていないし、投資の本質を理解できていない。

まず、日本製鉄はたった20数億円で東京製綱の経営権を強めたことになる。東京製綱はいわゆる「ロープ」を作る会社だ。鋼材界では地味of地味のド底辺らしい。これをどう料理していくつもりなのかはもっと調べてみないと見えてこないが、最近急激な変化を続けている日本製鉄の手腕なら面白いことをしてくれるのではないか、と期待している。

日本製鉄は鉄鋼の最大手とはいえ、鉄鋼というセクター自体が時代遅れで環境を汚すイメージが染み付いている。しかも大赤字企業である。私は滅多に赤字企業に入れ込むことがない。好財務高配当専門の投資家だ。しかし今回は違う。間もなく日本株全体の価値が180度転換する時代になる。その兆候として、バリュー大型株の見直し買いが昨年の後半より加速している。

そういった時代背景の中で、これだけマイナス印象の条件が揃った日本製鉄という銘柄が、時代の急変により大変身を遂げようとしているのだから、そのプラスインパクトは相当な大きさになる。ここで是非覚えておいてほしいことは2つ。

①配当重視のインカムゲイン投資なら、地味でも好財務高配当銘柄を選ぶのが正しい。倒産せずに何年も保有出来ることが大切だからだ。

②しかし株価の差益を狙うキャピタルゲイン投資なら、好財務ではなく変化率の大きい銘柄を選ぶべきだ。

日本製鉄は後者となる。テンバガークラスの銘柄は、業績の変化率が大きい場合が多い。たった数億の利益しか出せない企業が、数年で100億越え、1000億越えの利益を出す企業に化けると、当然株価も化ける。厳密には、利益が「化けそうな」企業の株価が化ける。つまり、まだ数億円、数10億円の利益しかない時期に買いを仕掛けると面白い。

その点、日本製鉄は大赤字だから、黒字化したり、まさかの大利益が出るようになると、その変化率とインパクトは相当に大きい。これは元々の優等生が良いことをしてもインパクトが薄いが、不良ヤンキーが良いことをするとインパクトが大き過ぎて、クラスの可愛い子も惚れてしまう現象に似ている。

ということで、日本製鉄の変化を推し進める今回の買収劇を、私はプラスに捉えている。しかもたった20数億円だから、仮に失敗しても大きな痛手にはならない。日本製鉄の企業意識の変化を20数億円で世界に示せたなら、宣伝効果で十分に元が取れるだろう。1000円の東京製綱を1500円でTOBでした意味も考えておくとよい。現株価の1.5倍で買っても化ける見込みがあるから買っている。いずれにしても安い買い物だろう。

だから再三申し上げるが、昨日狼狽売りをした人や不安になった人は、もう少しファンダメンタルズと世界の動き、つまり投資の基本を真摯に学んだほうがよい。一連のこのニュースで喜ぶべきことは、まず、ここ数ヶ月の株価上昇で便乗してきた素人が狼狽売りすること。しっかりふるい落とされてもらいましょう。

チャートでは抵抗線を抜けて株価が騰がり始めたのが昨年の11月なので、便乗組の信用買い玉の期日は5月となる。こういう話題で少しでも素人の投げ売りが加速してくれると非常に助かる。同時に、買いがしっかり入ってきているのがとても良い。さすが老舗のバリュー株。烏合の衆のマザーズ銘柄なら株価は崩れているだろう。

三菱UFJ銀行が東南アジアに投資し始めた時も、ネガティヴな反応は多かった。でも仕掛けるタイミングとしては、こういう材料がある時が面白い。TOBした会社の利益が乗ってきたら株価の上昇角度は変わる。三菱UFJ銀行はようやくその段階に近づいてきている。三菱UFJ銀行は好財務高配当だが、こういった変化も積極的に取り入れている点において非常に優秀と言える。金融セクターのためテンバガーは狙えないと思うが、3000万円あれば年間配当150万円、税引き後120万円なので、放置するだけでちょっとしたフリーター並みの収入になってしまう。インカムゲイン投資枠はこれで十分だろう。

これからの時代変化を考慮すると、少しキャピタルゲインを大きく狙っても良いと思う。そんな思惑で私は日本製鉄を狙い続けている。いずれも個人投資家の資金力で大きく動く規模の銘柄ではないが、時代に合った面白味がある銘柄だと考えている。

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