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【コラム】超長期投資という選択肢

A:ただの長期投資ではない「超長期投資」

インカムゲイン投資とキャピタルゲイン投資は、相場サイクルに応じて切り替えるのが良いと説明しました。しかし、相場サイクルの季節の切り替わりタイミングを判断するのはかなり難しく、後から振り返って検証して初めて気づくことも少なくありません。

こういった不安定要素も確かに存在するので、私は「出来る限りインカムゲイン投資の要素と、キャピタルゲイン投資の要素の両方を追い求めた銘柄選びをするべきだ」と考えています。

では、どうやって2つの利益要素を同時に求めていくのか。イメージとしては、「高配当投資(インカムゲイン投資)をベースにしつつ、少しキャピタルゲイン投資側に寄せていく」という感じです。合理性と堅実性をリバランスした方法と言えるでしょう。

インカムゲイン投資とキャピタルゲイン投資は基本的に背反する要素をそれぞれ持ちますので、それぞれのデメリットを可能な限り小さくすることを目指します

※デメリットを消すには、「銘柄選び」と「ポジション調整」が大切になります。これはファンダメンタルズの記事で説明します。

超長期投資と他2つの投資スタイルの違いをまとめてみました。

投資方法別評価

B:時間を味方につける、という感覚

(超)長期投資という言葉を聞くと「塩漬けした奴の負け惜しみだろう」と思う人もいるでしょう。しかし、投資とは本来、長い時間を味方につけて資産を増やす行為です。そして、長期間を要する投資には相場サイクルの考え方が必須だと私は考えます。つまり、相場サイクル論と長期投資はセットにすると強力な相乗効果を発揮します

極端に言えば、長期投資ではどんなタイミングで銘柄を買い始めても構わないのです。いっぺんに万株単位を買い集めるのではなく、状況を観察しながら試買いや試し売りをし、相場の温度を計りながら(相場サイクルを観察しながら)株を集めていくからです。これが「時間を味方につける」という感覚です。

バリュー株であれ成長株であれ、時間を味方に付ければ、大抵の株価変動は誤差となります。2020年3月以降の日本株市場は、ついに30年という長い「失われた時代」を脱し、明らかな株高の時代を迎えます。これほど長期投資に適した時代もなかなかやってこないでしょう。

C:時間を買えばリスクは下がる

超長期投資を行う期間は、相場サイクルに合わせて10年程度というイメージです。高配当銘柄を安定的に獲得していくだけでも、時間を味方につけることで大きな収入となります。

例えば、500円の銘柄を100株購入すると、資金は5万円必要となります。この銘柄が毎年30円配当を出すなら、配当収入は年間3千円となりますね。10年だと配当は30円×10年=300円(配当収入は3万円)をもらうことになります。元の株価500円から配当で貰った300円を引き算すると、投資コストは200円まで下がります。現実的に、30円配当の安定銘柄が株価200円を割れることはまずあり得ません(配当利率はなんと15%相当ですからね!)。未曾有のコロナショックで株価が大崩壊した2020年も、三菱UFJ銀行は年間配当25円、株価は380円です。配当利率にして約6.5%でした。

また、相場サイクル論に基づいた10年という期間を考えると、500円だった株価が300円になる時期もあるかもしれませんが、700円になる時期もあるのです。株価が予想以上に上昇した時は、キャピタルゲインも狙うことも出来るため、損失を出して退場するリスクが大きく下がります。もちろん、300円の時に追加購入して、平均取得単価を下げておくと更にベターです。一気に買い過ぎないことも大切です。

※先程も書きましたが、長期で闘うには「銘柄選び」と「ポジション調整」が大切になります。銘柄選びのポイントはファンダメンタルズ関連の記事で説明します。ポジション調整のポイントは下記のコラムで解説しています。

D:その他のメリット

超長期投資をオススメする理由には「ゆっくり時間を使える」というメリットもあります。初心者の方でも、相場の温度を測りながら自分のペースで買い下がったり売り上がったりすることが出来る。相場に慣れるまでの猶予期間を長く確保出来ることは、初心者の方々にはとてもプラスの材料になります。何事も最初から上手くはいきません。仕事と同じで、相場に慣れるのも3年程度はかかるでしょう。

相場は、サイクル10年の後半から必ず調整期間(下落期間)を挟みますから、ここに合わせて少しずつ状況に合わせ、ポジションを減らしたりスタイルを変更していけば良いのです。もちろん、その時の世界の現況を優先して物事を判断していくことになりますので、その時になったらまた一緒に考えましょう。

調整期間に入ったら、しばらく株を離れる、という選択肢も有効ですが、空売りで稼ぐ、という手段もあります。私は専門外ですが、興味がある人はその時までに学ぶと良いでしょう。ただし、空売りのリスクは買いよりも高いので注意が必要です。10年間ずーっと買いだけで楽に儲かるということはまずあり得ないことは覚えておきましょう。

2020年3月からは「相場サイクルで見てもそろそろ買いのチャンスだ」ということを理解し、自分の投資スタイルのイメージを膨らませてもらえればOKです。

まとめ

○超長期投資は、インカムゲイン投資とキャピタルゲイン投資の要素を融合させたもの。基本的にはインカムゲイン投資がベースで、そのデメリットを消してゆく(キャピタルゲイン投資の要素を加えていく)感覚。

○時間概念の感覚は人それぞれ異なる。長期間我慢できる人は、超長期投資の戦略で計画を立てると退場リスクは大きく低減する。(超)長期投資はオーソドックスなスタイルで派手さはないが、リスクとリターンのバランス面で損をしにくい。

他の記事はこちらから探すと便利です。
https://note.com/n_kabu/n/n94f0f50bf81c

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https://note.com/n_kabu/n/nb19c5e094896

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