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【コラム】「逆算的な思考」が投資の思考回路を確立させる

みなさんはしっかりと自分の投資スタイルが確立できていますか?もっと踏み込んでお聞きすると、自分の「投資の思考回路」を確立できているでしょうか?

私はツイッターをメインに投稿をしていますが、他の投資家さんから受ける相談の多くは、簡潔に言うと「不安だ」とか「この先どうなるだろう」という内容のものが大半を占めます。これらは全て、パニックなどによって「投資の思考回路」が正常に機能していないために起こります

この先どうなるか…は正直誰にもわかりません。私も含め、誰もが不安を抱えながらトレードをしています。

しかし、自分自身の努力で不安の大きさをコントロールし、パニックの程度を小さくすることは実際に可能なのです。方法は簡単です。自分の「投資の思考回路」を確立させてしまえば良いのです。

反対に言えば、不安で投資の判断が鈍る人は、まだ自分の投資スタイルや思考回路が確立できていない、ということです。投資スタイルや思考回路の確立は、投資家にとって何よりも大切です。誰かが言っているからこの銘柄を買う、といった後追いをしている人は、当然思考回路が確立しておらず…はっきり言って利益を享受し続けることは出来ません!必ず不安に押し負けて行動が「ブレる」からです。

ということで、今回はあなたが投資の思考回路を確立するために役立つであろう考え方を披露してみようと思います。

A:思考回路の確立に必要なことは、ある程度の「仮定」をしてしまうこと

私は当然ながら、自分の投資の思考回路が既に確立しています。何故、私は思考回路を確立することが出来たのか。先にポイントをお伝えしておきましょう。思考回路の組み立てに必要な要素は「逆算的な思考」です。さて、これはどういうことでしょうか?言葉で説明するなら「ベースになる理論をある程度仮定してしまう」ということです。そして、実際に発生した出来事をその理論に落とし込み、理論と事実の整合性が取れているかどうかを確認する、ということです。…はい、抽象的でわかりにくいでしょう。

もう言うまでもなく、私は相場サイクル論に基づいたマクロ予想をベースにして投資を組み立てています(相場サイクルの基本的な説明は他の記事で散々触れてきたので割愛します)。

簡単に言えば「相場サイクルは無条件で正しい」と仮定してしまうのです。

「え、それは危険では?」と感じた方、人としては正解です。しかし、投資家としては不正解です

相場サイクル論をはじめ、ある理論を「無条件で正しい」と仮定することは危険(リスク)に該当します。どんな理論も完璧ではないからです。時代や条件が変われば必ず例外は発生しますから、完璧に見える理論にも常に疑う余地は残しておくべきです。

しかし、だからといって仮定という作業を行わない理由にはならないのです。ある程度仮定をしておかないと、よほど頭が良くないと思考回路が散らかってしまいます。投資家の仕事は危険(リスク)を減らすことですが、必要な危険(リスク)は取らなければならない。思考のベースとなる理論を仮定するという作業は、投資家が成功するために必要なリスクの一つです。それすらも恐いと思うのであれば、投資家に必要な勇気すら足りていないと言えるでしょう。だからこそベースにする理論は、なるべく信憑性の高いと思える理論を選ぶ必要があります。私の場合はそれが相場サイクル論なのです。

B:「仮定する」ことの具体例

では、「相場サイクル論は無条件で正しい」と仮定する私の思考回路を具体例として見てみましょう。2020年3月にコロナショック後の金融緩和が始まり、金融相場がスタートした時を事例にしてみました。

私の思考回路はこんな感じです。「相場サイクル論を無条件で正しい」とした思考は青色の文字で、実際に起こった出来事は緑色の文字で、それらに対して私が出した予想や行動は赤色の文字で示しています。右から左に向かって読んでくださいね。

私の思考回路例

お分かり頂けるでしょうか?思考のベースにしている相場サイクル論を、常に正しいものとして予想を組み立てていることがわかるでしょう。

実際に何か出来事や事件が起こったら「この出来事は相場サイクルの動きにどう影響を与えるかな?」と考えます。例えば「金利を上げるよ」という出来事が発生したら「じゃあ金融相場が終わるんだな」という考えが浮かんでくるわけです。

相場サイクル論は正しいものとして仮定しているから、金融相場が終われば移行期を挟んで業績相場が来る、その後は逆金融相場で不景気もやってくる…という大まかなシナリオは、必ず起こり得るものとして考えているのです。ポイントを次のスライドにまとめてみました。

C:ポイントまとめ 思考回路は「派生型」にしよう

ポイントはベースになる理論を固めておくこと

これが「逆算的な思考」なのです。つまり、発生した出来事を見てシナリオを考える「順算」ではなく、仮定されたシナリオの上に出来事とその意味を落とし込んでいく感覚が「逆算」です。

順算の思考回路では、発生した出来事を見てから使う(該当しそうな)理論を選び始めます。その後で更に相場予想を打ち出さなければならないので、考えなくてはならないことが多くなり過ぎます。

使える理論をしっかり持っている勤勉な人ならまだよいですが、全く理論武装すらしていない、誰かの後追いスタイルの投資家ではいよいよ自分の頭でシナリオを描くことは出来ないでしょう。

ベースになる理論がないと考えが散らかる

これでは描いたシナリオがまとまる気配が全くないので、思考に一貫性もなくなります。

そうではなく、描いたシナリオを「派生型」で考えられるようになると良いでしょう。そのためには当然、相場サイクル論の様に思考のベースになる理論(要はマクロの視点)を学ぶ必要があります。

ベースになる理論があると考えがまとまりやすい

なんとなくイメージがつかめてきましたか?この図にも具体的な思考をあてはめてみましょうか。

実際の私の考え

最初はシナリオ➀を描いていたが、金利上昇の具体的な時期がまだ先だったのでシナリオ➁が派生しました。しかしその後、総理大臣が変わって予想以上に株価に向かい風が吹き始めたので、シナリオ➂が更に派生します。これが派生型の思考回路です。

実際に➂のシナリオで年が明けました。金融相場が終了してしまったので、今度は業績相場と、その前にやってくる移行期(株価は下落)を想定してまたシナリオを組み立てていくわけです。

私が日頃ツイッターで投稿している内容は、まさに「最新の思考内容」というわけです。相場の当て物をして楽しんでいるわけではありません。常に発生した最新の出来事から感じたこと、相場サイクルとの整合性が取れているかの確認事項を発信しているのです。(ツイッターを全部読み返すのも大変なので、このnoteでもツイートまとめの記事を作っています。参考にしてください。)

今回の内容は、かなり抽象的で「コアな」内容になります。しかし、投資の思考回路を確立できれば、不安を自分でコントロールできます。もちろん、それに比例して利益も付いてきます。必要な情報と、特にどうでもいい情報の選別も可能になってくるでしょう。

いいですか、大切なのは「逆算的な思考」で「派生型のシナリオを描いていくこと」ですよ。常にベースとなる理論と出来事がリンクしているかを確認する。これを怠らないようにしましょう。

お互いにしっかり自立した投資家になり、激動の渦中にある日本を生き抜いていきたいですね。


他の記事はこちらから探すと便利です。
https://note.com/n_kabu/n/n94f0f50bf81c

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