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不動産投資の種類⑤【都市近郊木造(軽鉄)新築】

複数回にわたり、不動産投資にはどんなものがあるのかを見ていきます。一口に不動産投資といってもその種類は様々です。それぞれ一長一短があり、自分に合った投資手法を選んでいく必要があります。

一連の連載の目的は、不動産投資の典型的なパターンについて、ざっくりとしたイメージを持ってもらうことです。まず、新築区分と戸建てを説明し、次いで地方一棟を都内一棟と比較しながら説明します。今回は都市近郊木造(軽鉄)新築についてです。

都市近郊木造(軽鉄)新築とは?

本稿では、都市近郊木造(軽鉄)新築についてメリット、デメリット両方を確認し、私見を述べたいと思います。また、以下の視点で三段階評価(A:上出来、B:普通、C:困難)を下していきます。

評価ポイント
① 運用益(インカム)
② 転売益(キャピタル)
③ 節税
④ 資産形成
⑤ 投資の容易性
⑥ 取り組みやすさ

では、早速見ていきましょう。

特徴

まず運用益から見ていきましょう。どの程度の利回りで調達するかで全てが決まります。私なら10%目指したいと思いますが、なかなかそのレベルの物件は難しいです。実際、私が実施した郊外型新築木造は、利回り8.8%でした。利回り単体を見ると私の所有する地方の物件にかなり見劣りします。

しかし、この都市近郊木造(軽鉄)は新築であるが故に大きな長所2つあります。

まず、おおむね満室になったことです。実際には、10年間はサブリースでしたので、入居率はあまり気になりませんでしたが、おおむね満室でした。20年近くたちますが、まだ、満室、準満室状態が続いています。

次に、修理代がほとんどかからないことです。これは他の高利回りの物件と較べると大変な違いです。高利回りは築古が多く、そのためにやれポンプが壊れてた、排水が詰まった、給水の水圧が弱い、雨漏りがする等のクレームのオンパレードです。これに対して、新築は、20年経過した時点では、エアコンが2台壊れただけです。維持費があまりかからないことは新築物件の大きな利点と言えるでしょう。つまり、賃料を基準とする利回りは低くても、空室費と修繕費がかからないので、利益は上がるのです。実は結構手堅い投資です。

もちろん、短所もあります。特にすでに土地と建物をセットで売られているときは顕著です。こういう場合、その建物は本当に満室にできるのか疑問がある場所に建てられている場合が多いです。つまり、新築なのに満室にならずに空室となる場合が多々見受けられます。こうなると新築のメリットを享受できません。

この原因は、いくつかありますが、売主の会社がわかっていてあえてやっていることが多いです。とりわけ特定のエリアに集中してその会社が建築している場合には、競合する物件が多すぎるので新築でも満室にならないこともしばしばです。形式上の利回りを高くするために、そもそもエリアとして問題のある土地を安く購入していたり、もともと賃料を実際より高めに設定しているといった背景もあります。

次に転売益を見てみましょう。転売益も充分期待できます。なんといっても都市近郊ですので需要があります。しかも都内一棟RCと較べて額が安いので売却しやすいです。この点も有利です。ただし、先ほど述べた建売で入居率が低い物件は、転売も困難を伴うでしょう。

また資産形成力もまずまずです。区分と異なりますが、一棟なので資産形成力はあります。我慢すれば、都市近郊にそれなりの価値のある土地を持つことができます。

さらに都市近郊であり、かつ、残存法定耐用年数も目いっぱいある新築なので融資は期待できます。

手軽さはどうでしょうか。都市近郊の木造(軽鉄)一棟棟投資の難易度は、建売の物件を買うのかそれとも自分で土地を買うのかにより難易度は大きく異なります。もちろん、前者の方が容易です。ただ容易なだけに逆に軽々に購入して失敗する例も多いでしょう。これに対して、土地を自ら購入するタイプは非常に難しいです。


評価

(A:上出来、B:普通、C:困難)

運用益B
転売益B
資産形成B
融資A
手軽さC

私ならどうするか?

私自身、一棟目は都市近郊木造(軽鉄)新築でした。最初の一棟をマイホームと絡めて土地を購入し、その購入したマイホームの横にアパートを新築したのです。

今、改めて都市近郊木造(軽鉄)新築に投資するかと問われれば、やる可能性は高いです。現に、現在住んでいる町田の自宅は土地が316坪あります。自宅の敷地の空いている場所にいずれ、アパートを新築できたらと考えています。手堅く運用益を出し、かつ資産形成力もある極めて有用な投資手法だからです。

しかし、こういった土地を自ら購入するタイプは非常に難しいです。誰でもできるかというと疑問です。私は、対人折衝の厳しい仕事についていましたし、司法試験も勉強していたいので通常の方より法的知識の点で優れていました。そういった自分の強みが良い意味で発揮された結果だと思っているのであまり一般化できるノウハウを持ち合わせていません。そういった意味でこの投資手法に興味があるなら人一倍勉強してから一歩を踏み出しましょう。

この記事を書いた人

中島亮(なかしまりょう)

中央大学法学部卒。法務博士

主に地方の一棟アパートを購入する個人不動産投資家。
サラリーマン15年目にアパート投資を開始。
その後、6年間で10棟93戸を購入し、退職。

現在、39棟383世帯所有。年間賃料19,000万円超え。キャッシュフローは実質3,000万円を超えている。大家向けN塾主宰

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