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不動産投資の種類④【都内一棟】

複数回にわたり、不動産投資にはどんなものがあるのかを見ていきます。一口に不動産投資といってもその種類は様々です。それぞれ一長一短があり、自分に合った投資手法を選んでいく必要があります。

一連の連載の目的は、不動産投資の典型的なパターンについて、ざっくりとしたイメージを持ってもらうことです。まず、新築区分と戸建てを説明し、次いで地方一棟を都内一棟と比較しながら説明します。今回は都内一棟についてです。

都内一棟とは?

本稿では、都内一棟についてメリット、デメリット両方を確認し、私見を述べたいと思います。また、以下の視点で三段階評価(A:上出来、B:普通、C:困難)を下していきます。

評価ポイント
① 運用益(インカム)
② 転売益(キャピタル)
③ 節税
④ 資産形成
⑤ 投資の容易性
⑥ 取り組みやすさ

では、早速見ていきましょう。

特徴

私の都内一棟のイメージは、「かっこいい」の一言です。同じ不動産投資家でも、前橋にもっているのと麻布十番に物件を持っているのではかっこよさが異なるのはお分かりいただけるでしょう。こういった部分は不動産投資家にとってモチベーションの維持に大きく影響し、実は非常に重要な要素です。しかし、カッコよさの反面、利益になりにくく、物件価格が下落基調の場合には余力資金がないと破綻につながる可能性もある危険な手法です。

まず運用益の視点から見ていきます。運用益はあまりありません。利回り5~6%がせいぜいで、運用益でギリギリ出るかもしれません。しかし、これに大規模修繕時期が来たら耐えられない可能性があります。長期で持つならば利回り10%ないときついです。長期的に保有すると大規模修繕やその他補修に多額の資金が必要となる事態は避けられません。資金的に余裕のある方でないとなかなか難易度が高いです。

次に転売益の視点から見ていきます。 転売益は大きいです。波に乗れば何千万円の転売益をゲットできます。これこそが都内一棟RCの醍醐味です。波に乗るためには、物件価格が上げ基調になければなりません。現在はどちらでしょうか?現在コロナ渦の中で、それによる不景気で本来物件価格は下がるべきところ、国の経済対策として市中にどんどんマネーを供給しています。これにより物件価格は下がるどころか、ますます上昇しているようにも見受けられます。都内一棟に手を出すなら世相を見る目が何より大事になってきます。

続いて資産形成力から見ていきます。不動産は、単に運用益や転売益だけでなく、より長期的視点から見て、家族の資産形成に役立つ点を見逃してはならないと思います。つまり、私の代では、運用益はほとんど出ず、転売益をも期待できなくても、これを持ち続けることで、30年のローンが終わった暁には、都内の土地というまとまった資産が手に入るのです。私の代では、利益が出なくても、子供や孫の資産形成に役立つのです。この意味で、都内一棟は魅力的です。

ただ、運用益もなく転売益もない状態で、資金が続かなければ、子の代、孫の代に引き継ぐまで耐えることが出来ません。もし、利益が出ない状態で大規模修繕が必要になり、しかもそれに対応する資金を用意できないならば、損を覚悟して転売しないといけなくなります。もちろん、転売するには、売値がローン残高を超えていれば、(売却自体では赤字になるものの)売却すること自体は可能です。しかし、相場が高い時期に購入していれば、ローンはそれほど減っておらず、売値がローン残高を上回らない場合も充分想定されます。仮に、その差額が2000万円以上あれば、その額に加えて諸費用を用意しなければならず、その額を用意できなければ抵当権を解除できずに売却自体できない可能性があります。現実的にそういった金額を用意できる人は稀でしょう。

また、融資について説明したいと思います。新築区分や築古区分と異なり都内のある程度の広さの土地は、非常に担保力としては強いです。最強といってもいいかもしれません。そのため長期に低金利で融資を引くことができます。スルガ事件前では、ある程度の属性の方であれば比較的容易に2億程度の融資を受けることが出来ました。今は、以前よりも厳しくなりましたが、融資を受けやすい傾向にあります。この手法の融資額は当然億を超える場合が多いです。10億、20億、場合によっては50億もローンを負うことも多いです。担保価値が高いだけあって、これをてこにして次、次と購入し続けることも可能です。メガ大家、ギガ大家と言われる方々の多くがこのパターンじゃないかと思います。

同時にこの融資の出やすさには副作用がありました。属性が良ければ容易に購入できるので、医者や弁護士など属性の高い方が利回りの低い物件を買って苦しんでいる例をよく見ます。高属性なので融資が容易についてしまい、こういった高属性の人たちは本業が忙しく時間がないので人に任せ、どんどん不動産が負動産になってしまうのです。

以上の点を踏まえても、都内一棟RCは、手元資金が潤沢な方に適しているように思えます。イメージとしては、代々都内に在住する資産家が、当面損をしようとも、これを継続して持つことにより、代々の資産を形成してくい方法だと思えてなりません。一般的なサラリーマンが軽々しく手を出すと大やけどします。

評価

(A:上出来、B:普通、C:困難)

運用益C
転売益A(運が良ければ)
資産形成A
融資A(ただし頭金がないと無理)
手軽さB

私ならどうするか?

現段階では物件価格は下がっている状況にはないが、コロナ禍など不安要素が大きいので当面は買いません。ただし、資産形成力に魅力を感じるので、地方一棟で稼ぎ、相当の現金をためた段階でいずれ都内一棟に打って出る予定ではあります。

この記事を書いた人

中島亮(なかしまりょう)

中央大学法学部卒。法務博士

主に地方の一棟アパートを購入する個人不動産投資家。
サラリーマン15年目にアパート投資を開始。
その後、6年間で10棟93戸を購入し、退職。

現在、39棟383世帯所有。年間賃料9000万円超え。キャッシュフローは実質3000万円を超えている。大家向けN塾主宰

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