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不動産投資の種類⑥【地方一棟木造(軽鉄・重鉄)】

複数回にわたり、不動産投資にはどんなものがあるのかを見ていきます。一口に不動産投資といってもその種類は様々です。それぞれ一長一短があり、自分に合った投資手法を選んでいく必要があります。

一連の連載の目的は、不動産投資の典型的なパターンについて、ざっくりとしたイメージを持ってもらうことです。まず、新築区分と戸建てを説明し、次いで地方一棟を都内一棟と比較しながら説明します。今回は地方一棟木造(軽鉄・重鉄)についてです。

地方一棟木造(軽鉄・重鉄)とは?

本稿では、地方一棟木造(軽鉄・重鉄)についてメリット、デメリット両方を確認し、私見を述べたいと思います。また、以下の視点で三段階評価(A:上出来、B:普通、C:困難)を下していきます。

評価ポイント
① 運用益(インカム)
② 転売益(キャピタル)
③ 節税
④ 資産形成
⑤ 投資の容易性
⑥ 取り組みやすさ

では、早速見ていきましょう。

特徴

地方高利回り絶対主義大家を標榜する私のホームベースがこの地方一棟木造(軽鉄・重鉄)です。すでに16棟地方で購入しています。

まず運用益から見ていきましょう。すべての物件の利回りは平均16.8%ですが、地方に限定すると平均19.1%です。圧倒的な利回りです。一般に地方は入居率が低いと言われてますが、入居率は、93%前後で推移してます。95%を超えることは少ないものの、めったに80%台にはなりません。 この傾向は私の塾生たち70名に聞いても、おおむね同じようです。ただ、高利回りを狙うと、自ずから築古が多く、修繕費がかかる物件になります。しかし、その点を含めても圧倒的な運用益です。

次に転売益についてです。転売益も充分期待できます。高利回りで購入しているので、やや、利回りを下げても購入してくれる方が多いでしょう。しかも都内一棟RCと較べて額が安いので手を出しやすい価格帯です。この点も有利です。ただし、近年は融資が厳しくなってきていますので仮に転売を考えるならば売却の時期をしばらく待つ方が賢明でしょう。しかし、私自身は、転売はあまり考えていません。朽ちるまで持ち続けるつもりです。高利回りで入手しているので、売却してもまた同じく高利回り物件を入手するのが大変ですし、少々、売却益が出ても、仲介手数料、諸費用を考えるとそれほど儲からないのではないかと思っています。業者さんはよく「資産の入れ替えをしましょう。」と言いますが、そうした甘言に騙されず、冷静に計算してみましょう。

続いて資産形成力についてです。区分と異なり、土地が単独所有ですが、地方の土地には資産価値はほとんどありません。坪10万円あればいい感じです。つまり100坪あっても1000万円ぐらいです。建物解体費を考慮すると、資産形成力はほとんどありません。これは大きなデメリットですね。

融資は、現在、非常に厳しいです。ただし、コロナ禍が落ち着けば、公庫の融資が可能となるので、その段階まで待てばクリアできる課題だとは思います。いずれまた金融機関は復活してくるでしょう。 

手軽さという点でハードルを感じる人は多いのではないでしょうか?何と言っても、都心で生活している皆様は、群馬、茨城、栃木、千葉の奥地、埼玉の奥地には、ほとんど行ったことがなく、物理的には手軽でも、心理的に手軽ではないでしょう。こればかりは、何回か行ってみて肌で感じないといけません。その精神的な部分をクリアできれば、他は、他の投資手法と同じです。なお、通常は現地には購入時を含め3度くらい行きますが、その後はほとんど行く必要はありません。ただし、廃屋の場合には、大規模リフォームが終了するまで何度も行く必要があります。

評価

(A:上出来、B:普通、C:困難)

運用益A
転売益B
資産形成C
融資B(場合により困難)
手軽さB

私ならどうするか?

私は、マイホームに絡む投資以外はすべて地方でした。むしろ地方投資がメジャーな投資方法だと思っていました。19年前は利回り18%前後の物件がゴロゴロ落ちていました。しかし、サラリーマンが進出してきて競争が激化したので、他の方々があまり手を出せない地方一棟全空物件を手掛けるようになり6棟連続して全空ないしは準全空の廃屋物件のみです。なので、購入した物件に賃借人がいると逆にどうしたらよいか戸惑うぐらいです。当面、この地方一棟投資で、やっていこうと思っています。ただし、場合によっては、この地方一棟で現金をためて、運用益は少ないものの、資産形成力の高い都心一棟を購入していくべきでないかとも考えています。

この記事を書いた人

中島亮(なかしまりょう)

中央大学法学部卒。法務博士

主に地方の一棟アパートを購入する個人不動産投資家。
サラリーマン15年目にアパート投資を開始。
その後、6年間で10棟93戸を購入し、退職。

現在、39棟383世帯所有。年間賃料19,000万円超え。キャッシュフローは実質3,000万円を超えている。大家向けN塾主宰

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