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難民/入管問題に関する講演についての備忘録②

日本の難民認定の基本的手続き

日本の難民認定の基本的仕組みは三段構えになっている。
1.入管職員による審査
2.1で認定されなかった場合は審査請求できる。審査に当たるのは入管によって指名された難民審査参与員である。
3.2でも認定されなかった場合は訴訟提起するしかない。

申請書のトラップ

親の名前が書けないほどの精神状態

  まずは入管が指定した方法で難民申請を行う。申請書類は入管のHPに多数の言語で用意されている。講演者は、多言語に対応している点については一定の評価をしている。
 しかし、リンク先を見て頂ければわかるが、この申請書が実に12ページもある。多数の項目を埋めなければならない。
 
 それでも、冷静な精神状態なら、丁寧に一項目ずつ埋めていけるだろう。だが、文字通り命の危険にあった人、拷問を受けた人、家族と引き裂かれた人、友人が処刑された人などは、その時点で「普通」の「冷静」な常態ではない。精神的にもPTSDを発症している場合もある。その上、怖い入管職員たちがにらみつけるように見ている。通常なら普通に書けるものも書けない精神状態なのだ。

 ある大学院を卒業した、非常に知的レベルの高い難民の方がいたが、その方でさえ、あまりの恐怖と緊張で、突然、親の名前を書けなくなってしまったそうだ。そして入管職員はこう言う。「親の名前も書けないのか。難民じゃないんだろう。全部ウソなんだろう。とりあえず収容だ」と。
 
 難民を積極的に受け入れている国(とは言っても、日本と同様に難民条約を批准しており、ただ日本と違って、難民条約を守っているだけなのだが)、そういう国では、”Help me!”と一声叫ぶだけでも、とりあえず申請として認められることさえあるそうだ。そして、細かいことはまた後でゆっくり話しましょうと。とりあえず、あなたを保護しますと。

 

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