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息子に言えなかった言葉

今日は朝から曇り空。どんよりとして、今にも雨が降りそうだ。
普段、保育園の送迎は自転車。でも、今日は傘を持って歩きで保育園まで行くことにした。

この3月で卒園する息子。
冬中ずっと、半袖短パン。今日も、半袖の上に冬用のフリースだけ羽織っている。膝小僧の見える脚は、とても寒そうだ。

「車はぬれてないね。」
「ここなら、屋根があるから守られてる」
「ママの頭の中は、〇〇の歌が今流れてるんだ」

そんな、話ともいえないつぶやきをおお互いにつぶやきながら歩く。
雲が低く姿は見えないけれど、飛行機が上空を飛んでいくブーゥンという音が響いている。

ふと、息子が

「なんで、口をとんがらせてると思う?」と聞いてきた。
確かに、少し口をすぼませているみたい。
「えー、わかんないよ」と言ったら

「小学生になりたくないんだよね」と言う。

うん。君が本当はそう思っていることを、私は知っている。
でも、もうあと少しで保育園には通うことができなくなるし、小学生はいやおうなく始まってしまう。時間の流れは正確で、残酷だ。

「新しい友達できると思うよ。広ーい、校庭もあるしね」
「学童にも、マンガがたくさんあるらしいよ」
「家にある〇〇のカードゲームはお姉ちゃんが ”学童にあって面白い" って言うから家でも買ったんだよ。」

「ふぅん、学童でカードゲームやってみたい」
特にやりたくもなさそうに、息子は言った。

少し歩くと、いつもの通り保育園について、バイバイタッチをして別れた。


一人きりで歩く帰り道。
「どうして小学生になりたくないの?」って聞いてあげればよかったかなと思った。

全く新しい、未知の場所に 「行きたくない」。
そんな気持ちが起こるのは、至極当然のことなのに、その気持ちに寄り添ってあげられなかった。私自身の「学校には楽しく通って欲しい」という気持ちを優先して、色々話をしてしまった。

誰かの話を聞くって本当に難しい。

今度、同じような機会がやってきたら、まずはしっかり受け止めたい。
「そうなんだね。小学生になりたくないんだね」と言って、話を聞いてあげたいと思った。

2週間後の今日は4月1日。学童に最初に行く日。
きっとその日も、朝一緒に学童まで行く道のりを歩く。
一日一日過ごしていたら、きっとアッという間だ。



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