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記憶

私はずるいから、都合の良い記憶と、頑張っても離れてくれない記憶だけを残して、それ以外全部消そうとしていた。

消そうとしていた は大袈裟かもしれないけど、
未熟な自分はどこか恥ずかしくて、
今の自分になるには(なってしまったのは)、過去があるからなのに、

大人になりきれない私は、そんなことも受け止めきれていなかった。


無駄なことや余計なことは気づかぬうちに排除して振り返らない。
新しい情報が入ってくるたび書き換えて断捨離する。
でも、前だけを見ることはできなくて、いつまで経っても同じ場所にいる。


自分のための嘘を嘘なんて思わず必死に過ごしてた日々は、過ぎてしまえば簡単に嘘だったことに気付く。

でもそんな日々がすべて無駄だったわけではない。


私を引き戻すときはいつも、音楽と写真。
ひとりじゃない。

自分の中にある何かに蓋をして、
だけどそれは意図せず溢れてくるときがあって、
そのたび揺れてしまう。


昔から言語化するのが下手すぎて、上手くいかないこともたくさんあったけど、その分、言葉がいらない瞬間も知っている。

でも、そんな瞬間なんてわずか。
それを心の底から共有できていると思えた人もわずか。
その人と密につながり続けているわけでもない。
もしかしたら、そう感じたのは自分だけかもしれない。

どうであれ、そんな記憶もどんな記憶も大事にしていかねばと思った。







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