サフラン茶のおじさん
沖縄にて、
対馬丸記念館の裏の公園で、絵描きのおじさんにお茶に呼ばれた。
サフラン茶を入れてくれた。
サフラン茶は金色の液体で、美味しかった。
おじさんの絵は、魔法の絵のようだった。本当は一枚欲しかったけれど、買えなかった。
本当に素敵な、
本当に欲しいものを、
私はお金で買ってはいけないと思っている。
おじさんは素敵だった。
一緒に写真を撮りたかったが、
それもできなかった。
本当にそこにいて、
本当に生きていて、
本当にいのちを生きているものを、
私は写真に撮ってはいけないと思っている。
それで今、絵も写真もない。
私の中には、その人の影なんてまったくない。
その人のいのちの気配を感じるための細胞が、私の中にじわりじわりと立ち上がり、ネットワークを作り始めている。
私は宇宙人にさらわれてインプラントを埋められたみたいに、
新しい人間になった。
人から影響受けるって、
こういうこと。