何も考えずに飛びこむ
看護師を育てるための専門学校や大学は
病棟で実習をして
血圧を測って検査データを分析して
疾患を勉強して看護師としての関わりを考えて
患者さんと会話し、寄り添うことを学ぶ
それも病棟看護師の比じゃないくらい
一人ひとりの患者さんに深く深く関わって
業務的でななく本質的に「ケア」することを覚える
言わば、看護師の養成所は
「病棟の看護師」の養成所だから
例えば手術室で何をするか、ERでどう動くか
ICUでどう考えるか、何も教えてくれない
教えられる教官もそんなにいないし
そもそもカリキュラムにも組み込まれてない
だから特殊部門に就職した1年目は
青い服を来て働く特殊領域「いろは」を何も知らずに
とりあえず飛び込むことになる
いや
自ら飛び込んだんじゃなくて、
いきなり背中押された人も多いと思う
パティシエの専門学校に行って
シュークリームとかケーキとかデコレーションとか
はたまた焼き菓子の理論や技術を学んで
就職してみたら「和食の料亭」でした、くらいの異次元が待っている
「え、三枚おろしとか習ってません・・・」
「うん、今から教えるから。」
「え、蒸し料理の基礎知りません・・・。」
「だから見て覚えてくれればいいから。」
「ダシの取り方がわかりま・・・「見てて!!!!」
くらいの異次元がいきなり始まる。
こっちは
「3年間死ぬ気で学んだ事が全然役に立たない!」
(※そんなに死ぬ気でもない)
と絶望してるっていうのに
教える方は、何も知らずに入ってくることに慣れきってしまっている。
でも飛び込んだ方は、異次元すぎて目眩がする。
手術室は「覚えることが多い」ってよく言うけど
そりゃそうだ。
病棟看護師養成所(←言い方)を卒業して病棟に就職した同級生が新たに覚えることは
病棟独自のシステムや、専門領域の疾患と治療をより深く
そしてスタッフの顔と名前
転じて
特殊領域に就職した新人たちは
病棟配属の同期がやってることに加えて
ゼロから初めての業界のknow・howを叩き込まれ
「見て覚えて。」とか板前修業みたいなことを言われ
テンパってる間にすぐに実践が始まるこの手術室という場所は
覚えることが多いんじゃなくて
「ゼロ」から新しい業界のことが始まってるんだよ☆
と、新人の頃の自分に言ってやりたい
「器械が覚えられない」とか
「手順が理解できない」とか
「針糸の種類が多すぎる」とか
およそ病棟看護師養成所(←だから言い方)に居た頃は
想像もつかない衝撃が走るけど
でも周りを見渡してみると
先輩たちみんながやってることを、自分ができないはずがない
そう根拠もなく信じてみた
そこを越えられると
同じ「看護師」の資格でもう一つ特殊能力が身についた
そのスキルを持って、
他の部署に行ったスタッフはそこそこ最強で
病棟を知ってもう一度オペ室に戻ってきたナースは
オペナースとしてはもう
スーパーサイヤ人みたいになってる
なにはともあれ
とにかくがむしゃらに飛び込んでしまうこと
そしたら勝手に羽が生えてきて
飛べるようになるから。
Nバク