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ギルバート・オサリバンの肖像

稀代のシンガーソングライター&ピアニスト

つい先日ですが、ギルバート・オサリバンが来日していたそうで。私も彼のライヴは3回観に行ってます。あのビリー・ジョエルをして「僕はギルバート・オサリバンの後を狙ってたんだ」と言わしめた、シンガーソングライターにしてピアニスト。今でも新作をかなりの頻度で発表しており、今年の夏も発表される予定です。

「アローン・アゲイン」だけが代表曲ではない

アメリカで大ヒットを飛ばしたせいで、「アローン・アゲイン」だけが目立つ人ですが、実はイギリスでは「クレアー」が、ヨーロッパでは「ゲット・ダウン」が一番ヒットしたと言われており(この3曲は全て英米トップ10ヒットになっている)、マネジャーと裁判沙汰になり活動が鈍る80年代半ばまで名曲を生み出し続けています。とりわけ日本では人気が高く、来生たかおやバービー・ボーイズのいまみちともたか、杉真理は彼のファンとしても知られています。
ということで、今回は少しマニアックな選曲で彼の魅力をご紹介。

ロックなオサリバン

どうしてもオサリバンのイメージといえば初期のエルトンやビリーのようなリリカルな作風をイメージすると思いますが、こんなジェリー・リー・ルイスかベン・フォールズのようなピアノ・ロックも。

"Underneath The Blanket Go" (1971)

この曲はイギリスで40位、オランダで1位を記録。

ソウルなオサリバン

1973年のアルバム"I'm a Writer, Not a Fighter"からエレクトリック・ピアノを導入し、ソウルやファンクの影響を受けた楽曲を出しました(前述の"Get Down"もこの頃)。そこでこんな曲はどうでしょう? 個人的にも大好きな曲です。

"Ooh Baby" (1973)

この曲はイギリス18位、アメリカ25位、アイルランドで2位(オサリバンの姓からわかるように彼はアイルランド系)を記録。

AORなオサリバン

AORというか、渋めなバラードも彼の真骨頂で、"Happiness Is Me And You"(1974)、"Gordon Bennett" (1989)、"Conversation with Flying Plates" (2003)など数多くある中、今回は傑作アルバム"Southpaw" (1977)からのシングルを。残念ながらノンヒットもファンの人気も高く、オサリバンも近年のライヴでも演奏。

”Miss My Love Today" (1977)

ノリノリなオサリバン

オサリバンは意外にもラテンなノリも好きなようで、それが興じて2015年には"Latin ala G!"というラテンアルバムを出したほど。他にも"Matrimony" (1971)や"If I Can't Have You All To Myself" (1977)などちょこちょことその嗜好を出しています。今回はラテンなノリにエレクトロな要素(!)を加えたこの曲を。これもライヴの定番曲。歌詞に日本語がかなり登場します。

"Say Goodbye" (2001)

個人的な思い出

 
最後にオサリバンとの個人的な思い出をあれこれ。
私が初めてオサリバンの"Alone Again"を聴いたのが中学生の頃、多分CMだったかと。その頃はオサリバンは裁判で引退状態だったんですが、ちょうどアニメ「めぞん一刻」だったかで彼の曲が使われ、ちょっとしたリバイバルブームになり、キティ・レコードから彼のベスト盤が出たので買って聴いてハマりました(当時はアナログ)。そのベスト盤は今から見ても良い選曲で、セールスも良かったのか続編のベスト盤も登場。もちろんそれも買いました。ジャケットも良かったんですよね。
続けてついに彼の新作"In The Key of G”が発表、さらにはCDで彼の初期5作のアルバムがボックスセットで(!)登場。これも買いました。これはMAMレーベルに所属していた頃の彼の黄金期なんですが、この頃にはハマりまくってたので、その後のCBS期も欲しかったんですが、80年代の2作のCD化はこの後随分遅れてました。
そしてついに待望の来日。ブルーノートという小さな箱で間近に見たオサリバンでしたが、この人、専門教育を受けてないせいか鍵盤を弾くというより叩くんですね(チョップしている形)。
ライヴの後、彼の楽屋へ(当時ブルーノートはライヴ後にアーティストの楽屋に会いに行けた)。当時持っていたアナログの1st"Himself"と5th"Southpaw"を持ってサインをもらいました。2回目のときはCDでアルバム"Piano Foreplay"にサイン。会った時の印象ですが、実はブルーノートの人から事前に「割と気難しい人なので、短時間でお願いします」と言われてドキドキしてましたが、会ってみると意外に穏やかでそんな感じはあまりなし(ただ神経質そうな感じは確かにした)。"Southpaw"を指差して、「このアルバムが好きなんです」と私がいうと、「そうか。僕もこれ好きだよ」と答えてくれたのをよく覚えています。
以後ずっと彼の作品は聴き続けてますが、とにかく声が衰えない。曲の質も安定している。アルバムごとにスタイルを微妙に変えてくる。立派な現役アーティストです。
さて、最後にご紹介するのはなんとTKタンストールと共演した新曲。今年夏に出るというアルバムはどんなサウンドなんでしょうか?




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