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ライヴ・エイド完全レビュー(イギリス編)

今年で1984年7月に開かれたあのライヴ・エイドから41年(キリが悪いw)。当時あの伝説のフジテレビのグダグダ放送(これはボブ・ゲルドフ側がいろいろ注文をつけたことと、衛生放送による技術的難しさなど様々な要因があった)をかじりついて眠い目をこすりながら観ました。ボブ本人がソフト化は絶対しないと当時断言しながら、2004年に奇跡のDVD化。またDVDに収録されなかったものも含め、YouTubeでほぼ全てのパフォーマンスが観られる現在、ここでそのパフォーマンスの点数をつけてみるという主観に満ち溢れた記事です。当時を振り返りながらお楽しみください。今回はイギリス編です。

Status Quo

演奏曲:Rockin' All Over The World / Caroline / Don't Waste My Time

ジョン・フォガティというより彼らの代表曲としての「ロッキン・オール・オーバー・ザ・ワールド」は今見ても完璧なオープニング。残る2曲も彼らの代表曲で良いパフォーマンスですが、「ドント・ウェイスト・マイ・タイム」はDVD未収録。ライヴ・エイドの前から「マルガリータ・タイム」という曲を聴いていて、このパフォーマンスで大好きになったバンドでした。(100点)

Style Council

演奏曲:You're The Best Thing / Big Boss Groove / Internationalists / Walls Come Tumbling Down

最初の2曲はDVD未収録ですが、「ユア・ザ・ベスト・シング」から始めるので地味になります。2曲目から徐々にノリノリに。3・4曲めに至っては、ザ・ジャムでやってもいいんじゃないかといった感じ。ただしネックはコーラスのD.C.リーの歌の下手さと声量のなさはちょっと。(60点)

Boomtown Rats

演奏曲:I Don't Like Mondays / Drag Me Down / Rat Trap

お待ちかね、首謀者ボブ率いるブームタウン・ラッツですが、元々歌が上手い人ではないのでこんなもんでしょう。2曲目はヒットしなかったラスト・アルバム「イン・ザ・ロング・グラス」からの曲で、やはり彼らは「哀愁のマンディ」よりもこういったパンキッシュな曲が似合います。大ヒット曲「ラット・トラップ」は途中ボブがマイクのコードを誤って抜いちゃったため一部音なし。それでDVD収録漏れに。(75点)

Adam Ant

演奏曲:Vive Le Rock

好きなんです、アダム。でもこのパフォーマンスはいただけない。1曲のみというのはかわいそうだけど、選曲も当時のニューアルバムタイトル曲というのは宣伝臭がありますし(タイトルはいいんだけどね)、あまりに張り切りすぎて動きすぎたのか、明らかに息切れ。アメリカ会場のマドンナは頑張ってたぞ。アンツの曲をやって欲しかった。(50点)

Ultravox

演奏曲:Reap The Wild Wind / Dancing With Tears In My Eyes / One Small Day / Vienna

DVDでは巧妙に編集されてますが、1・3曲目は未収録で確かに収録された2曲のパフォーマンスの方が良い。ミッジは1・4曲目でシンセを、2・3曲目ではギターを演奏。それにしてもウォーレン・カンのドラムスのタイトさというか正確さは凄い。ミッジもあまり注目されませんが、ギター上手いね。代表曲「ヴィエナ」はミッジが大熱唱。(75点)

Spandau Ballet

演奏曲:Only When You Leave / Virgin / True

DVDでは2曲目が未収録。注目はむしろその未収録曲で、これは翌年秋に発表されたアルバム「スルー・ザ・バリケーズ」の曲。シングルカットもされなかったのになぜこの曲をやったのか。アレンジもほぼそのままですが、当時クリサリスからの移籍問題があってアルバムが出せなかったのかなと。でもこの曲をライヴ・エイドでやる必然性はあまりなし。「ゴールド」や「早い話が」で良かったのに。「トゥルー」はややテンポ速めでドラムスも強め。(80点)

Elvis Costello

演奏曲:All You Need Is Love

当時リアルタイムで見て、カッコいいなと思ったパフォーマンスの1つ。もちろんビートルズのカバーで、観衆も一緒に歌いますが、ブラスのメロディを観衆が歌っているのを見てコステロがニヤッと笑うところに注目。アコギ一本の1曲で引っ込んじゃうのも彼ららしい。(95点)

Nik Kershaw

演奏曲:Wide Boy / Don Quixote / The Riddle / Wouldn't It Be Good

残念なことに4曲目「恋はせつなく」しか収録されず。2曲目「ドン・キホーテ」は8月にシングルカットしたので、この選曲は宣伝臭が漂います(が、パフォーマンスはこの曲が一番いい)。個人的には「ワイド・ボーイ」がニックで一番好きな曲なのでDVDに収録して欲しかったが、YouTubeで観るとあまり盛り上がってないので漏れたんでしょうね。人気曲「ザ・リドル」は盛り上がったので収録しても良かったのに。(75点)

Sade

演奏曲:Why Can't We Live Together / Your Love Is King / Is It A Crime

アルバム1枚だけなのに出演したシャーデーは大抜擢と言えますが、選曲は結構意外。ヒットした"ユア・ラヴ・イズ・キング"はともかく、1曲目にティミー・トーマスのカバーを演奏したのは意外(アルバムには収録されてましたが)。3曲目は翌年のアルバム「プロミス」からのシングルなので宣伝ですな。シャーデーが上着を脱ぐと会場が盛り上がるところが見モノ。地味な曲調が続くのに歓声はよく飛んでいて当時の人気がうかがえます。(80点)

Sting & Phil Collins

演奏曲:Roxanne / Driven To Tears (Sting) / Against All Odds (Phil Collins) / Message In A Bottle (Sting) / In The Air Tonight (Phil Collins) / Long Long Way To Go / Every Breath You Take (Sting & Phil Collins)

当時の大人気の2人の共演。DVDでは「ロクサーヌ」「見つめて欲しい」「見つめていたい」(ややこしい)の3曲だけを収録。2曲目はアルバム「ゼニヤッタ・モンダッタ」収録曲で、後々ソロでもポリス再結成でも演奏されるお気に入り曲。6曲目「ロング・ロング・ウェイ・トゥ・ゴー」はアルバム「ノー・ジャケット・リクワイアド」のノン・シングル曲で、意外な選曲。終始バンドでの演奏ではないのでシンプルで曲の骨格が見えるようなパフォーマンスですが、当時シークレット・ポリスマンズ・コンサートで「ロクサーヌ」「孤独のメッセージ」のスティングによるアコースティック・ライヴを聴いていたのでそんなに違和感はありませんでした。二人とも声がよく出て上手い。(90点)

Howard Jones

演奏曲:Hide And Seek

これまた意外な選曲。ですが歌詞を考えるとなかなか意味深な選曲で、ハワードが考えた末のチョイスかなと。ピアノのみのシンプルなパフォーマンスで達者な演奏が味わえます。(90点)

Bryan Ferry

演奏曲:Boys And Girls / Slave To Love / Jealous Guy

当時、アダム・アントと並ぶワースト・パフォーマンスと思ったのがこのブライアン・フェリー。ライヴ・エイド前の春にヒットした「スレイヴ・トゥ・ラヴ」はまだしも、先月に発表されたばかりのアルバムタイトル曲をやるところに宣伝臭が。ジョン・レノンの「ジェラス・ガイ」もそうですが、彼の持ち味とはいえ演技っぽさがどうにも合いませんで…。最初見たとき(いろんな意味で)宇津井健かと思いました。それはともかくYouTubeでもDVD未収録だった「ボーイズ・アンド・ガールズ」の動画が見当たらず。(60点)

Paul Young

演奏曲:Do They Know It's Christmas? / Come Back And Stay  / That's The Way Love Is (With Aloson Moyet) / Everytime You Go Away 

このパフォーマンスは良かった。全てDVD収録されたのも納得の出来。実は1曲だけの演奏者を除いて全曲DVD収録されたのはダイアー・ストレイツ、U2、クィーンと彼だけの快挙。1曲目はをソロでやっちゃうのは反則だろと思いつつも、元々最初の歌い出しは彼ですし、イントロのみでしかもアカペラということでこれはこれでOK。途中アリソン・モイエが入ってのマーヴィン・ゲイの名曲をデュエット。これも素晴らしい。アリソンは1stソロも大ヒットだったので単独でのステージングでも良かったのに。ホール&オーツの4曲目はイギリスでは既にヒットしてましたがライヴ・エイド直後に全米1位に。(95点)

U2

演奏曲:Sunday Bloody Sunday / Bad

当時既にライヴ・バンドとしても名を馳せ、アメリカでのブレイクも時間の問題だったU2なので、悪いわけがないんですけどね。ただ「バッド」のボノのパフォーマンスは賛否両論だと思われ。恥ずかしげもなくよくも女性を引っ張り上げてチークダンスできるなと私は思いました。会場はめっちゃ盛り上がってましたが。それよりも「バッド」ではルー・リードの「サテライト・オブ・ラヴ」「ワイルド・サイドを歩け」、ストーンズの「ルビー・チューズデイ」「悪魔を憐れむ歌」を挟み込んだのは興味深いところ。(85点)

Dire Straits

 演奏曲:Money For Nothing (with Sting) / Sultans Of Swing

リアルタイムでは1曲目が全米1位を取った前後だったかと。当時、ディラン的な歌い回しが苦手だったのでこの曲も嫌いでした。が、DVDで見直すとめちゃくちゃいい。マーク・ノップラーのあのギターが入るところのカッコよさ。で、当時はこの曲になんでスティングがと思ったら、あとで元々歌ってたばかりか、あのメロディーがポリスの「高校教師」と同じと知って驚きました。2曲目の彼らのもう一つの代表曲も最高。フィンガーピッキングであんなに綺麗で強い音が出せるとは。(95点)

Queen

演奏曲:Bohemian Rhapsody / Radio Ga Ga / Hammer To Fall / Crazy Little Thing Called Love / We Will Rock You / We Are The Champions

映画「ボヘミアン・ラプソディ」のおかげで一気にメジャーとなったパフォーマンスですが、当時も激賞されてました。文句なし。当時思ったのは3曲目(「ザ・ワークス」収録曲)がいい曲だなと思ったことと、4曲目(「ザ・ゲーム」からの大ヒット曲)でフレディのギター姿が新鮮だったこと。映画では触れられていませんでしたが、バンド解散寸前だったということより、南アフリカでの講演が大批判を浴びたことへの汚名返上の意味合いも強かったのかなと。(100点)

David Bowie

演奏曲:TVC15 / Rebel Rebel / Modern Love / Heroes

しかしクィーン、そしてこのボウイ、続くザ・フー、エルトンにポールとイギリスの層の厚さは凄まじいですね。でボウイのパフォーマンスですが、「レッツ・ダンス」の大ヒットに「シリアス・ムーンライト・ツアー」の成功とノリに乗っている時期ですが、ストーンズ調の2曲目はともかく、3-4曲目はレコーディングの魔術がカギの曲なので今一つだったかなと。ただし1曲目は「ステーション・トゥ・ステーション」収録のものよりアップテンポでカッコよかった。ボウイの怪しい腰振りもGood。(80点)

The Who

演奏曲:My Generation / Pinball Wizard / Love Reign O'er Me / Won't Get Fooled Again

音声の不具合により1-2曲目がDVDではカット。「マイ・ジェネレーション」の未収録は残念。実はザ・フーは洋楽を聴き始めた頃には既に解散していたので、このときが初体験。3-4曲目のロジャーの熱唱にしびれました。よって、いまだにこの2曲を収めた「四重人格」「フーズ・ネクスト」はお気に入り。ドラムのケニー・ジョーンズはちらほら映ってましたが、ジョン・エントウィッスルはほとんど顔が映ってなかったようでした(「マイ・ジェネレーション」では例のベースソロがあるのでしっかり映ってます)。(90点)

Elton John

演奏曲:I'm Still Standing / Bennie And The Jets / Rocket Man / Don't Go Breaking My Heart (with Kiki Dee) / Don't Let The Sun Go Down On Me(with Wham!) / Can I Get A Witness

1曲目、6曲目はDVD未収録。「ベニー・アンド・ザ・ジェッツ」はやはりライヴ映えしますね。キキ・ディー、ワム!(というよりジョージ・マイケル)との共演も最高。それにしてもワム!として出演しなかったのはなぜでしょうね。ちなみに「キャン・アイ・ゲット・ア・ウィットネス」はもいろんマーヴィン・ゲイのカバーで、オリジナルアルバムには未収録。(90点)

Freddie Mercury & Brian May

演奏曲:Is This The World We Created?

このパフォーマンスは予定されていたのか時間調整だったのか。いずれにせよ印象的なアコースティック・パフォーマンス。本体クィーンで熱狂の渦に巻き込んだ直後なので、観客も大歓迎。曲は「ザ・ワークス」収録曲からで、ほぼオリジナル通り。(95点)

Paul McCartney

演奏曲:Let It Be

よく知られているように、ポールのマイクの故障で一番はほぼカラオケ状態だったのを、DVD収録にあたってポールがヴォーカルを再録音してミックス。だから途中で大歓声が巻き起こるのはマイクが復活したため。ジョン・レノン死去後、初のライヴでした。後半、ボブ・ゲルドフ、ピート・タウンゼント、デヴィッド・ボウイ、アリソン・モイエが登場。ボブが思いっきり歌の入りを間違ったところとピートがポールにちょっかいを出すところが見所。(80点)

Finale

演奏曲:Do They Know It's Christmas?

イギリスのフィナーレは全員によるバンド・エイド。ボウイが最初に歌い、本編ではエルトンのゲストのみ参加のジョージ・マイケルもしっかり歌います。U2のボノも自身のパートを歌うところで観衆が大合唱。顔ぶれをよく見ると同じく本編に出なかったビッグ・カントリーのスチュワート・アダムソンの顔も。途中で圧倒的声量で参加する黒人女性はノナ・ヘンドリックスですかね?アメリカのフィナーレと違い、マイクを奪い合うような見苦しい場面もなく、いい感じのフィナーレでしたね。(85点)

ということで、次回はアメリカ編を。

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