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「ツイン・ピークス」と私

「ツイン・ピークス ザ・テレビジョン・コレクション」を入手し、念願の《25年後のツインピークス》をほぼ一気見した。
 私にとっては初めて本格的にじっくり見た海外ドラマシリーズ。FBI という機関の存在と魅力を知ったきっかけでもある。

 アメリカの自然豊かでのどかな町、ツイン・ピークスを舞台に展開する物語の端緒は、ローラ・パーマー殺害事件。ハイスクール・クイーンのローラに何があったのか? 捜査に乗り出すのは、FBI捜査官 デイル・クーパー! やや閉鎖的なツイン・ピークスにおける人間関係が浮かび上がってくる流れは本当に 秀逸で、何度見てもワクワクする。
 クーパーの突出した異質さが妙にツインピークスになじんでいくことも、実は伏線なのでは? と思えるくらい、ツイン・ピークスという空間そのものの魅力や魔力が明らかになる終盤はゾクゾクする。

 20世紀に制作された30章の物語を 私は何度となく周回した。ふとした時に劇中のセリフが口をつくくらい私の心に染み付いているドラマシリーズだ。

 改めて、私にとってツインピークスとは何なのかを一言に集約するならば、「異世界」だと思う。
 ここではないどこか(現実ではない非現実)へ飛び込める最良の手段が、私にとっては読書であり、映画であり、ドラマシリーズでもある。
 ツインピークスは間違いなく、私のいるここ、ではない世界を見せてくれる。私の憧れの異世界だ(異国とはそれだけで十分に異世界だ)。

 ツインピークスは一見、アメリカのいわゆる田舎町の姿をしている。
 観光客向けの大きなホテル、デパート、ダイナー、製材所、ガソリンスタンド、瀟洒な家屋、トレーラーハウス。そしてそれらの背景に広がる森が、さらなる異世界を内包している。山小屋、赤いカーテン、伝説、丸太、フクロウ。
 この赤いカーテンに囲まれた異世界の不可思議さがまた面白い。いわゆる考察がはかどる仕掛け、でもある。
 異世界を内包する異世界。そして、デイヴィッド・リンチならではの「ないはずのものがある(見える)」演出の数々に、私は今もずっと魅了されている。
 25年後のシリーズではテレビドラマで 映画並みの長い間の取り方をする等、リンチ節がさらに濃くなっている印象だ。

 ネタバレしない範囲で語れるのはこれくらいだろうか。

 やっぱりツインピークスは面白い。

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