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近所のおじさんの祈り

#中村ナツ子の深淵 #散文

台風ですね。
気圧のせいでしょうか、昨日の夕方くらいから何もする気が起きず、やらなければならないことがあるのに体が動かず寝っ転がってスマホをいじっていたらいつの間にか寝ていました。
今朝は更にその具合が顕著です。
文鳥も朝から寝ています。

Twitterはセクハラとパワハラの告発で溢れているし。
かなり気分が落ちています。
物申したいこともたくさん浮かんできました。

そんな時こそどうでもいい話をしようと思います。

近所のアパートの2階におじさんが住んでいます。
そのおじさんの家は、比較的四季を通して午前中に窓が開け放されていて、室内が丸見えになっています。

私は朝が苦手なので数年間全く気付いていなかったのですが、実はおじさんには独特なモーニングルーティンがあるのです。

ある日、私が用事で珍しく朝9時頃から家を出ると、廊下にお経のような声が聞こえてきました。
朗々としていて調子もかなり上手いので、何か録音が流れているのかなと思いました。

しかし、音のする方を見てみると、うちの廊下から斜め向かいに見える例のアパートの2階の開放された窓辺で、ランニング姿のおじさんがお経のようなものを唱えていたのでした。

おじさんは両手を胸の前で合わせて、顔には満面の笑みを湛えながら声を張り上げています。

あまり凝視するとおじさんから私の姿も見えてしまうだろうと思い、私は気付いていないフリをして歩き出しながら、耳だけはおじさんの方に注意を向けていました。

すると、おじさんが唱えている内容は、次のようなものでした。

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