『innocent starter』水樹奈々(思い入れのある曲シリーズ)

今日は水樹奈々の『innocent starter』通称イノスタを取り上げたい。

ここまでで思い入れのある曲について毎日徒然と書いてきたわけだが、グッとくる曲のポイントとして、
①サビが初めから終わりに向かってストーリーを描くかのように展開していく
②転調が効果的に使われている
というのを何度か話題に出してきた(他にもたくさんあるが)かと思う。

今回の『innocent starter』はこの2要素が素晴らしいクオリティで網羅されており、筆者の琴線に触れて触れて触れまくってしまった。

まずサビについては、この曲の作詞は水樹奈々さん本人である。

この曲がタイアップしていたアニメの主人公役を務めていたのが水樹奈々さんということで、アニメを見ていない筆者には深くは語れないが、恐らくアニメの世界観が投影された歌詞の内容になっていることが想像される。

ただ、アニメの知識がなかったとしても、この歌詞単体でも十分に味わい深い内容に仕上がっている。

特に好きなのが、「孤独の海を深い蒼に染めてく」の「蒼」と、「夜明けの朱い空に虹を描いて」の「朱」の対比だ。

単なる青、赤ではなく、蒼、朱なのも叙情的に感じられて良い。

1人で閉じこもっている人物を救うべく、主人公が夜明けに立ち上がる。
そんな光景が姿を持ったイメージとして捉えられ、歌詞の世界をよりドラマチックに彩っていると思う。

また、これだけ歌詞が毎回変わっているのにも関わらずサビの言葉の乗り方ががどれも物凄く自然でなのも驚きで、どのサビが一番好きか決めろと言われたら困ってしまうレベルだ。

この曲の作曲は水樹奈々さんの初期の頃の楽曲を多数手がけている大平勉さん。

個人的にはアルバムだと『ALIVE & KICKING』以降を主に聴き込んできたため、あまりイメージがないのだが、『STARCAMP EP』収録の『空時計』はかなりの名曲だと思う。

中期は特にElements Garden界隈の曲が増え、サウンドも曲展開も劇的なTHEアニソンといった感じのものが増えていく。

ちょうどそこに至る前の過渡期にリリースされたこの『innocent starter』は初期の流れを汲みつつも少し洗練されたような印象で、個人的な好みとしては非常に丁度良い。

明るいAメロからBメロで少し空気が変わり、転調してサビに向かっていくという進行も歌詞とリンクしているようで素敵だ。

唯一残念なのが、音源はベースとドラムが打ち込み(恐らく)であることなのだが、ライブ版では生バンドでの演奏を堪能することができ、特にベースの坂本竜太さんが意外と動きの多いベースラインを弾いていることもあって、原曲とはまた違った味が出ている。

ギターソロは原曲でも素晴らしいところ、ライブではラスサビ前と後のソロを2人のギタリストがそれぞれ担当するようなアレンジになっており(これも『Oasis』と同じだ)、特にラスサビ後のソロはより感情のこもったフレージングになっているライブ版もあるので、こちらも注目だ。

この『innocent starter』、Wikipediaを見たところ、田村ゆかりや、まさかの倖田來未とも共演して一緒に歌ったことがあるとのこと。

水樹奈々さんの有名曲というと『ETERNAL BLAZE』の印象が強かったが、どうやらこちらの人気も負けてはいないらしい。

『ETERNAL BLAZE』と比較するとアニソン特有の雰囲気は薄く、この2000年代前半に流行っていたJPOPが好きであれば好みに合いそうなこの曲。

是非一度聴いてみてもらいたい。

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