「名前のない星」戯曲賞 設立への道②
その講座から二十年近くが経過し、日本の小劇場の戯曲というものは、とても偏ったものばかりになったように思う。
戯曲賞を獲るためには、不条理を書かなければいけないのだ。そうならざるを得ない。
それともうひとつ。
その講座の時から言われていたが、戯曲賞を獲るには「継続性」が重要視される。
「続けない奴に賞をあげたってもったいない」
戯曲講座でも講師はそう言っていた。
「結局のところ、賞はあげたいと思える奴にあげる。そういうもんだ」
うーん。言っていることはわかるのだが、それって内輪のレースですと公言している様なものなんじゃないのか?
この「継続性」が、戯曲賞が歪んでいった大きな要因のひとつだと思っている。
なぜかって?
継続性を重視すると、演劇をはじめたばかりの人が賞を獲れなくなるから。作品力のある新人よりも、長く業界にいる凡才の方が賞を獲れるから。その結果、才能のあるものが演劇に目を向けなくなる。
その後、僕は小説家にシフトチェンジした。
それはこの講座で聞いた内容の影響を少なからず受けている。
劇作家では食えないうえに、賞を獲るには審査員の好みに合わせなくてはいけないのだ。さらに継続性も必要となる。
日本には戯曲賞が片手で数えられるほどしかないのに、こんなに制約があるのでは目指す気になれない。
おそらく、僕と同じ気持ちを抱いている人は多くいるのではないだろうか。
この気持ちが「戯曲賞」を創設しようと思った理由のひとつである。
ただ、それだけではない。
次は「賞とは何か」と書いてみます。
よろしくお願いいたします。
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