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冬季体制の鉄道を記録する

JR長野地域の2023-2024シーズンの冬季体制が終了しました。冬季は低気温、降雪、積雪、着霜など鉄道にとって過酷な環境になるため、他の季節とは異なる対応を特別に施行する場合があります。たとえば除雪車が一番わかりやすい例ですね。
2023-24シーズンではそれらを比較的頑張って記録したと思うので、時系列順にまとめようと思います。

2023/12/16
飯山線アイドル列車

森宮野原駅に到着した172D(左)と175D(右)
回8152D キハ110-232+231

飯山線沿線は豪雪地帯です。特に栄村の森宮野原駅は駅前に7m85cmの積雪記録の標柱が建っており、国内最大の積雪深の記録があるほどです。通常森宮野原駅では十日町発森宮野原行き172D・戸狩野沢温泉発森宮野原行き175Dの2両が夜間停泊をしますが、冬季にそれをしたらどうなるでしょうか。車両の上にメートル単位で雪が積もられたら動けなくなるのは明白でしょう。そのため、冬季は森宮野原駅・戸狩野沢温泉駅での停泊車両を長野駅まで退避させ、早朝に返却する「アイドル列車」が運転されます。

この日は森宮野原での2両を連結させ発車するまでを撮影しました。
上り本線に172Dで到着したキハ110-231が下り方に引き上げ、175Dで到着したキハ110-232に連結。2両編成の回8152Dとなり戸狩野沢温泉駅に行きます。
この日はついでで寄ったため以降の撮影はありません。

2023/12/22

この日は今シーズン初の降雪のため、飯山線でも見に行こうかと戸狩野沢温泉駅に寄ったところ、除雪車ENR-1000が停車中。大して雪は積もっていなかったので除雪車が出るとは思わなかったのですが、戸狩野沢温泉駅にいる以上車庫のある飯山駅に行くだろうと予想し撮影地に布陣。しばらくすると通過しました。

投排雪ラ302 ENR-1000(6015)
飯山駅に到着
ロータリー形態に転換
入庫

飯山駅に到着後、ラッセル→ロータリーに形態転換し入換して車庫に入庫しました。

その後、日本海側では大雪とのことで妙高高原駅まで出向いたところ駅構内でMCR-600Aが出動準備していました。これだけの雪ならば黒姫にいるしなの鉄道のHTR600Rも出動するだろうと黒姫駅を見ると出庫準備中。牟礼駅に先行して撮影し、再び黒姫駅に戻り再度撮影。撮影終了する頃には日付が変わってしまいました。

妙高高原駅で待機中のMCR-600A(6082)
牟礼駅に到着したしなの鉄道HTR600R(K6040)
黒姫駅に停車するHTR600R

2023/12/29

この日は早朝に大糸線へ。長野地区ではE127系100番台が運用されていますが、E127系A5~A12編成には霜取り用パンタグラフが装備されており、冬季は一部列車で霜取り用パンタグラフを使用し架線に付着した霜の除去を行います。長野地区の霜取り用パンタグラフ装備車は他にSR1系などもありますが、SR1系が冬シーズン期間中ずっと霜取り用パンタグラフを上昇させているのに対し、E127系は列車ごとに霜取りパンタグラフの使用可否が決まっているらしく、必要がなくなれば折り返しのタイミングなどで下ろしてしまいます。そのため、E127系の霜取りパンタグラフ使用は他の形式に比べ難易度が高いと思われます。

回1323M E127系A11編成

12/30

この日は長野〜篠ノ井の霜取り列車が211系6両編成にて運転。長野〜篠ノ井は霜取りの運転頻度は低いですが、受験の日や特に冷え込んだ日は運転されるようです。長野駅発車の時点では朝早すぎて駅が開いていませんが、復路長野駅到着の時点では開くため到着したところを撮影。といっても回送幕と列車番号表示くらいしか変わりないですが。

回9335M 211系N605編成

2024/1/3
撮影は日付変更後ですが1/2の夜ですね。
正月から能登半島地震が起きた関係で新幹線検測車East iが来ていたのですがそれの関係で夜に出かけたためついでに戸狩野沢温泉駅まで。
前述のアイドル列車ですが回8152Dが戸狩野沢温泉に到着した後、戸狩野沢温泉行き終列車の151Dと連結し4両編成となります。その入換作業を撮影しました。

戸狩野沢温泉駅に到着した回8152D(左)と151D(右)
入換をするキハ110-235+229
回8154D キハ110-227+230+235+229
堂々の4両編成

回8152Dの車両を下り方に引き上げ、151Dの後部に連結し4両編成に。発車前に室内灯は消灯されさながら夜行急行のようです。
ついでに長野駅に寄ったところ長野〜篠ノ井の霜取り列車が運転されそうだったので待ってみたところ無事運転されました。

回9335M N606編成

2024/1/8

この日は雪の予報だったため大糸線へ。除雪が出ればいいなーと思いつつも除雪が出るかもわからないのでとりあえず除雪車の車庫のある信濃森上駅へ。
行ってみるとすでに庫が開いて出ているではありませんか。少し待っているとホームに据付されました。

信濃森上駅で待機中のENR-1000(6017)
投雪しながら進むENR-1000
同上
白馬駅に到着
E127系A11編成(5334M)とENR-1000の並び

白馬より南に行くと思い少し南で待っていましたが駅から出てきませんでした。
E127系の普通列車と並んだ後、北へ戻っていきました。それにしても信濃森上〜白馬の1駅だけのためにロータリーを出すものなんですね。

1/12~13

23時台の飯山線回送を撮るために長野駅で待っていると、平日運転の篠ノ井線快速の送り込みの前日出区の時間に211系6連が出区してきました。12日は金曜のため、翌日は土曜であり快速は運休で送り込みもないはず。しかも快速は6両貫通編成ですがこれは3+3両です。
もしやと思って翌朝見に行くと長野〜篠ノ井の霜取りに充当されていました。

キ2M 211系N322+N334編成
回9335M 211系N322+N334編成
電留線に引き上げ
キ1M 211系N322+N334編成


前回見た211系の長野〜篠ノ井の霜取りは長野駅到着後直接車両センターに入区しましたが、今回は電留線に引き上げたあと長野駅8番線(通路線)を通って入区しました。

1/14

前日昼に白馬は大雪になりました。そのため昼に除雪車が出るかも?と思い見に行ったところ見事に空振り。ただ昼に出なければ夜に出るだろう、との推測で信濃森上駅へ。
すでに庫は開いており出発準備中でした。

出庫待ち
投排雪ラ100 白馬駅通過
投排雪ラ100
投排雪ラ101 簗場駅折り返し待ち
投排雪ラ102 南小谷出発

ENR-1000は信濃森上〜簗場〜南小谷〜信濃森上の経路でラッセル除雪を行いました。
ENR-1000ラッセル除雪時の特異な点といえば「信号に従い運転される」点です。ENR-1000除雪車は保守用車です。保守用車は本線を走るには線路閉鎖の手続きを必要とします。そのため保守用車は基本的に信号に従わずに赤信号を突破したり、通常の列車であれば青信号を通ったら信号が赤になるところを通っても青のままだったりします。しかしこのENR-1000のラッセル運転時は信号機が列車運転時と同じ挙動をします。何故ですかね。

2024/1/24

この日は雪が降っていたので飯山線へ。飯山駅に到着するとすでに除雪車がホームにいたので戸狩野沢温泉駅まで先行しました。

戸狩野沢温泉駅に到着したENR-1000(6015)
形態転換
ロータリー形態に
投雪開始
投雪しながら下り方へ

ラッセル形態で戸狩野沢温泉駅に到着しロータリーに形態転換し下り方面へ出発しました。
ロータリー除雪は速度が遅いため車で先行して待っていましたが一向に来ないため戻ってみるとすでに戸狩野沢温泉駅の側線に留置されていました。隣の上境駅までも来ませんでした。

投排雪ラ302

その後、ラッセル形態に戻り飯山方面へ帰りました。

2024/1/27

この日は関西オタクがアルピコを撮りに来たので、車があったほうがいいと思い松本へ迎えに。上高地線では霜取り列車は運転しませんが朝の一部営業列車で霜取りパンタグラフを使用します。
オタクを迎えに行くも連絡しても返事がないので渚の鉄橋で待機がてら撮影開始しました。
日の出時刻を迎え山頂から紅く染まっていく北アルプスを背に、引退が近い3000形3007Fが霜取りパンタグラフを上げ通過しました。まさに絶景でした。

モルゲンロートと霜取りパンタ
4レ 3007F
10レ

その後はオタクを回収し撮影を続行。その次の列車でも霜取りパンタを使用していましたが、さらにその次の列車では霜取りパンタは下げられていました。

2024/2/18
この日は晴れて放射冷却で冷え込む予報だったので、北しなの線の霜取りとトキ鉄の2パン運用を見るために北へ。
前述の通りSR1系は期間中ずっと霜取りパンタを上昇させているので、霜取りパンタ目当てでは霜取り列車を撮る動機にはなり得ません。よく冷え込んだ日の霜取り列車はパンタグラフを激しくスパークさせるので、それを記録するためにまずは黒姫の有名撮影地に布陣。有名撮影地といえども冬の日の出前には誰もいませんね。目論見通りスパークしながら走るSR1系を記録できました。

特大スパーク
回8311M SR1系S201編成
2320M ET127系V9編成
2321M ET127系V9編成

続いてトキ鉄線内へ。ET127系は10編成いますがV8・V9の2編成のみ霜取りパンタグラフを設置しており、冬季は始発列車からの運用に優先的に充当されています。通常の集電パンタグラフは下枠交差型なのに対し後天的に設置された霜取りパンタグラフはシングルアームパンタグラフと2種類の形の異なるパンタグラフを装備している点が面白いですね。

2024/3/2

この日は湯沢町が-10℃まで冷え込む予報のため「上越カッター」を撮影しに行きました。
上越線では長岡に常駐する機関車を使って冷え込む日に長岡〜越後中里で単機で霜取り列車を運転すると聞いてはいましたが、どれくらい冷え込めば出動するのか分からないので-10℃なら出るだろうと思い見に行きました。いきなり撮影地に布陣して来ないかもしれないのを待つのは辛いのでまずは車両センターへ。4時前にEF64 1051が入換で出てきました。ちょうど降雪があり庫外に留置されていたため屋根上に雪がてんこ盛りになっています。折り返しの越後中里ならば停車中に撮影できると思い急いで高速道路へ越後中里駅へ。途中の高速道路で融雪剤散布車が時速30kmで巡航しており高速課金を後悔しました…。
EF64 1051は新潟EF64では現状唯一の相当連結器非装備機。そのため長野への電車の廃車回送に使われる機会がなく、長野で撮るチャンスが少ないため1051号機を撮れてご満悦で帰宅となりました。

長岡で出庫してきたEF64 1051
おじいさんは山へ霜取りに
単8741 EF64 1051


2024/3/15
この日はダイヤ改正前日。毎年しなの鉄道の霜取り列車は早めに終わるのでラストチャンスかなーと思い北しなの線へ。
前回2月に撮りに行った時は真っ暗でしたが、今回は日の出が早くなり辛うじて明るく撮れるほどに。この日も充分冷え込み火花を散らしながら走っていきました。まさに「電(いなずま)」の車と書いて「電車」という感じです。

回8311M SR1系S203編成
パンタグラフ両方からスパーク


2024/4/9~10

4月になりました。いや4月は春だろって思いますけどね。長野地区のJRでは毎年4/15頃まで霜取り列車が走ってるようなので、大糸線に見に行きました。
大糸線はアルプスの麓で特に冷え込むので霜取り列車運転+定期回送の霜取りパンタ使用で実質2本霜取り列車が運転されています。実にオトク。
今回は前日の南小谷→信濃大町の回送も撮影しました。通常期なら南小谷で停泊する車両を冬季は信濃大町に回送し、翌日に南小谷へ霜取り列車として返し始発に化けるという運用をしているようです。おそらく南小谷に停泊させていると除雪の邪魔になる/動けなくなるという飯山線アイドル列車に似た事情もありそうです。

回8360M E127系A11編成
回8321M E127系A11編成
回1323M E127系A12編成

4/13

4月ともなるとどんどん日の出が早くなります。そのため早朝に運転される霜取り列車もギリ明るく狙える、と思い篠ノ井線の霜取り列車にチャレンジ。

回9947M E127系A5編成

なんとか撮れる…といったところ。昔クモヤ143-52を使っていた頃はもっと遅かったのにE127系に変更された際に霜取り列車後に聖高原始発の2228Mに流れる運用が組まれた関係で早くなり、去年の改正で稲荷山での朝の快速列車の送り込み回送との交換が篠ノ井まで逃げ切るように変更され余計早くなってこの通りです。シーズン終了ギリまで待ってもこの暗さです。限界なのかもしれない。


くぅ〜疲れましたwこれにて冬季体制終了です!
この冬はちょっと張り切りすぎましたね。まぁここに書いたのは写真という成果物が出た回だけなので、実際はアルピコの除雪を空振ったりアイドル列車の時刻調査で何回か飯山線に行ったりしてます。今年は雪で車が動かなくなったり(←自力でスコップでなんとかしました)道が凍ってて車ごと100m以上滑走したりもしました。冬は危険ですので皆さんも冬季体制の撮影に出る時は充分装備を整えて心に余裕を持って行動してくださいね。でなければ死にます。(去年アイドル列車を見に行った際に氷道でブレーキが効かず無事死亡しました。)

この記録も皆さんのご安全な冬季体制撮影の一助になれば幸いです。では来年も、良き冬季体制を!ご安全に!

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