大学1・2年生の為の文章表現

 この記事は、真面目に学問に取り組みたい大学1・2年生、或いは高校生を対象とする文章表現指南である。飽くまで学術的文章表現についての記事であって、美文を書きたい者には向かないので注意されたい。芸術と芸術学、文芸と文芸学とは異なる。この記事で紹介する類型の文章は、芸術学、文芸学には利用し易いが、芸術、文芸そのものには利用し難い。

 ここで少し話が逸れるが、真面目に学問に取り組みたい君ならしっかり読み進められる筈だ。君は国語(日本語。以下同様)の歴史を知っているか。私の専門は言語学でないので雑駁な説明となるが、日本語の場合、書き言葉は明治期まで相変わらず平安時代と同様であったのに対し、話し言葉は目まぐるしく変化し続けていた。その結果、明治期には書き言葉と話し言葉は全く異なるものになっていたのだ。そこで、当時(明治期)の書き言葉を文語、当時の話し言葉を口語と呼ぶようになった。

 やがて、文語と口語を(一応)統一しようと、言文一致運動が起きる。日本がアジア太平洋戦争に敗北してしまった後、GHQ(連合国軍総司令部)の関与もあり、「国語改革」の名のもとに良くも悪くも国語は変えられてしまった。こうした経緯があり、書き言葉と話し言葉は口語に統一されたのだ。だが少し疑問に思ってほしい。「今でも書き言葉と話し言葉は違うじゃないか。」、と。そう、親や学友と電話感覚で対話する際に諸君が打ち込むLINEの文章はともかく、学術書や高校教科書の文章は話し言葉とは違うのだ。

 現在の日本語(口語)は常体(~だ。~である。等で文を締めくくる日本語)と敬体(~です。~ます。等で文を締めくくる日本語)の2つに分けられる。何を隠そう、大人が書き、大人が読む正式な書き言葉は「鉤括弧(かぎかっこ)」等の中を除けば、常体なのである。小学校、中学校の教科書は敬体で書かれているが、それは子供向けの文章だからだ。

 レポートのような学術的文章及びその他正式な文章を書くときは常体を使うこと。これが全てだ。高校生(生徒)はともかく、大学生(学生)がレポートで敬体を使って小学生が書くような文章を書いてしまったら教員に内心呆れられてしまう。正式な文章は常体で、相応しい単語を使って書かねばならない。例えば、「朝ごはん」ではなく「朝食」、「車」ではなく「自動車」という単語を使うべきだ。

 ここまで偉そうに書いてきたが、誰しも初めは正しい学術的文章を書けないのであり、人間はミスをするものである。 もしかするとこの記事にも誤字脱字や「主語と述語が噛み合っていない」といったミスがあるかもしれない。ミスをしない人間など有り得ないのだから、自分で書いた文章を提出する前に見直す癖を付けよう。君の学業が順調であることを祈っている。

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