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時代を先取りしまくったWEATHEROID TypeA Airiについて

バーチャルお天気お姉さん兼Vtuber

日本最大の気象会社として知られるウェザーニューズ。そのVtuberとして知られるのがWEATHEROID TypeA Airiこと「ポン子」である。
彼女がVtuberを名乗ったのは2018年のこと。しかし、それ以前から活動していたことは調べれば分かる通りである。
現在も精力的に活動しており、沢山のファンを抱える彼女は執筆時点でデビュー9年目の新人Vtuberと名乗りつつ現在も活躍中である。
では、Vtuberになる前、私がポン子を見つけた頃はどうだったかと言うと...
それはそれはすごいものだった。私が見始めたのは2017年、ポン子がVtuberになる1年前で、デビュー5年目の時だった。

中の人が複数人いたVtuber

Vtuber1人につき、中の人は1人。これが現代のVtuberの常識になりつつある。実際、今のポン子も1人で、かつて某大手Vtuberさんが4人に分裂した頃、ファン界隈に暗雲が立ち込めたのも懐かしい。
しかし、2017年当時ポン子は既に2人いた。細かく見れば2017年3月まで3人いたのだ。
どういうことか、理由はこうだ。
当時のウェザーニューズの放送「SOLiVE24」にはいくつかの番組があり、その内、木曜日の「SOLiVE ナイト」(23:00-1:00)と、毎日の「SOLiVE ミッドナイト(1:00-4:00)」「SOLiVE トワイライト(4:00-6:00)」の3番組にポン子が出演していた。しかし「ミッドナイト」が3時間、「ナイト」「トワイライト」は共に2時間ずつある上、ポン子とは別に中の人がキャスターとして出演する番組が別の時間にもあることから、そのままポン子を出すことは不可能であった。
そこで、本来の中の人が入るポン子を木曜日の「ナイト」だけに絞った。これで、ポン子に中の人が入る必要は1週間に1回で済んだ。
ところが、「ミッドナイト」「トワイライト」にもポン子を出さないといけない。そこで、特定の単語や文章をあらかじめ録音しておき、スタッフがボタン操作で音声を送出する事でポン子を喋らせて配信を行えるようにした。こうして「録音音声をつぎはぎで話すポン子」と「中の人がリアルタイムで話すポン子」の2人が現れた。
さて、2017年4月以降のポン子2人が揃ったが、3月以前のポン子が含まれていない。これも説明する必要がある。
3月以前のポン子は録音音声を話すポン子の番組形態の差であった。便宜的に分けると「まじめなポン子」と「ふざけてるポン子」となる。
まじめなポン子は「ミッドナイト」のポン子で、当時午前1:30頃から全国の天気予報を伝えていた。基本的にコーナーの構成は固定されており、ポン子の話す内容も天気の差を除けばあまり変わらなかった。ゆえにまじめに天気を伝えているから「まじめなポン子」と呼べるものだった。
一方のふざけてるポン子は「トワイライト」のポン子で、スタッフによって何を仕出かすかわからないポン子であった。午前4:30頃から放送され、2017年時点で天気予報のほか、全国の天気をリアルタイムで視聴者に聞くコーナーや、「元気リポートリレー」「おめざましメール」があった。
特に「元気リポートリレー」のコーナーは視聴者に元気を届けるコーナーであったが、登場する写真一枚一枚に対するポン子のリアクションがめちゃくちゃであり、ガイコツに対して「かわいい!」って言ったかと思えば、限られたワードを駆使して食レポを行ったり、ふぐの刺身写真で「高い!」て言ったり好き放題。
ポン子が有名になるきっかけとなった「ウェザーロイド占い」もトワイライト発で、一時期毎日のようにかに座を最下位にしてたが、あのコーナーは16年度で終了しており、リアルタイムで見ることは叶わなかった。ちなみに、この時間帯のポン子にも1:30ポン子と同じように天気予報のコーナーがあったが、スタッフによってはやはりふざけていた事もあった上、最終的にはコーナーごとカットされるなど、ひと味違うコーナーであった。
まじめなポン子とふざけてるポン子に分けられていた深夜のポン子であったが、17年度の番組改編にて他枠の拡大に伴いトワイライトとミッドナイトが統合。新生ミッドナイト(1:00-5:00)としてスタートを切る事になった。そして1:30頃のまじめなポン子は廃止され、4:30頃のふざけてるポン子に集約された。
その後、2018年度のSOLiVE24からウェザーニュースLiVEへの大改編に従い、人気があったこれらのコーナーはほぼ全て廃止され、4:30ポン子も姿を消した。

もっとも、もう一人のポン子はまた違う仕組みで一度復活するのだが、それはまた違う機会で。

生放送と過去アーカイブの両立

Vtuberは動画と生配信をメインで活躍している人が多い。
もちろん片方だけの方もいるが、生放送のアーカイブをそのまま動画として投稿する方も多い。毎日生配信を行いつつ、ゲームの実況や歌ってみたなど再生回数が見込まれるコンテンツを動画として製作する方もいる。
では、ポン子はどうか。
ポン子の場合、基本は他のVtuberと同様、生配信を行いそのアーカイブが残る手法が取られているが、なんとデビューからすべての動画が存在する。これはポン子のためというよりは、元々ウェザーニュースが全番組のアーカイブをYoutubeに投稿するようにしていたからだ。
とはいえ、あくまでポン子はウェザーニュースのコンテンツだったので、個人チャンネルの開設はVtuber化を宣言した2018年度と大きく遅れた。また過去動画の数も膨大なため再投稿もできず、2つのチャンネルを見ないと過去を振り返れないようになっている。さらに、Vtuber化以前のアーカイブの解像度は今と比較すると低いので、人によっては見ずらいかもしれない。
ちなみに、当初ウェザーニュースの番組はYoutubeで配信をしておらず、視聴専用のソラマドアプリ(終了済)とニコニコ生放送をメインに配信を行ってたので、現在もYoutubeと共にニコニコ生放送からの視聴者は多い。

テレビ出演最速のVtuber(?)

ポン子のテレビデビューはデビュー直後、つまり2012年4月13日であった。何故そんなに早かったかと言うと、当時ウェザーニューズが独自で衛星放送のチャンネル(BS910ch、2000-2016)を持っていて、そこでSOLiVE24を放送していたからである。ちなみにBS910chは2016年9月末に廃局したが、最後に流れたジングルは当時よく使われていたポン子が手を振る映像だった。
しかし、衛星放送はアンテナが必要で誰もが見れるわけではない。じゃあ地上波はどうかと言うと、実はこちらも2017年9月に果たしている。出演した番組は日本テレビ系列の「ヒルナンデス」で、ウェザーニューズが紹介された際に「ウェザーニュースに所属するもう一人のアナウンサー」として数分割いて中身入りの再編集VTRが放映された。この記事を書いた筆者も病院の待合室にあるテレビで見かけて驚いた1人である。
ポン子は日本テレビ制作の番組に出演することが多く、他にも深イイ話や有吉反省会の出演が確認されている。なお、ウェザーニュースLiVEはSOLiVE24時代から三重テレビにて一部番組のサイマル放送を実施しているが、ポン子が出演したことがあったのかは残念ながらわからない。

中の人の正体も有名なVtuber

 Vtuberの中の人は基本的に隠されている事を前提にしている。ゆえに中の人が特定されるリスクは高い上、操作ミスで顔を写してしまうと炎上する事もあり、色々と大変な事になる。
ところがポン子の場合、ナイトに出演する中の人は最初から公然の秘密となっていた。まず、キャラクターデザインが中の人をイメージして作られてる上に、下の名前も同じ。さらに3Dモデルお披露目の時に中の人の名前で呼ばれているし、番組内で中の人が自分の名前を出してしまったり、2017年度はついにスタッフのミスで中身が見えてしまったが、これらが全部話のネタになるぐらいで済むようになったのだ。逆に中の人がモノマネと題してポン子の声で話し出す事すらあった。他のVtuberでここまでやるのは今でも厳しいのではないか。

二人羽織システム

ポン子は体を操作する人と中の人が異なる時がある。私はこれを仮称として「二人羽織システム」と読んでいる。この二人羽織システムによって、例えば本来は不可能な中の人との共演を無理やりやり遂げる事ができる。ただし、口だけは中の人のマイクを経由して動作するので動いてしまう難点がある。
また、スケジュールがパンパンな中の人の時間を削ってまで、トラッキング装置を取り付けたり、外したりする必要もない利点もある。
問題点があるとするならば、スタッフがふざけて中の人の顔写真の鼻の穴に指を突っ込んだりなどした際に、ポン子のツッコミが大変なことになるぐらいだろうか。
もちろんポン子を全て1人で操作する事も可能(ワンオペ)で、中の人が実際に動かしている配信もある。中の人が左利きな事から、誰が操作しているかを利き手で判断する技もある。

終わりに

ポン子は2018年から本格的にVtuberとなった。よく、ポン子の活躍ぶりを見て「時代が追いついた」と言われている事が多いが、本当にその通りであり、少なくともこれだけの事をVtuberになるまでにやり遂げていた。そして、その中には未だに時代が追いついていない物も混ざっているように私は感じる。
ポン子の時代に真に追いつく時、それはVtuber新時代の幕開けになるかも知れない。

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