衝動的虚飾
高校生になれば何かが変わるだろう、と信じていたあの頃の勘違いを理解しているはずなのに、わたしは何を変えたのだろうか。
間違えて触れた鍵盤の位置と、小説の表紙とタイトルが頭から離れない。
それを上書きできるものをわたしは持っていない。
わたしにしか分からないようなことばかりを理由にしようとしている。
否定されることが怖い。誰もわたしを見ないでほしい。
羨望を抱いていた場所は、冷たくて、痛かった。
逃避しようとしていることを見破られたようで、欲望に振り回されながら生きているもどかしさを思い出した。
風の温度が憂鬱を放してくれなくて、穏やかなのに苦しかった。
存在しない父性に憧れを抱きながら涙するのはもうやめたい。
感覚的なものだと思っていたものは、ただの理想だった。
記憶を、わたしの声でしか再生できなくなったとき、過去を突き付けられた。
消去を繰り返して生生。
白昼夢が怖い。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?