長子であるという呪い#1

 小中学生の学校教師や塾講師を生業としている者で「子どもの兄弟構成を言い当てられる」と自負している人は、実は少なくないと思っている。
 現場から離れて幾年か経ってしまったために今では自信はなくなったが、私もその特技を持った1人だ。

 というのも、「兄弟構成」は個人の人格形成において、かなりの影響を持っているからだ。これはなにか実証されたデータを見たわけではない。職業上の累積記録と、周囲の知人友人を見てきた感覚と、私自身の恨みにも似た経験によるものである。
 長子はマイペースで不器用なタイプが多く、利己的な言動を好まない面があり、世渡り下手だ。生まれてからしばらくの間、何もしなくても周囲の大人を独占できたという背景があるからだ。
 下の子は生まれた瞬間からライバルが存在するために、アピール上手でちゃっかりしたところがある。世渡り上手で器用な子が多い。また良い意味でも悪い意味でも、上の子と対照的な面が必ずある。3兄弟以上の真ん中ともなると、この特徴は更に顕著になる。
 また、3兄弟以上の末っ子になると、いわゆる「甘え上手」「頼り上手」な人が多い。年上に囲まれて育っているため、年上や大人を喜ばせる甘え方を自然と身に付けているのである。また反対に、「子ども扱いされたくない」という思いからか大人びた言動をする子も多い。
 一人っ子の場合、長子とは色の違う「マイペース」さが強く現れる。そもそも、幼いころの遊び相手に「身内の子ども」が少なかったために、大人との遊び方を知っているパターンが多い。マイペースでありながらも、「寂しがりや」「大人との会話が上手」という面があるのではないだろうか。
 いずれにしても、幼少期の時間において「家族」「兄弟」と過ごす時間はあまりにも長すぎる。きっと人々が思っている以上に、兄弟という存在だけで形成される性格・人格は大きい。

 私は三兄弟の一番上、長女である。お決まりの「お姉ちゃんだから我慢しなさい」と直接言われた経験はあまりないが、似たような思いをした場面は何度もあった。正直、長子である自分を嫌いにはなれないが、確かな"呪い"は存在している。
 上記のように職業柄いろんな子どもと接し、また、私自身も子どもを持ってもおかしくない年齢になっている。そこで、どうしたら長子が「長子の呪い」にかからずに済むのか、を考えていきたい。

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