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馬鹿は死んでも直らない─正論の無益さとは

はじめに



こんばんは。相川です。
今回は、「正論」って言うものが如何に意味が無いか、ということをお話していこうと思います。よろしくお願いします。

自分の見たいものしか見ようとしない


古代ローマの政治家であるユリウス・カエサルは「人は自分の見たいものしか見ようとしない」と言ったそうです。まあ、なんとなく経験論的にそうかもって思いますよね、これ。
人って無意識のうちに「こうあって欲しいな〜」っていう願望を抱くものです。そして、その願望は現実とは相反することが多いです。
ここでひとつ、例を上げるので考えてみましょう。
あなたは今、ある会社に勤めています。しかし、入社した時のビジョンとはかけ離れた実績、地位しか獲得できていません。
そんな人を見た時、多分あなたは「この人、仕事が出来ない、無能なんだろうな〜」って思うのではないでしょうか。
しかし、それが自分だったらどうか。素直に自分が無能だと認められますか?認められるなら良いのですが、それでは良くはなりません。そして、こういう場合によくあるのが「自分はここでは無能かもしれないけど、場所を変えれば、きっと……」という思考をするということです。まあそうですよね。自分が無能だと認めてしまったら、これまでの会社での業績や頑張りそのものまで否定してしまうことになります。だから自分を守るために、そういう思考をする訳ですね。
同じような思考形態として、戦争で「お国のために立派に死んでいった」
というのもそうです。国の側からしても貴重な人員を無駄死にさせたとは認めたくないですよね。認めたら、自分の無能を突きつけられたような感覚がするでしょう。そして、遺族の側もそうです。どうせ死ぬなら犬死よりも価値ある死の方が良い。そこに意味を、価値を見出したい。だからこそ、彼らは死を取り繕うのです。
その点、進撃の巨人の序盤の場面は立派ですね。調査兵団が壁外調査をし、結果人死が出る。その遺族が問うわけです。私の息子は、役に立ったんですよね。人類の未来のためになったんですよね、と。普通ならそうだと肯定すると思います。私もそうすると思います。しかし、兵団長はそうではなかった。「何の成果も得られませんでした」とハッキリ告げるわけです。優しさを排除し、現実を突きつけ、カタルシスを生むいいシーンだと思います。出来ればこんな立派な人間でありたいですね。閑話休題。

「お節介焼き」という楽しさ


皆さんは、三島由紀夫の「不道徳教育講座」というエッセイをご存知でしょうか。
このエッセイは非常に面白く、また、生きるのが少し楽になるような考え方を逆説的なアフォリズムを用いて見事に提示しています。いつかこれで文章書きたいな〜なんて思ってたり。とてもおすすめです。
そんな不道徳教育講座の中に、お節介焼きに関する章があるのです。
お節介焼きは他人が嫌がることを万古不易の正義感に則って行える素晴らしい行為だ、そんなことが書かれています。まあそうですよね。
お節介焼きで人生が楽になるなら、多分お節介なんていやらしさを感じる名前を付けられてはいないでしょう。これは嫌われているもののネーミングです。
そしてお節介焼きの本質は、「他人が見たくない真実(正論)を万古不易の正義感をもって押し付けられる」というものです。
まあここまで書いたらお分かりでしょうが、こんなものに意味はありません。皆さんは周りの人にああしろこうしろ、口うるさく言っているでしょうか、はたまた言われている側でしょうか?私はどちらかというと言われている側ですね、閉口しています。「正論言って鬱病が良くなるわけないだろ」なんていつも考えてますが、まあそれはいいとして。
だから仕事が出来ない人に「お前は無能だ!」というのはなんの意味もないばかりか、かえって相手を怒らせ、不満を貯めさせ、モチベーションを下げることに繋がります。自分が気持ちよくなるために相手を踏み台にしているようなものですね。カントならブチギレ案件だと思います。「人を物として見るな!」みたいなことを口うるさく言ってるので。
ということで、皆さん。お節介焼きはほどほどに。とこれもお節介焼きでしょうが、まあ見に来てくださってる時点で、これくらいはご容赦していただきたいものです。

さいごに


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。この文章で正論を認めることの難しさ、それ故の正論の弱さが少しでも伝われば幸いです。あなた方の人生に幸多からんことを。
そして、ここまで読んでくれた方の中には、ひとつある疑問が浮かんできた方も居られるかもしれません。それは、
「これも正論みたいなものだから良くないんじゃないの」
ということですね。
まあ概ねその通りなのですが、先も言ったようにこれを読みに来てくれている時点でそのくらいは容赦していただきたいな、と思います。
それでは、今回はここで終わらせて頂きます。
お読みくださり、ありがとうございました。この文章が面白いと思った方はいいねとシェアをして頂けると助かります。
そして次回からは何回かに分けて「革命家になるための手引き」みたいなものを書こうと思ってます。
それでは。

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