辨天湯と和食展のこと
2023年11月25日、土曜日。2週間ぶりに東京へ。行き過ぎだとは思うが、男には事情というものがある(ヒント:Jリーグが佳境)。
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空港からまっすぐ21_21 DESIGN SIGHTへ。
高尚なことはよくわからないけれど、文字は強いなと思った。紙媒体がなくなることはあっても、文字はなくならないからね。
それからこれ。
自分もだけど、仲良しのお友達にはかつてINFOBARを使っていたという人が多い。なんというか、そういう存在。
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夕暮れの六本木はおしゃれすぎたので、逃げるようにホテルへ。
どの宿も軒並み満室で、あまり都合がよいとはいえない日本橋のアパホテルだったのだが、割と銭湯豊富なゾーンでよかった。
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いくつかの選択肢からチョイスしたのは辨天湯さん。
べんてんゆと読む。東京は都会なので漢字も難しいのだ。
屋号の由来であろう弁天様がお出迎え。
鶴の湯に鶴がいたことも、亀の湯に亀がいたことも、大黒湯に大黒摩季がいたこともなかったが、辨天湯には弁天様がいた。ありがたい。
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辨天湯は極めてオールドスクールな、基本に忠実な銭湯だった。
洗い場に入ると足元に無数のシャンプーやらボディソープやらが置いてあったのにはビックリしたが、ご自由にお使いくださいというサービスらしい。優しいね、辨天湯。
暖簾がゴジラ。まだ観てないや。
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翌日、国立科学博物館の企画展「和食」へ。大変によかったので「写真は出来るだけ少なく」というマイルールを破り、ここに残しておきたい。マイルールってマイルーラを思い出すよね。
デカ看板、ワクワクする。おいしそうだし、デカいし。
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というわけで、ここからが展示内容。
米品種改良の系譜。テポドン感溢れるラインナップの中に紛れる森田早生の愛おしさよ。歌人みたいな名前だな。
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こういった解説は極めて客観的な態度でなければいけない。科学を名乗っているのなら、なおさらだ。しかし、ついつい「おいしい」と主観的な感想を学芸員に書かせてしまうくらい美味なのだろう。
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いぬごろし。恐ろしい名前だ。
名前の由来を調べてみたところ
「あまりの美味さに犬が食いすぎて死ぬから」
だそうだ。少しは工夫しろよ。
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別名多すぎだろ。逃亡犯じゃないんだから。福田和子かよ(名前に『和』が含まれているし、逃亡中に和菓子屋で働いていたので和食展にピッタリな例えです)
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ホーリーネーム?
「乳酸菌よりも酸に強い」もよくわからん。プロレスで例えてくれないか。
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ほとばしる庵野監督感。博士を「はくし」と読ませているのもポイントが高い。
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太古のロマン。弥生人も包みのフィルムを上手く剥がせなくてイライラしたりしたのだろう。一番人気はやっぱりツナマヨか。
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「鶏卵様」で「たまごとうふ」は無理があるだろう。「猛虎原爆固め」で「タイガースープレックス」みたいなことか。
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「ハリスの接待菓子」と声に出してみると、なかなかに小気味よい。それだけである。
「うんとこどっこいしょ」と同じイントネーション。
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フライドチッキン。こんなので全然笑うからね、俺。チッキン。
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展示の途中に
「あなたにとって一番の和食は?」
みたいな、来場者が付箋に書いて貼っていく、よくあるアレがあった。
「夫のつくる ごはん」
私は泣いた。
筆跡と内容から察するに、かなり高齢の女性が書いたものだろう。
何十年も前「男子厨房に入らず」と現代の感覚からは乖離した文言が大手を振るっていた頃、台所は彼女の城であったはずだ。
しかし時は経ち、彼女は衰え、包丁を握ることもままならなくなった。そこで夫が台所に立ち、彼女のために腕を振るっているのだろう。
単に字が汚く料理のできないギャル妻の仕業という可能性もあるが、流した涙のためにもそれは無視する。
なお、下の「くりごはん」も見逃せない。一番の和食を尋ねられて「くりごはん」とは。おいしいけど。
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宇宙食コーナー。宇宙でUFOとは乙である。ナポリでナポリタンを食うようなものだ。
キッコーマン宇宙生しょうゆ。「宇宙生しょうゆ」がカッコよすぎる。タトゥーで入れたい。
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以上、和食についての知見をしっかり深めることができた。
翌日はJリーグ。また来週も来ます。
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