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2024年のソフトウェア開発トレンド

早いもので1月も終わり、今年もあと11ヶ月となりました。多忙になってしまい、1月はじめに書いていたのに月内に公開ができませんでした(-_-;)

さて、昨年はChatGPT, AI一色でしたが今年のトレンドに付いての記事が出揃っていたのであちこち覗いてまとめてみました。



全般

大きなトレンドは引き続きAI(笑 ほかはブロックチェーン、マイクロサービスということになっているようです。AIの話題が多すぎてほかは変化がないように思うくらいの1年でしたが実需の部分ではサーバーレスコンピューティングの利用の広がりが大きいのかな、と個人的には感じています。

  • 人工知能と機械学習の統合 Artificial intelligence and machine learning integration

  • 暗号通貨を超えたブロックチェーン Blockchain beyond cryptocurrencies

  • マルチランタイムマイクロサービス  Multi-runtime microservices

海外のトレンド

日本ではあまり「ソフトウェア開発」という言葉は言われなくなり「アプリ」とか「IT」とか「DX」とか別の言葉に置き換えて広告することが多いですが、英語圏では現在も変わらず software development が主流の言葉です。

serokell の記事ソフトウェアトレンド2024が完璧とも言えるまとめをしていたのでご紹介します

サイバーセキュリティ‐

  • DevSecOps の強調:

    • 企業はセキュリティを DevOps プロセスに統合し、セキュリティがすべての関係者間で責任を共有する文化を生み出しています。このアプローチにより、セキュリティに関する考慮事項がソフトウェア開発ライフサイクル全体の不可欠な部分となることが保証されます。

  • ゼロ トラスト アーキテクチャ:

    • 従来の境界ベースのセキュリティ モデルは、「決して信頼せず、常に検証する」という原則に基づいて動作するゼロ トラスト フレームワークに置き換えられています。これは、組織のネットワークの内部にいるか外部にいるかに関係なく、すべてのユーザーとデバイスを検証することを意味します。

  • 暗号化の使用の増加:

    • データ侵害が増加しているため、転送中と保存中のデータを保護するために堅牢な暗号化方式を使用する傾向が高まっています。準同型暗号化などの高度な暗号化技術が注目を集めており、暗号化されたままデータを処理できるようになります。

  • 安全なコードの実践に重点を置く:

    • 安全なコーディングの実践における開発者のトレーニングにますます重点が置かれています。これには、定期的なコードレビュー、脆弱性テスト、開発段階でのセキュリティ上の欠陥を特定して軽減するための静的および動的分析ツールの使用が含まれます。

  • サイバーセキュリティ メッシュの台頭:

    • この概念は、各デバイスがファイアウォールやネットワーク セーフガードなどの独自のセキュリティを取得する、セキュリティに対する柔軟なモジュール式のアプローチを指します。これは、現代のサイバー脅威の動的な性質に対処できる、より応答性が高く適応性のあるセキュリティ インフラストラクチャの作成に役立ち、ネットワーク全体をより安全にします。

Further adoption of AR and VR

教育、ヘルスケア、ビジネスの3分野で需要が急増する見込み。
プロトタイピング、スタッフのトレーニング、顧客サービスなどのビジネスでますます使用されています。不動産業界では、企業が VR/AR を活用して、バーチャル物件ツアーや、家具やリノベーションが購入前に空間内でどのように見えるかを視覚化するための AR アプリを提供など、未だまだ利用は始まったばかり。2024年は次のものが登場すると予想しています。

  • 超現実的な仮想現実: VR は、雨の感触や夏の草原の匂いなど、現実世界の感覚をシミュレートできるようになり、仮想と現実の間の境界があいまいになります。そして、この傾向は今後も拡大していくでしょう。

  • ソーシャル VR プラットフォームの拡張:ソーシャル VR プラットフォームでは、リアルタイムのインタラクション、仮想パーティーの主催、コンサートへの参加、マルチプレイヤー ゲームへの参加が可能になります。

  • VR への AI の統合: AI はユーザーの行動に適応してエクスペリエンスをパーソナライズし、個人の好みや行動に反応する動的な環境を作成します。

Computing

Function-as-a-Service、クラウドおよびエッジ コンピューティング、そして最も注目すべき量子コンピューティングといった主要なコンピューティング分野の進歩が予想されます。

サーバーレスコンピューティング (FaaS)

サーバーレス コンピューティング、つまり Function as a Service (FaaS) が増加しており、AWS Lambda、Azure Functions、Google Cloud Functions がこの分野をリードしています。FaaS を使用すると、開発者はインフラストラクチャを管理することなくアプリケーションやサービスを構築および実行できるため、より効率的でコスト効率の高い開発プロセスが実現します。

Netfilx -> AWS Lmada
Spotify  ->  Google Cloud Functions
The Weather Company => IBM Cloud Functions 
をそれぞれ利用して実績を上げています。

エッジコンピューティングの急増

エッジ コンピューティングは、データ ソースにできるだけ近いネットワーク エッジでクライアント データを処理する IT アーキテクチャです。エッジ コンピューティングは、計算処理をデータ ソースに近づけることにより、遅延を削減し、リアルタイム データ処理機能を強化します。


量子コンピューティング: 新たなフロンティア

このテクノロジーは、暗号化、最適化、分子シミュレーションなどの複雑なタスクに特に効果的で、飛躍的に高速なソリューションを提供します。普及はまだ先のことですが、ソフトウェア開発への波及効果が現れ始めています。

プログラミング言語

Python の優位性

Google で言語チュートリアルが検索される頻度を測定する PYPL インデックスによると、Python は最も高い成長率 (19%) を示し、最も人気のあるプログラミング言語としてランクされています。

Rust採用の増加

Rust は組み込みシステムでの使用が増えており、メモリ エラーを防止し、スレッドの安全性を確保する機能が重要です。さらにクラウド インフラストラクチャへの導入により、ハイ パフォーマンス コンピューティング タスクの処理における信頼性と効率性が期待できます。

Application development

ローコード プラットフォームとノーコード プラットフォームの台頭

ソフトウェア開発の民主化は、ローコード プラットフォームとノーコード プラットフォームの台頭によって推進されています。これらのツールを使用すると、最小限のコーディング知識を持つ個人がアプリケーションを構築してデプロイできるようになり、開発時間を大幅に短縮できます。

プログレッシブ Web アプリケーション (PWA) の増加

開発者の間で PWA (プログレッシブ Web アプリ) の人気が高まっている主な要因は、プラットフォームの独立性です。これにより、モバイル、タブレット、デスクトップ用に個別のアプリを作成する必要がなくなります。PWA のコスト削減の利点は、開発の簡素化だけではありません。また、作成が速くなり、維持費も安くなります。

クロスプラットフォームのアプリ開発

モバイル アプリケーションの出現以来、開発者は Android と iOS 用の 2 つのネイティブ アプリケーションを作成するか、1 つのクロスブラウザ アプリケーションを作成するかの選択に直面してきました。ネイティブ アプリは、その優れたパフォーマンスにより、市場を圧倒的に支配しています。

ガートナー2024年技術トレンド10

より経営・管理にコミットしたガートナー社の発表した戦略的テクノロジートレンドトップ10 では以下の物をあげています。前提になる大きな要素としてAIと持続性があり、

2027 年までに、CIO の 80% が IT 組織の持続可能性に結び付けられたパフォーマンス指標を持つようになるでしょう。

と前置き。CEO と CIO の 2024 年以降の目標を達成する方法は

  1. AI Trust, Risk and Security Management (AI TRiSM)    リスク・セキュリティ管理

  2. Continuous Threat Exposure Management (CTEM)  継続的脅威暴露管理 

  3. Sustainable Technology 持続可能な技術

  4. Platform Engineering  プラットフォームエンジニアリング

  5. AI-Augmented Development  AI拡張開発

  6. Industry Cloud Platforms  クラウドプラットフォーム

  7. Intelligent Applications  インテリジェントなアプリケーション

  8. Democratized Generative AI   民主化された生成 AI

  9. Augmented Connected Workforce   ネット接続で従業員の強化

  10. Machine Customers   機械のお客様

更に要約すると

  1. セキュリティ

  2. 一般企業での技術利用の広がり・成熟

  3. エクスペリエンス、価値提供

というところでしょうか。まあそうですよね‐っていう中に見慣れないものが1つ混ざっていました。

マシンカスタマーとは?

なんジャらホイ、という感じですがGoogleのAIクローラーなどを指すようです。読んでいくにつれ「マーケティングの終わり」という本が出そうだな、と思いました(笑

商品やサービスの購入などの取引に自律的に従事する非人間的な存在、のことで、従来の自動化システムとは異なり、機械の顧客は事前に定義されたルールに厳密には従いません。さまざまな要因に基づいて意思決定を行うことができ、時間の経過とともに行動を適応させることができます。

(「カストボット」というやや残念な表現も、マシンカスタマーを表すのに使用されます)

当初は Web ページからデータを抽出するために使用されていたスクリーン スクレーパーは、マシン カスタマーの初期の形態を表します。テクノロジーが進化するにつれて、これらの形式はより洗練され、デジタル プラットフォームと対話できるボットやその他のフレームワークの開発につながります。

マシンカスタマーと人間の顧客の違い

人間の顧客ではなく、または人間の顧客に加えて、機械の顧客を持つことには大きな利点があります。Machine Customers を他と異なるものにする特徴には、次のようなものがあります。

  • 効率的かつ几帳面。機械の顧客は、人間の顧客よりも効率的かつ効果的に行動できるようになっています。人間の顧客は一貫性がなく、忘れっぽいことが多く、最適ではない購買行動につながります。対照的に、機械は論理と理性を適用する観察力と精力的な研究者であり、必要なものを確実に購入し、不必要な購入や衝動的な購入を避けることができます。

  • 感情の除去と感覚の操作。機械はタスクを完了することに集中しており、店内で流れている音楽、人間の売り上げに影響を与える匂いや香り、カジノ食料品店などの施設で行われているさまざまな心理操作の影響を受けることはありません。

  • 大量のデータを活用します。コンピューターの支援があっても、人間が意思決定に利用できるデータは、機械の顧客に比べてわずかしかありません。大規模言語モデルで明らかになっているように、マシン顧客は計り知れない量のデータにアクセスして処理できます。

  • 選択のパラドックス、おとり効果、意思決定疲労を軽減します。人間は、最適ではない選択へと誘導する、操作的な価格戦略に悩まされています。彼らは 1 日にあまりにも多くの決断を下すことによる影響に悩まされており、選択肢の選択を提示されるとイライラしてしまう可能性があります。機械顧客は、人間のこうした自然な傾向をすべて回避できます。

昨年からのほっかほかトレンドです!

「過去 3 か月で +376% の成長を表します。Google 広告では、トレンドのような相対的な検索インタレストを使用せず、代わりに Google ユーザーの実際の関心量をより正確に表示します。」

Google 広告によると、「マシンカスタマー」というフレーズは過去 1 年間で顕著な増加を見せており、特に 2023 年 10 月には、Google での全世界の月間検索数が約 200 件から約 1,000 件に急増しました。


日本編

日本の記事はアカデミックであったり、ガチ開発者のものは少なく企業広告やバイラルマーケティングのために恣意的に作られた記事が多いので,真面目そうなものはほとんど海外後追いで探すのに苦労しました💧


探しても見当たらない、日本の最新ITのトレンド

今回、情緒収集すると日本では残念ながら特筆する譲歩は見当たらず、ITは完全にアメリカの数周遅れの後追いで「新しいこと」を求める雰囲気は非常に薄いと感じました。多くのIT、DX!と叫ぶ企業は一般的に陳腐化した技術を疎い層に押し売り(失礼)しているのが現状ではないでしょうか。

 産業的にはITというより人材サービスという中間搾取産業化が本体のような状況で、サービスを作ってもGAFAMに30%手数料を払う小作農化がここ20年で進み年々やせ細っている現実もありそうです。

予想:日本のトレンド3つ

技術・需要の話よりも「50歳以上の人口が5割を超える今年、どうするか」が業界の課題なようで大企業では「内製率」をIRなどで表示するところも出てきました。ESG,SDGsの1つで海外では重視されていたことですが、日本でも意識され始めたようです。

そんな寂しい雰囲気の日本ですが、今年からのトレンドとして以下のものがありそうです。

  1. 内製化

  2. セキュリティ対策

  3. サービス撤退

1は元々欧米では重視されている指標「内製化率」のことで、上場企業などでは表示する企業が日本でも増えてきたように思います。開発力だけでなく、社内にノウハウや頭の良い人(理系)の人がどれだけいるか(そういう人が居着く風土があるか)というのが企業の「筋力」という評価がりますが、規制緩和で上場が増え海外投資家も増える中で当然の流れかと思います。

2は、これも日本が遅れている部分で根本原因は国体として軍隊組織の規模や遅れで、欧米やイスラエル、ロシア、中国などは軍隊のサイバー部隊が国内の天才を集めて研究開発をし、その人達が立ち上げるベンチャーが多くありますが(
サイバー関連の人材が少ない事情があり、致し方ないところかと思います。

日本でもおなじみカスペルスキー研究所はロシアの会社で、アメリカのテロ犯罪の捜査に協力して犯人を見つけ有名になりました。

イスラエルのサイバー対策はYouTubeで常に大きな話題となっています。

3のサービス撤退は、スマホ普及期が終わり、人口構成や日本語の壁で国内では頭打ちのユーザー数で明るい未来の絵が描きづらい点に加え、前述のセキュリティ対策や日本のホワイト化によって増加するコストで撤退を決断する企業やゾンビ化サービスが増えると見ています。

実際にベトナムのオフショア開発も撤退が増え、多少能力が低くても背に腹は代えられないので海外で、と頼む会社は減ってきているように感じますし、更に円安&インフレで管理コストが高く機動性で劣る海外生産は逆ザヤに陥りやすいため、今後も厳しい状況が続きそうです。

日本のITのネガティブトレンドは?

個人の感想ですが

  • 圧倒的人不足(特に若い人。人口の過半数は>50才)

  • PHP

  • 会議大好き

が継続すると予想しています。

日本と日本率いる後進国開発では2024年になってもPHPが大好きですが、その割に「パフォーマンス」や「検査」「安心安全」などを会議で何かと持ち出し、マッチポンプが続いています。
改ざんが難しくコンパイルすれば先にエラーを検出できるネイティブ系を使えば大きく改善できますし、マシン上のパフォーマンスは天と地の開きがありますが、今も「作業が早い」という理由でPHPが良いとされています。

しかし、開発でAPIのコーディングをする時間よりも、作った後でSQLをいじったり、問題の回収の時間のほうが圧倒的に長く、それらの多くはデータドリブンの設計にすることが可能でコードをいじることは少なめなのがバックエンド作業なので、僕自身は単に前例主義なのかな?考えています。

AI作、PHP反対同盟。笑ってても不気味

前述の記事のPython優位でもあるように、最近は日本でもPython使う場面が増えていると思いますが、20年くらい前だとPython使うのはかなり変態、15年前にDjangoを使う人は非常に少なかったですが、Mojiの登場で今後は利用が広がるのではないかと期待しています。安全なネイティブコードを書きやすいRustやGOも頑張って欲しいです。

会議体!

げんなりする言葉ですが、元々はトヨタなどで定期的に設定される会議全体を指す言葉だったのが、工業系の下で「下請け業務委託」作業をするブラック目のIT界隈で封建的な雰囲気で広まったのだろうと想像しています。

the meeting  = 会議
a meeting  = 会議体

という言語運用なのかな。キショいってこういうことか(笑

会議が多いのは、専門性の欠如と心理安定性の低さから来ていると見ていて
マネージャークラスが本来職務の計画・決定をしなかったりその精度がわるいとか、責任を取らない事に加え、丸投げされる社員側としては「責任を取りたくない」ため合議にしたい、という意識を日本企業からは強く感じます。

マネージャーに専門性がないのは、日本の企業や役所の体質が、元々は工場労働者とそこで使う資材のマネジメントのために発生し、生産物の管理のための比較的簡単な(抽象的ではなく、モノに関わる業務)定まった作業をする事務職員。 工場の機械を作るごく一部の専門家以外は「オペレータ(作業員)」だった時代のモデルが大成功し社会的な地位を築いてしまったため、そのままの気分でサービス業が経済の主流になり惨事を招いている構図ですが、30年間ほとんど変化がない日本の変化嫌いは筋金入りです。

社員さんが会議をやりたがるのは、企業が心理安全性を確保できていない=封建的・非論理的 という風土病が主因と思いますが、主語がなかったり上下関係が文法のコアに居座る日本語・日本文化がサービス業の時代に合わないので、他の方法(文字で書く)はテクニックが必要で、またキツい感じなりやすく書くのがはばかられる、という根深い理由もありそうです。

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