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境界を掠めるバス/都県境編11.5/玉川学園・奈良北団地周辺

2023年4月/12月他現地調査実施
2024/01/18初版公開

この記事のデータ類は、特記なき限り2024年1月時点のものです。
また、画像類は、特記なき限り筆者自ら撮影・作成したものです。

久々の更新は、都県境を掠めるけど越えない路線の紹介になります。現地取材は早々と済ませていたのですが、諸々ありまして…
1箇所はコミュニティバスでありながら、都県境上の道路を走る路線になります。もう1箇所は、バスが通る道路に都県境が迫る?ものの、接する直前で向きを変えて離れて行ってしまう地点になります。いずれも東京都町田市と神奈川県横浜市青葉区との境界になりますが、気を抜くと両者の位置関係が逆に思えてしまう非常に都県境が入り組んだエリアになります。


現場付近の都県境

現場付近の都県境概念図。赤線は都県境を掠めるバス路線群。
左側が玉川学園コミュニティバス。右側が小田急バス/東急バス/横浜市バス。
ベース白地図は freemap.jp より。図が多少(かなり)アバウトなのはご容赦を。
現場付近の都県境と道路。
玉川学園駅改札前に設置された案内板より。

 鶴見川水系の片平川と真光寺川の分水嶺を南下した後、町田市三輪地区をほぼ取り囲むように一周した東京・神奈川の都県境は、川崎市麻生区岡上地区を北側から西側に回り込むように進む。この区間は鶴見川(一部旧流路)に沿うように進むが、南下するようになると再度尾根筋に上がって、和光大学と玉川大学のキャンパス内をつっきる。
 この先で、尾根筋上に開かれた道を、玉川学園コミュニティバス(愛称:玉ちゃんバス)南ルートが走っている。都県境は暫く南下した後、尾根筋諸共に東寄りに向きを変える辺りで、バス路線は離脱する。都県境を更に進むと尾根筋が消失。辛うじて周囲との段差が感じられる奈良北団地の東側エリアを北東に向かって住宅街の中を進むが、ほどなく南東に直角に曲がった後、再度、明瞭な尾根筋へと登っている。都県境が直角に曲がる地点の数十m北側には、奈良北団地から東急線青葉台駅・小田急線鶴川駅を結ぶバス路線が通っている。
 ちなみにこの先の都県境は、成瀬尾根と通称される尾根筋沿いに南下していく。末端部を含め、この尾根を横切るバス路線は複数存在するが、これらについては、次回以降の記事にて紹介する。

玉川学園コミュニティバス(通称:玉ちゃんバス)東ルート

玉ちゃんバス全景。3系統共通の専用車です。
走ってる道は都県境上で、右側が東京都町田市/左側が神奈川県横浜市青葉区です。

 玉ちゃんバスは町田市が運営するコミュニティバスの1つで、3ルートが設定されている。そのうち本稿で取り上げる東ルートは、玉川学園駅とその南東側の住宅街を結ぶ路線である。都県境の尾根上の町田市道を走り、この区間にもバス停はあるが、路線自体はこの区間以外で明示的に横浜市側に越境する区間はない。運転本数は1日36本(平日)/26本(土休日)と非常に多い。平日朝夕混雑時はバス2台/昼間帯と土休日の終日はバス1台での運行となる。道路が非常に狭隘かつ急勾配なエリアを走るため、マイクロバスでの運行となっている。

コミュニティバス運行経路と都県境。
町田市の公式サイトより(一部切り出し)、
https://www.city.machida.tokyo.jp/kurashi/sumai/kotsu/shimin/komyubasu/tamachan/
都県境稜線上を行く、玉ちゃんバス 玉川学園駅南口行。
道路の左側が東京都町田市/右側が神奈川県横浜市青葉区です。
駅からのバスはこの先の左側の路地からでてきますが、
一方通行の関係で、駅へ向かうバスはこのまま直進します。
都県境の稜線から外れ、町田市方向へ進む玉ちゃんバス。
此の先、成瀬台の住宅街西部を循環して、ここへ戻ってきます。
都県境は手前から来て左斜めに分岐する路地へと続いています。

 都県境の稜線上を走る区間は、一方通行が設定されている関係で、往路がバス停2区間分/復路がバス停3区間分になる。都県境の稜線上を走る区間でも、道路の両側に住宅があり、どちらからでも利用できる。

真ん中の道が都県境の尾根上の道。
右へ降ると東京都町田市、左へ降ると横浜市青葉区奈良北団地エリアです。
都県境稜線上の道はこんな感じで続きます。
この区間では左側の横浜市側にのみ住宅があります。
少し進んだ地点で北側を振り返ってみるとこんな感じ。
左側の町田市エリアのみならず、右側の横浜市エリアにも住居があります。

 路線は2007(平成19)年に開設された。それまでは、町田市で玉川学園駅界隈の小田急線東側は、いわゆる交通空白地帯であった。長年、小田急バス町田営業所に運行委託されていたが、2022(令和4)年に同所が閉鎖されたため、新設された新百合ヶ丘営業所の担当となっている。

奈良北団地発着路線

奈良北団地付近のバス路線図と都県境の概念図。

 まずは、現場付近のバス通りと都県境の関係を示した図を見ていただこう。バスが走る道路は東西方向に一直線に抜けているのだが、都県境が南西の方向からやってきて、バス通りに接する直前で南東方向へ遠ざかっていく。留意しなければならない点が、この都県境の北側が神奈川県横浜市青葉区/南側が東京都町田市である。つまり、この地点で都県境を西に進むと、図中に緑色の細線で示したようにぐるっと回り込むように北側に方向を変え、これまでに本シリーズ記事で紹介してきた都県境をバス路線が越える地点の方向に続いて行き、最終的に多摩川河口までつながる。東方向へ進むと、今後の記事で紹介する予定のバス路線が都県境越えをする地点方面になる。本記事の前半を読んでいただいていれば混乱は少ないと思うが、この節だけを切り抜いて読むと、直観とは逆方向になっているので留意する必要がありそうである。

都県境からほど近い交差点を通過するバス。
判りにくいですが、画像中央のマンション左側、奥に続く道が都県境。
現場付近の都県境。バス通りの交差点から撮影。
都県境は、Y字路の右奥からやってきて、左奥の路地へと進んでいきます。

 この通りを走るバスは小田急バス/東急バス/横浜交通局(=横浜市バス)と3社局の担当路線が存在する。いずれの路線もこの地点から少し西に行った辺りの奈良北団地付近で終点となるが、路線バスを担当する社局で、折り返し地点となる停留所が異なっている。
 小田急バスは、奈良北団地内を東西に貫く往復2車線の道路上にある「奈良北団地」停留所が起終点となる。折り返し場もこの道路に接して存在し、後述する「奈良北団地折り返し場」方面へ分岐する交差点を直進した少し先、道路の北側にある。該当する系統は、以前の記事でも紹介した鶴川駅を発着する"鶴07"系統"鶴09"系統である。"鶴07"系統は、奈良北団地を出発した後、一旦南下してこどもの国の正門にて折り返し、神奈川県道139号線経由でほぼ最短経路にて鶴川駅とを結ぶ。こちらが主系統で終日に渡り運転される。"鶴09"系統はその経路違い派生系統で、こどもの国に行かない代わり、横浜市青葉区緑山地区の西側に広がる玉川学園台団地の中を経由する。旅客案内は、途中停留所の「ことり橋経由」とされている。鶴川駅行が朝~日中/奈良北団地行が日中~夕刻の運転を基本とする。両系統合わせて毎時2~3本程度の運転であるが、"鶴09系統"が運転される時間帯はその分"鶴07系統"が減り、日中は各々1時間に1本づつの運転となっている。

奈良北団地のバス停。小田急バスはここまで。
東急バスと横浜市バスは、白い車が入ろうとしている左の路地へと進みます。
小田急バス折り返し場は、その先、道路右側です。
小田急バスの奈良北団地の折り返し場。
画面の道を真っ直ぐ奥へ進むと、玉川学園駅方面へとつながっています。

 一方、東急バスと横浜市営バスは、団地内を東西に貫く道からやや南側に逸れた、「奈良北団地折り返し場」が起終点である。東急バスは、青葉台駅発着となる"青118"系統がメインで、日中は毎時2~3本の運転である。運転本数僅少系統として市が尾駅まで行く"市43"系統があるが、平日日中のみ1日6往復の運転である。横浜市営バス"177"系統が、東急田園都市線田奈駅を経由して、JR横浜線十日市場駅まで結んでいる。運転本数は日中は1時間に1本程度であるが、朝夕混雑時には増発される。

東急バス/横浜市バス折り返し場。
降車バス停は画面左赤帯の東急バスが止まっている場所にあります。
乗車はこのバス停から。
画面奥の道が右に曲がる辺りが折り返し場なので、そこそこ離れてます。
折り返し場近傍にある降車用バス停。
バスは画面奥からここまで入ってきて折り返します。

 これらの系統が走るバス通りは、昭和中期にこの地を宅地造成した際に造られたものである。バス終点付近から更に西側に向かうと都県境を越え、小田急小田原線玉川学園駅方面へと続いている。都県境を越えた先まで往復2車線の道が続いているが、玉川学園駅が近づくと非常に狭隘な道路になる。一方通行区間もあり、通常サイズのバスは通り抜けできない。都県境から先の区間は、先述した玉ちゃんバス復路が走るルートでもある。
 ちなみに、奈良北団地バス停から玉川学園前駅まで約1kmの道のりであるが、上述した道路事情のため、直通するバス路線はない。


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