唐揚げの衣を食べ比べる
・唐揚げは美味しい
唐揚げを好きな食べ物の上位に挙げる人も多いんじゃないでしょうか。おかず・おつまみとしてコンビニやスーパーでは必ず売ってますし、唐揚げの専門店も度々見かけるなど根強い人気を誇る食べ物です。
さて、家で作るときに衣の粉は何を使いますか?一番メジャーなのは片栗粉でしょうか。その他にも小麦粉、米粉などもレシピで目にする機会は多いですね。私自身今まで試行錯誤して色々な衣を試していましたが、ある日ふと疑問に思いました。
「結局どの粉でもそんなに変わらないんじゃない?」
そんな疑問から始まり、今回は4種類の粉を使った唐揚げを食べ比べてみました。使ったのは小麦粉、片栗粉、米粉、コーンスターチです。
今回の唐揚げは、スーパーで買った唐揚げ用の鶏もも肉を生姜のすりおろし、醤油、酒のみで漬け込んだシンプルなものです。漬け込んだあとの肉は別皿の粉をまぶし、このくらい漬け汁と粉が馴染んでから揚げる形で統一しました。揚げ時間は全て4分です。
そしてスーパーにたまたまこんな油が売っていたので、揚げ油はこちらを使用しました。
使い切りパックなので処理しやすいし、揚げ物をする時特有の油を大量に使う事への躊躇いがなくなって気持ちも楽でした。これ1袋で鶏肉1〜4枚分は揚げられるようです。たっぷり!
それでは、4種類の粉を比べていきましょう!
(1)小麦粉の唐揚げ
普段あまり唐揚げに小麦粉は使わないのですが、想像よりもサクサクな食感でした。しっかり油を吸ってジューシーな唐揚げです。食べ応えもかなりあります。しかし油を吸う分、時間が経って冷めてからは衣はしっとりしてしまいます。しっかり肉汁を閉じ込めていたのか、冷めても鶏肉のうまみはかなり残ってる印象です。時間が経つことで唐揚げとしてのおいしさやうまみが落ちることは無かったので、「絶対に唐揚げはサクサクじゃなきゃ!」というこだわりがなければ、お弁当のおかず向きのジューシーな唐揚げだと思います。
(2)片栗粉の唐揚げ
まぶす段階で粉がつきすぎてしまったのか、粉をふいた竜田揚げになってしまいました。食感はザクっとしていて、小麦粉の時よりもさらに歯ごたえがあります。噛むとジューシーな肉汁がじゅわっと出てきて、パンチのある食べ応えです。冷めても食感に変化はほぼ無かったのですが、衣が沢山油を吸った分の油っぽさを感じてしまい、少し重い印象でした。揚げる前にちゃんと余分な粉を落とす、こめ油などの軽めの油を使うなど、気をつければ冷めてからも十分美味しく食べれるポテンシャルを感じました。食感、肉汁共に力強いので、がっつり食べたいときやお酒のお供にぴったりな唐揚げですね。
(3)米粉の唐揚げ
米粉で作ると、粒子の大きさの違いなのか小麦粉や片栗粉とは違って肉全体にすぐ馴染み、粉も余分に付きにくいなという印象を受けました。そのおかげか衣も薄くてサクサクというよりパリパリです。肉汁、油も程々で、前の二つよりもかなり軽い食べ心地ですね。冷めてからもパリパリなのは変わらず、シンプルな鶏肉のうまみを感じてあっさりと食べられました。片栗粉の唐揚げが育ち盛りの学生向けの食べ応えだとすれば、米粉の場合は揚げ物がキツくなってきた大人向けの軽さでしょうか。最近胃腸が弱くなってきたので個人的には一番嬉しいです。
(4)コーンスターチの唐揚げ
コーンスターチは片栗粉と同じでんぷんですが、こちらはとうもろこしを原料にしているんですね。お菓子作りなどでもよく使われています。食べた感じはカリカリ・サクサク系ですが、かなり軽くクリスピーな感じです。フライドチキンの衣に近いようにも思えますね。米粉と同じくあまり油っぽさはなく、冷めてからもそのままの食感で軽めに食べられます。この二つはかなり近いように思いましたが、米粉の方がややしっとりめの衣でコーンスターチのほうが歯ごたえのある印象です。
・それぞれの特徴まとめ
こうして見た通り、衣や肉汁、食べ応えは片栗粉>小麦粉>コーンスターチ>米粉という順番になりました。しかし、揚げたてでの食べ応えがあった分冷めてしまうと油っぽさ、重さが目立ってしまいます。揚げたてを食べるのか、ある程度冷めた状態でも食べるのかという点と、個々人の好みでそれぞれの粉を使い分けるのがいいのかなと思います。
・粉を組み合わせる
次はそれぞれの粉を1:1で組み合わせたもので衣を作っていきます。お互いのいいとこどりな衣になるんじゃないかなと予想していますが、果たしてどうなるでしょうか。カッコ内では冷めてからの食感(まだサクサク・若干落ちる・完全にサクサク感はなくしっとり)と油っぽさ(あっさり・若干気になる・油っぽくてちょっとキツイ)を〇△×で判断してみました。あくまでこれは個人的な感覚をもとにしたものですのであしからず。
(1)小麦粉+片栗粉
じゅわっと肉汁があふれる唐揚げになりました。サクサク感も程よくありますが、ややしっとりした印象です。(冷めたあと:食感△、油っぽさ△)
(2)小麦粉+米粉
米粉の効果なのか衣は薄めです。サクサク感があるものの油も程よく吸っているため、食感はそれ程強くは強くはないです。(食感〇、油っぽさ△)
(3)小麦粉+コーンスターチ
こちらも薄めで、パリパリしつつもしっとりした衣です。油や肉汁の主張は強くなく、ややあっさりめな唐揚げに仕上がりました。(食感×、油っぽさ〇)
(4)片栗粉+米粉
サクサクしつつクリスピーな食感で、噛むと油が染み出てきて食べ応えがあります。片栗粉がつきすぎてしまったのか、少し粉っぽさがありました。(食感△、油っぽさ×)
(5)片栗粉+コーンスターチ
食感はかなりサクサクですが、少し油っぽさが目立つような気がします。(食感×、油っぽさ×)
(6)米粉+コーンスターチ
衣としてはかなり薄くてパリパリです。肉汁もジューシーな味わいで、冷めても油っぽさより鶏肉の肉汁やうまみが残っている印象でした。(食感×、油っぽさ〇)
片栗粉が特に油を吸いやすく、片栗粉+○○という場合に油っぽい唐揚げになってしまいがちな結果となってしまいました。今回は2種類の粉を1:1で混ぜての結果だったので、片栗粉の割合を減らしたり「片栗粉:米粉:コーンスターチ」の3つを混ぜてみたりと工夫すればサクサク感とジューシー感を併せ持った衣のブレンドができそうです。まだまだ研究の余地ありですね。
・パン粉も使ってみる
以前、パン粉を唐揚げの衣に混ぜると美味しいと聞いたことがあったので、先ほど試した組み合わせに細かく砕いたパン粉を1:1:1で加えて再度唐揚げを作ってみました。先程と同じくカッコ内が冷めてからの食感と油っぽさの評価になります。
(1)小麦粉+片栗粉+パン粉
サクサク感がありますが、小麦粉と片栗粉のみの場合よりもパン粉が細かなサクサク感の仕事をしているためパンチはそれ程強くありません。先程までで見たように小麦粉と片栗粉は油を吸いやすく、さらにパン粉も油を吸いやすいので沢山食べる際には段々と油っぽさが気になってくるかもしれません。(冷めた後:食感×、油っぽさ×)
(2)小麦粉+米粉+パン粉
パリパリした食感で、ジューシーな食べ心地です。ですが、こちらも多少の油っぽさが気になってしまいます。(食感〇、油っぽさ△)
(3)小麦粉+コーンスターチ+パン粉
かなりジューシーな仕上がりで、そのおかげかサクサク感は弱めです。(食感△、油っぽさ×)
(4)片栗粉+米粉+パン粉
パン粉のサクサク感が強く、若干チキンカツのような食べ心地ですらあります。油の含みも程よいです。(食感×、油っぽさ△)
(5)片栗粉+コーンスターチ+パン粉
こちらもパン粉のサクサク感が強いです。若干の油っぽさも感じてしまいます。(食感〇、油っぽさ△)
(6)米粉+コーンスターチ+パン粉
サクサク感がありますが、皮や端の部分が特にカリカリな印象です。肉汁も程よく出てきます。(食感△、油っぽさ△)
全体の印象として、パン粉を加えるとサクサクカリカリとした食感が補強され、パン粉が油をよく吸うためさらに食べ応えが増しました。しかし、冷めてしまうと油っぽさが目立ってしまうので、パン粉を加えるならばなるべく揚げたての方が美味しく頂ける唐揚げかなと感じました。
・沢山唐揚げを食べ比べてみて
今回は鶏肉に粉をまぶす方法で唐揚げを作り食べ比べましたが、他の方法だとまた結果が変わってきそうです。例えば白ごはん.comさんで紹介されているのは、漬け汁を少しだけ残しておいて粉をねっとりするまでもみ込むというやり方です。
https://www.sirogohan.com/sp/recipe/karaage/
この方法だとカリっとしっかりした衣になるので、特に小麦粉や片栗粉の油の吸いやすさもまた変わってくるのではないかと考えています。また、片栗粉+米粉の時に感じてしまった粉っぽさもなくなりそうですね。
その他にも唐揚げの衣でおすすめのものがあればぜひ教えて下さい。安易に手を出してしまったような気もしますが、唐揚げにはまだまだ研究の余地がありそうです。市販の唐揚げ粉も含めたら大変なことになりそうですね…。
それでは皆さまも、良い唐揚げライフをお過ごしください!
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