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「クレマチスの窓辺」島根県をゆるっと周遊、ヴァカンス映画という新分野。

シネマNAVIさんからのご招待で、「クレマチスの窓辺」を鑑賞してきました。

オール島根県ロケの本作は、3年前に行われたという。コロナ禍で開催までやっと漕ぎ着けた、舞台挨拶つきの上映会に映画招待が初めての私が鑑賞した。

監督の永岡俊幸さんは、島根県出身「いわゆる有名な観光地は外して撮影した」とのこと。

主人公とともに辿る、祖母の歴史

東京在住の主人公絵里は、亡き祖母の売却に出した実家に泊まりながら島根を旅する。目的のある旅ではなく、仕事の疲れを癒すためではあるが結構出会いが多い。「初めまして絵里です」この言葉を従兄弟のフィアンセ(女性)、考古学講師(男性)、靴職人(男性)、花屋さん(女性)らと交わす。仕事でもないのに、こんなに自分を名乗ることはめったにないと思う。

もしかしたら映画初監督の永岡氏が、観客たちに「僕の映画の世界へようこそ」と導いているのかもしれない。

絵里の亡祖母は生前たくさんの絵画を描いていた。プロ仕様の絵ではなく、暖かみのある素朴なタッチで描かれたその絵に表題の「クレマチス」の花があったように思う。

「クレマチス」は別名「カザキリソウ」。風車のように劇中の庭でクルクルと笑うようにたなびく。


ラフカディオ・ハーンを偲ぶクレマチスと風

島根県の観光的な要素は出てこないが、窓辺で休んでいる絵里を風がやさしく包む。

絵里はその風を祖母の仕業だと思うのだが、これは島根県に在住した作家ラフカディオ・ハーンの「怪談」をモチーフとしているのだと感じた。

どんよりとした空、そして眺めていると泣きそうになる湖。どれも日本の水彩画を視ているようで、心洗われる。

62分と短編の本作で、心のデトックスが出来る良作だ。


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