角を打つ、一。

三兵酒店-池袋

人生初の角打ちはたしかここだった。たしか、、

池袋北口近く、夜になると賑わってくる繁華街のなか紛れるように佇んでいる。

まだお酒の楽しみ方なんてわかっていない、あれは3年前くらいか。ただ、お酒は好きだったし、きっと弱くもない性質だろうと気づいてきたころ。

角打ちという言葉すら、知り合いから耳にしたことがある程度。

そのころ、飲むといえばチェーンの居酒屋や街の大衆居酒屋ばかりで、立ち飲みというスタイルにすら慣れていなかった。

平日の昼だったか、こじんまりとしたカウンターにすでに常連らしきおじいさんがひとり。店主の立つカウンター越しは酒屋さんになっていて、店主があっちやこっちやと対応している。こんな空間がまず初めてで、店内をきょろきょろしてしまう。一人で訪れていたらまず入るのに勇気が要っただろう。

おつまみはあの駄菓子屋などでよく見かけるプラスチックのケースに入れられ、たくさん並んでいる。カレーとかナポリタンとか、乾き物以外にもいろんなメニューがあった。時代を感じさせる写真たちや立ち飲みマップなんかに囲まれながら、初めて角を打つ。レモンサワーか、ウーロンハイか、赤星だったか、、記憶は曖昧だが、店主がかけているのか、ラジオの音がずっと聞こえていたのは覚えている。

初めて体験する空間に、落ち着かなかった記憶がある。お酒を飲む場としての新しい驚き、その驚きが、どんどん好奇心へ 変わっていく、、

池袋といえば、高校生の頃は水族館なんかに来たりしていたものだが、その時は知る由もなかった一面を知ることになった。まだ二十歳の女が、踏み入れてはいけないところに踏み込んでしまったような気持ち。あなたはお酒が強くて、それを楽しめるようなおもしろいことが待ってるよって高校生の自分に教えてあげたい。

これがはじまり。



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