火葬までの時間【さよなら④】
ワンコが亡くなってから、亡骸をどうしようかと悩んだ。
お腹の辺りに氷をおいているけど、そんなに時間はない。
一度、「遺体を業者に渡して終わり」というところに予約したものの、決心がつかずキャンセル。翌々日に、火葬して遺骨を持ち帰られるところに決めた。
部屋で眠り続けるワンコに、娘は何度も話しかけ、クロスをかけ直したりしてあげていた。
「なんだか止まってる」と言っていた。夫は予定していた忘年会をキャンセルして側にいてくれた。
いつだって思いが込み上げてくる。でも大泣きするのは5回までと決めた。3回くらい大泣きした。
火葬の日は泣かなかった。
いろんな思い出をひたすら夫に聞いてもらった。ワンコを色んな人に会わせたけど、夫に出会った時のワンコは恋しているみたいに懐いた。
娘は何度もわんこがどこに行ったのか聞いてきた。何度も説明した。
家に帰って遺骨を見た。何度もなでた眉間の溝が骨にもあった。
遺骨の一欠片をわんこと一緒に育てたガジュマルの木鉢に埋めた。残りは実家の桜の木のそばに埋めた。